AWS CodeCommitからGitHubへ移行した際のコストの変化を調べてみた

AWS CodeCommitからGitHubへ移行した際のコストの変化を調べてみた

Clock Icon2025.05.08

こんにちは!クラウド事業本部の吉田です。

前回の記事に引き続き、AWS CodeCommitからGitHubへの移行についてまとめようと思います。

前回の記事:AWS CodeCommitからGitHubへの移行方法をまとめてみた | DevelopersIO

今回は、AWS CodeCommitからGitHubへ移行した際のコストの変化を調べてみました。

まとめ

  • ユーザー数による課金は GitHubの方が高くなる
    • Freeプラン以外は以下のコスト増加になる
      • Teamプラン: 1ユーザーにつき、$3/月($36/年) 増加
        • 5ユーザーまでは、1ユーザーにつき $4/月($48/年) 増加
      • Enterpriseプラン: 1ユーザーにつき、 $20/月($240/年) 増加
        • 5ユーザーまでは、1ユーザーにつき $21/月($252/年) 増加
  • CI/CDをGitHub Actionsに移行する場合、無料枠に注意する必要がある
  • その他にも下記の機能を利用する場合は、追加コストがかかる可能性がある
    • GitHub Codespaces
    • GitHub Packages
    • GitHub Copilot

AWS CodeCommitの料金体系

AWS CodeCommitは、主に アクティブユーザー に対して課金されます。
アクティブユーザーですが、以下の条件でカウントされます。

  • AWS CodeCommit リポジトリにアクセスするAWS Identity (IAM ユーザー/ロール、フェデレーティッドユーザー、ルートアカウント)
  • リポジトリの詳細まで開くとアクティブユーザーとしてカウント
    • リポジトリ一覧までの閲覧はアクティブユーザーとてカウントされない

参考記事:CodeCommit を使用したユーザーの人数分よりも多く課金された場合の対処方法 | DevelopersIO

ストレージとGitリクエストも課金対象となるのですが、この部分が課金されるケースはほとんどありません。
こちらは後述します。

料金体系は以下の通りです。

  • 5人 のアクティブユーザーまでは 無料
  • 5人より多い場合 は1人につき $1/月 かかる

アクティブユーザー数によって比例する特典が付与されます。
(無料枠利用時の特典もあるのですが、割愛します)

  • アクティブユーザーごとに 10 GB/月のストレージ
  • アクティブユーザーごとに 2,000 件の Git リクエスト/月

例えばアクティブユーザーが100人の場合、以下の特典が付与されます

  • ストレージ: 100×10GB=1000GB/月
  • Gitリクエスト:100×2000件=20万リクエスト/月

特典で付与されるストレージとGitリクエストを超過したら、以下の追加コストがかかります。

  • $0.06/GB/月
  • $0.001/Git リクエスト

ただ、先ほどお見せした例からわかる通り、特典により十分な量が提供されます。
ほとんど超過するケースはないと思われるので、AWS CodeCommitはアクティブユーザー数で課金されると考えていいです。

GitHubの料金体系

GitHubも、AWS CodeCommitと同様に基本的にはユーザ数による課金となります。
GitHubは、プランごとにユーザー数による料金体系が異なります。

プラン 料金 用途
Free 無料 個人開発向け
基本機能提供
Team 1ユーザーにつき、 $4/月($48/年) 個人または小中規模プロジェクト向け
チーム連携を効率化する機能を提供
Enterprise 1ユーザーにつき、 $21/月($252/年) 大規模組織向け
高度なセキュリティを提供

AWS CodeCommitとは以下の部分が異なります。

  • AWS CodeCommitのように「5ユーザーまで無料」という無料枠はない
  • AWS CodeCommitのようにストレージ[1]とGitリクエストによる課金はない
    • ただし、AWS CodeCommitを利用していた時もこれらによる課金が発生する可能性はほとんどないため、アドバンテージはあまりない

プランの料金体系からわかる通り、ユーザー数による課金は基本的にGitHubの方が高くなります。
無料で利用できるFreeプラン以外プランの場合、以下のコスト増加になります

プラン AWS Commitと比較しての増加コスト
Team 1ユーザーにつき、$3/月($36/年) 増加
5ユーザーまでは、1ユーザーにつき $4/月($48/年) 増加
Enterprise 1ユーザーにつき、 $20/月($240/年) 増加
5ユーザーまでは、1ユーザーにつき $21/月($252/年) 増加

また、GitHubに移行するにあって、CI/CD環境をGitHub Actionsに移行する場合があると思います。
GitHub Actionsを利用するにはワークフローのジョブを実行するためのランナーが必要となります。
ランナーとしては、以下の2種類を利用できます。

  • GitHub ホステッドランナー
    • GitHubが提供するランナー
    • 使用時間[2]とストレージ[3]が課金対象となる
  • セルフホステッドランナー
    • ユーザーが実行環境を用意し、その上でワークフローのジョブを実行する
    • ジョブの実行に関わるコストは無くなるが、リソースの起動によるコストが発生する
      • 例えばAWSのEC2を利用する場合はEC2の実行料金がかかる

プランごとにGitHub ホステッドランナーの無料枠が用意されていますので、その無料枠に収まればGitHub Actionsは無料で利用できます。
ただし、ワークフローのジョブの内容によっては、無料枠を超える可能性は十分にありますので、その点を注意しながら利用してください。

プラン 使用時間 ストレージ
Free 2000分/月 500 MB
Team 3000分/月 2GB
Enterprise 50,000分/月 50GB

その他にも、GitHubの機能を利用する場合は、追加コストがかかる可能性があります。

  • 一例
    • GitHub Codespaces
    • GitHub Packages
    • GitHub Copilot

AWS CodeCommitとGitHubのコスト比較

AWS CodeCommitとGitHubと料金体系をまとめましたので、同じ条件下でどのようにコストが変化するのか見ていきます。

以下の条件で算出します。

  • ユーザー数は100人
  • AWS CodeCommit利用時は特典(ストレージとGitリクエスト)超過による追加コストが発生しなかった
  • GitHub ActionsなどのGitHubの機能によるコストは考慮外とする
  • GitHubのFreeプランは考慮外とし、TeamプランとEnterpriseプランそれぞれのコストを算出
コスト 計算式
AWS CodeCommit $95/月 (100-5)×$1=$95/月
無料枠:5人
有料枠:100-5=95人
GitHub(Teamプラン) $400/月 100×$4=$400/月
GitHub(Enterpriseプラン) $2100/月 100×$21=$2100/月
GitHub (Teamプラン) とAWS CodeCommitの差額 $305/月($3660/年) $400-$95=$305/月
GitHub (Enterpriseプラン) とAWS CodeCommitの差額 $2005/月($24060/年) $2100-$95=$2005/月

最後に

AWS CodeCommitからGitHubに移行すると、個人利用でない限りコスト増加は避けられないと思います。
こうしてまとめてみると、AWS CodeCommitのお得さを実感しました。
今まで安価で利用できていたことに感謝したいと思います。

以上、クラウド事業本部の吉田でした!

参考資料

脚注
  1. リポジトリのストレージを指しております。GitHub ActionsやGitHub Packagesなどの機能で利用するストレージに対しては課金される可能性があります。 ↩︎

  2. Linuxを基準として、ランナーのOSによって倍の使用時間が消費されます。詳細は公式ドキュメントを参照してください。 ↩︎

  3. GitHub Actions ワークフローの成果物(artifacts)の保存領域を指します。こちらは使用時間のように毎月無料枠がリセットされないので、定期的にartifactsを削除する必要があります。 ↩︎

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