AWS認定全冠を2か月で全て合格した話
はじめに — なぜ全冠を目指したか
こんにちは、クラスメソッド コンサルティング部のシモンです。
2026年3月、AWS 認定全12資格を取得しました。クラスメソッド入社前に取得していた SAA を除く 11資格を、業務と並行して約 7週間で駆け抜けた形です。
この記事では、全冠を目指した動機、受験した結果、最短で合格することに特化した勉強法、おすすめの受験順番、そして全冠を取って何が変わったか(変わらなかったか)を振り返ります。これから全冠を目指す方や、どの資格から始めようか迷っている方の参考になればうれしいです。

私の背景
受験前の私の状況はこのような感じでした。
- AWS を触るのは 3年ぶり
- 業務での AWS 利用歴は約 2年。主にアプリケーション開発で使うサービス(EC2, Lambda, ALB, Route 53 など)中心
- クラスメソッド入社前に SAA だけ取得済み
ソリューションアーキテクトとしてはベテランではなく、そもそも AWS 自体に再入門するような立ち位置からのスタートです。
読者自身の立ち位置と比較するご参考にしてください。
全冠を目指した動機
動機は大きく 3つありました。
- AWS を久しぶりに触るので、全体像を体系的に押さえ直したかった
- ソリューションアーキテクトとして AWS のコンサル案件に入るにあたり、「どのサービスが何をするのか」の引き出しを増やしておきたかった
- 2026 Japan All AWS Certifications Engineers の申し込み期限が3月末だったため、そこに合わせて走り切るのがタイミング・モチベーションともにちょうどよかった
全冠とは
本記事でいう「全冠」は、2026 Japan All AWS Certifications Engineers の対象資格12種をすべて保持している状態を指します。内訳は以下のとおりです。
- Foundational(2種): CLF, AIF
- Associate(4種): SAA, DVA, SOA, DEA, MLA
- Professional(2種): SAP, DOP
- Specialty(3種): SCS, ANS, MLS(または AIP: Generative AI Developer – Professional)
参考: 2026 Japan All AWS Certifications Engineers 認定基準
結果一覧
受験した順番に、12資格の結果をまとめます。難易度は私の主観で★☆☆☆☆(易しい)〜★★★★★(非常に難しい)の5段階で評価しました。
| 試験コード | 試験名 | 合格日 | 勉強時間 | 得点 | 難易度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| DVA | Developer – Associate | 2026/02/13 | 19h | 831 | ★★☆☆☆ | Associate で出題範囲が限定的 + 前職の業務知識あり。演習のみで対応 |
| SOA | CloudOps Engineer – Associate | 2026/02/16 | 16h | 902 | ★★☆☆☆ | 同上 |
| AIF | AI Practitioner | 2026/02/24 | 6h | 778 | ★★☆☆☆ | 5年前に機械学習の書籍を読んでいたのが役立った |
| SAA | Solutions Architect – Associate | 2026/03/02 | 0h | 808 | ★★☆☆☆ | SAP と間違えて予約・受験。対策なしで合格 |
| SAP | Solutions Architect – Professional | 2026/03/05 | 28h | 808 | ★★★★☆ | 出題範囲が広いため、問題集ベースで一問ずつ丁寧に潰していった |
| ANS | Advanced Networking – Specialty | 2026/03/09 | 23h | 817 | ★★★★★ | AWS 公式ホワイトペーパーを発見し(後述)、Claude 学習モードで各トピック・サービス・用語を解説してもらってから演習 |
| MLA | Machine Learning Engineer – Associate | 2026/03/12 | 15h | 808 | ★★★☆☆ | AIF 同様、過去の機械学習の読書経験が下地になった |
| MLS | Machine Learning – Specialty | 2026/03/17 | 19h | 854 | ★★★★☆ | サービス詳細やハイパーパラメータのチューニングを Claude と徹底的に壁打ちして習得した |
| DOP | DevOps Engineer – Professional | 2026/03/24 | 20h | 843 | ★★★★★ | Control Tower や Organization の SCP などの具体的な設定に踏み込む問題が、初見では苦労した |
| SCS | Security – Specialty | 2026/03/25 | 11h | 881 | ★★★☆☆ | IAM での認証/認可や暗号化について正確にステップバイステップで何が起きているかを理解した |
| CLF | Cloud Practitioner | 2026/03/26 | 1h | 856 | ★☆☆☆☆ | これまでの知識でカバーされない僅かなトピックをカバーした後、練習問題を数セット解いて 8割程取れることを確認した |
| DEA | Data Engineer – Associate | 2026/03/26 | 11h | 816 | ★★★★☆ | 初見かつ、EMR や Redshift などの深堀りは他の試験の知識があまり役に立たない。似ていて混同するサービスが多かったのも難しく感じる要因だった。 |
合計勉強時間は 169 時間。2026/02/06 の学習開始から 2026/03/26 の CLF・DEA 受験まで 49 日間(約 7週間)で全冠に到達しました。単純計算で 1日あたり平均 3〜4時間を試験対策に充てたペースです。
主観的な難易度は、事前知識(業務経験・読書・他試験の学習)があるかどうかと、各サービスについて細かいオプションレベルで深堀りされるかどうかに依存していることがわかります。
どの分野に下地があってどの分野がゼロスタートかを最初に棚卸しすれば、スケジュールを立てるのが楽になると思います。
全冠を取って何が変わったか、変わらなかったか
変わったこと
AWS サービスの全体像が頭に入り、「このユースケースならこのサービス」という引き出しが増えました。案件の提案や社内の議論で全く初見になるサービスが劇的に減り、話についていけないことがなくなりました。AWS 案件に挙手するのに抵抗が減ったのも実感しています。
また、自分が特に興味を持てる分野も見つかりました。ハイブリッドネットワーク構成や、Organization/Control Tower を使ったガバナンスの領域です。
変わらなかったこと
各サービスでどのような設定をして使っていくのか、という実践は、実際にサービスを利用するまでわかりません。
コスト感覚は全く分からないので、案件の提案をするたびに調べて勘所を掴むしかありません。
設定で抜け漏れを発生させやすいところや、トラブルシューティングの勘(ログのどこを見るか、設定のどこを疑うか)についても実際に何かがおきるまでは不明瞭になってしまいます。
つまり、日々の業務が劇的に変わるわけでもなく、全冠はあくまで知識の引き出しを増やす手段といえると思います。
勉強法 — 試験に短時間で受かることを目標にしたアプローチ
業務と並行して短期間で全冠を目指したため、「深く理解する」より「最短で試験に合格する」に最適化しました。
Notion に受験スケジュールと各試験の学習状況を一元管理するページを用意し、Claude にメンテナンスさせました。各試験の対策を始める前にこのページを Claude に読ませることで、直前まで別の試験で積み上げてきた知識のうちどの部分が今回の試験に流用できるかを把握させました。
基本的なサイクルは次のとおりです。
- Claude に Notion の進捗管理ページと試験ガイドを読ませ、既習トピックと未習トピックを把握する
- Claude に出題範囲のサービスを解説してもらい、全体像をつかむ。ただし、概念に馴染みがある試験や出題範囲が広すぎる試験(DVA, SOA, AIF, SAP)ではスキップした
- ウェブ問題集を解く。分からない問題は Claude に解説を聞く
解いた問題は「なぜその選択肢が正解/不正解か」を完全に理解し、二度と間違えない状態にすることを徹底しました。特に、不正解の選択肢がなぜ誤っているのかを理解することは他の問題への応用力を身につける上で重要でした。
学習目標は全問正解ではなく合格ラインを超えることと設定したため、受験するタイミングは、問題集のカバレッジ(解いた問題の割合)を目安にしました。模擬試験は時間がかかるため行いませんでした。
過去に解いた問題は全て確実に正答できるように学習していれば、カバレッジが 40% に達したら受験の目安です。カバー済み問題をほぼ全問正解し、未練習の 60% を 2/3 正解すると、40% + 60% × 2/3 ≒ 80% となり合格はほぼ確実です。カバレッジが 30% でも、未練習問題の正答率が 70% 以上を見込めるなら 30% + 70% × 70% ≒ 79% で同様に合格圏に入ります。
対策時間が短すぎたことによる課題
練習問題のカバレッジが低かったため、どの試験でも初見の概念が含まれる問題は必ずいくつかあり、合格発表までの時間が不安でした。まだまだ知らない概念があることは、せっかく試験勉強をするのにもったいないとも感じています。
最大の課題は、各サービスのコンソールを触る時間がなかったことです。試験問題は「こういう要件のときにどのサービスを選ぶか」を問うため、概念レベルの理解で解けます。しかし実務では、選んだサービスを実際に設定・運用する必要があります。コンソールを開いてどのような設定項目があるかを確認する過程は、実務の準備としても試験勉強としても非常に有効なアプローチです。
例として、Route 53 のホストゾーンの種類・レコードタイプ・フォワーディングルールの設定、そして ACM との連携による証明書の DNS 検証といった概念は試験で問われますが、実際にコンソールを開いて設定項目を見てみると、概念と操作が結びついて理解が一段深まります。触らずに概念だけを頭に入れるのと、設定画面を見ながら理解するのとでは、定着度が明らかに違います。
AI エージェントの活用法
Claude の Pro プラン(月額 $20)を契約して使いました。モデルは Sonnet を選びました。試験対策のような会話形式の学習用途では Sonnet で十分で、論理的な誤りがたまにある程度です。Opus は精度が高いものの、Pro プランでは会話量が多い学習スタイルだとすぐに使用制限に達するため、Sonnet を推奨します。
会話の始め方
試験ごとに新しい会話を始め、Claude のスタイルを「学習」に設定しました。

最初のプロンプトはシンプルです:
これから○○の試験対策をします。Notion の AWS 試験の進捗管理ページを読んで、試験範囲のどれだけが既にカバーされていて、どの分野やサービスのトピックをカバーする必要があるかアセスメントするところから始めましょう。
Claude が Notion ページと試験ガイドを読み、既習・未習のカバレッジを評価した上で、学習すべきトピックを提案してくれます。進捗管理のツールは Notion に限らず、スプレッドシートや Markdown ファイルでも構いません。AI が読み取れる形で「どの試験が済んでいて、次に何をやるか」を一元管理できていることがポイントです。

主な活用シーン
- 未習トピックのサービスツアー: カバレッジ評価をもとに、未習トピックを体系的に解説してもらう
- 問題の解説: 選択肢がなぜ正解/不正解かを聞く
- サービス比較: 似たサービス間の違いや関連性を表形式で整理してもらう(例: VPC ピアリング vs Transit Gateway vs PrivateLink の違い)
- 弱点分野の集中講義: 理解が浅い分野をピンポイントで深堀りしてもらう
全冠した今、まず取れと言える2つ — ANS と SCS
12個の資格取り終えた状態で業務をする今から振り返ると、最も業務に効いているのは ANS と SCS です。ネットワーク設計とセキュリティ設計はソリューションアーキテクト業務の土台になる領域です。どの AWS 案件でも必ずといっていいほど登場するテーマなので、学んだ知識がそのまま実務に効きます。また、ANS と SCS で身につけた知識は SAP や DOP など他の試験にも波及するため、全冠を目指す場合でも最初の方に取る価値があります。
ANS(Advanced Networking – Specialty)で得られるのは、VPC 設計・サブネット・ルーティング・Transit Gateway・Direct Connect・VPN・PrivateLink など接続方式の引き出しです。ハイブリッド構成やマルチアカウント構成を議論できるだけの語彙が身につきます。
SCS(Security – Specialty)で得られるのは、IAM ポリシー・ロール設計の勘所と、KMS による暗号化・CloudTrail による監査・GuardDuty や Security Hub など検知系サービスの役割分担です。「セキュアに使う」ための共通言語を持てるようになります。
どちらも Specialty ですが、適切なリソースで準備すれば、難しいというよりカバーすべき範囲が広い、という印象です。特に ANS は、番外編で紹介するホワイトペーパーをベースに準備することで、ボリュームはあるものの着実に進められます。
おすすめの受験順番
SCS はできるだけ早めに取るのがおすすめです。AWS をセキュアに使うための基礎知識が詰まっており、SCS で学んだ IAM・KMS・CloudTrail・VPC セキュリティなどの知識は他の試験にも多く応用できます。
関連する試験はまとめて受けると効率がよいです。DVA・DOP・SOA は CI/CD や運用自動化の知識が重複するため、まとめて対策できます。MLA・AIF・MLS(または AIP)は AI/ML 系の知識が重複するため、同じ時期にまとめて受けるのが効率的です。
難しい試験から先に挑むか(SAP → SAA、DOP → SOA/DVA など)、基礎から積み上げてから上位に挑むかは、モチベーション管理のスタイルによります。どちらでも構いません。
全冠を締切に合わせて目指す場合は、スケジューリングにいくつか注意点があります。
- 廃止予定の試験がないか確認する。私が受験した時期は MLS が 2026/3/31 に受験終了となっていたため、締切から逆算して早めに受験しました
- 試験バージョンの更新タイミングに注意する。新バージョンは問題集の数が少ない
- 再受験ポリシーを考慮する。不合格から14日間は同一試験を受けられないため、Specialty は締切の少なくとも2〜3週間前には初受験を終えておきたい
番外編: ANS のおすすめ勉強リソース
ここまで読んでくれた方へのボーナスとして、ANS 対策に個人的に大変役立ったリソースをご紹介します。クラスメソッド内でも ANS の苦労話をよく聞きます。誰かの助けになれば幸いです。
- Amazon VPC Connectivity Options: VPC への接続方式を網羅したホワイトペーパー。各オプションの図・比較・メリット/デメリットが整理されています
- Hybrid Connectivity: オンプレミスと AWS 間のハイブリッド接続オプションを網羅したホワイトペーパー。同様に図と比較が充実しています
この2つに登場する接続オプションを区別し、すべての用語を把握するだけで、問題演習を始める前の準備としてはほぼ十分です。
おわりに
全冠を取得したことで引き出しとベースの知識が備わり、それらをベースとして実際に手を動かして経験に変えていくことがスムーズになりました。
資格取得はゴールではなく、AWS を体系的に学ぶための手段です。このエントリを読んだ方の役に立てば幸いです。







