AWS Elemental Link HDの販売終了にともないLink UHDでのHD送信が可能になりました

AWS Elemental Link HDの販売終了にともないLink UHDでのHD送信が可能になりました

オレンジ色のLink HDデバイスの販売終了予定がアナウンスされました。また黒色のLink UHDデバイスでHDワークフローに最適化するよう、MediaLiveへの入力解像度の指定ができるようになりました。
Clock Icon2025.04.14

はじめに

清水です。AWS Elemental MediaLiveやAWS Elemental MediaConnect用のセットアップ済みライブエンコーダデバイスとして動作するAWS Elemental Linkについてのアップデートが2025/04/11付けでWhat's New at AWSに掲載されていました。

AWS Elemental Link UHDで、Link HDの販売終了にともないHD Ingest設定を追加するというアップデートです。本エントリではこのアップデートの詳細について確認してみます。

まずはひさしぶりのElemental Linkのアップデート、かつLink HDとLink UHDの違いがとても重要なアップデートとなるので、はじめのこれら2つの違いを簡単にですが押さえておきます。なお、リリース時期なども含めたより詳細な2つのデバイスの違いの比較は以下エントリの冒頭「改めてElemental LinkとLink UHDを振り返る 」にまとめていますので、あわせてご確認ください。

2つのデバイスですが、見た目が異なっており違いがわかりやすいかと思いますので、Elemental linkの製品ページ、のDevicesの箇所の写真とともに確認していきましょう。

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引用元: AWS Elemental Link - Amazon Web Services

上段の オレンジ色の筐体がLink HDデバイス です。最大で1080p/60fpsの映像をMediaLiveに送信することができます。値段は$995です。

下段の 黒色の筐体がLink UHDデバイス です。最大で2160p/60fps(4K)の映像をMediaLiveならびにMediaConnectに送信することが可能です。Link HDと比べるとより高機能、ハイエンド筐体といったところでしょうか。そのぶん、Link HDよりも高価で値段は$4,995です。

Link HD(オレンジ色)とLink UHD(黒色)の違いが確認できたところで、改めて今回のアップデート情報をチェックしていきましょう。1つ目は Link HDデバイスの販売終了のアナウンス です。

なお、Link UHDデバイスについては引き続き購入可能です。またLink HDデバイスのサポートも継続されるとのことです。あくまでオレンジ色のLink HDデバイスの販売のみ終了となる点に注意しましょう。

販売終了については本ブログエントリ執筆時点(2025/04/14)の段階で、 2024/04/15 と記載されています。過去の日付であることと、以下に示すようにマネジメントコンソールからはまだ購入はできそうなので、日付の誤記載かと考えています。ということで、販売終了のタイミングについては正確に把握できていないのですが、2025/04/15か、2026/04/15などかと推測しています。(これまで、AWSサービスのサポート終了についてはアナウンスから1年ほどの猶予があったことが多い印象です。であれば後者の2026/04/15になるのかな、と推測しています。)

現段階(2025/04/14)のElemental Linkの注文ページについて確認してみました。AWS Elemental Appliances and Softwareのマネジメントコンソール、AWS Elemental LinkのPlace orderに進みます。Productの欄を確認すると、Link HDならびにLink UHD双方が表示される状態でした。(そして特に販売終了については掲載されていませんね。)

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続いて2つ目のアップデートは、 Link UHDデバイスでHD解像度を指定して送信 ができるようになりました。冒頭で確認した通り、Link UHDは4K/UHDでの映像送信が可能なデバイスです。あえてIngestの際にHD解像度を選択できることの利点を確認してみましょう。

これまでLink UHDとMediaLiveの連携の際は、MediaLiveのInput料金としてLink HDよりも高額な料金テーブルが適用されてきました。MediaLiveの料金ページ、Input pricingの項目でAWS Elemental Link inputsを確認してみましょう。例として、東京リージョンでStandard channelをOn-demand料金で使用するケースを考えます。Link HDデバイスの場合は$1.4743/hrですが、Link UHDデバイスの場合は$8.1084/hrの料金となっていますね。

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引用元: Live Video Encoding – AWS Elemental MediaLive Pricing – AWS

Link HDの販売終了にともない、今後はHDコンテンツを扱うワークフローでもLink UHDを使用する、という場面もあるかもしれません。その際に、MediaLiveへIngestしている映像としてはHDなのだから、MediaLive Inputの料金もHDのものにできる、というアップデートと理解しています。

さて、このLink UHDで入力解像度の設定ができるようになったアップデートについて、マネジメントコンソールから実際の設定項目を確認、HD解像度を指定してIngestしてみた、といきたいのですが、あいにくLink UHDデバイスは手元になく、マネジメントコンソールでの表示もできません。

代わりにAPIやドキュメントの更新内容などから、今回のアップデートがどのようなものだったのかを押さえてみます。

APIで追加された設定項目を確認

APIの更新履歴から、今回のLink UHDデバイスで入力解像度としてHDが指定できるようになったアップデートについて確認してみます。APIの更新確認に便利なサイトAWS API Changesをチェックしてみると、2025/04/10付けでMediaLiveに以下のアップデートがあったことが確認できます。

変更内容としては、Add support for CMAF Ingest CaptionLanguageMappings, TimedMetadataId3 settings, and Link InputResolution.ということです。いくつかのアップデートのうち、最後のLink InputResolutionが今回のアップデートに該当しそうですね。

このアップデートについて詳細を確認してみましょう。今回はBoto3のドキュメントでアップデート前後のバージョンを確認してみました。

Boto3のCHANGELOGによると、バージョン 1.37.32 で今回のアップデートがあったようです。

  • api-change:medialive: [botocore] AWS Elemental MediaLive / Features : Add support for CMAF Ingest CaptionLanguageMappings, TimedMetadataId3 settings, and Link InputResolution.

Boto3のドキュメントから、MediaLive.Client.update_input_deviceの項目を確認してみます。

上記URLは現時点で最新の1.37.33のものですが、URLのlatest部分をバージョン番号に置き換えることで、該当バージョンのドキュメントが参照できます。

アップデートの1つ前のバージョン、1.37.31について確認してみましょう。

Reqeust Syntaxは以下のようになっていました。

update_input_device (1.37.31)のRequest Syntax
response = client.update_input_device(
    HdDeviceSettings={
        'ConfiguredInput': 'AUTO'|'HDMI'|'SDI',
        'MaxBitrate': 123,
        'LatencyMs': 123,
        'Codec': 'HEVC'|'AVC',
        'MediaconnectSettings': {
            'FlowArn': 'string',
            'RoleArn': 'string',
            'SecretArn': 'string',
            'SourceName': 'string'
        },
        'AudioChannelPairs': [
            {
                'Id': 123,
                'Profile': 'DISABLED'|'VBR-AAC_HHE-16000'|'VBR-AAC_HE-64000'|'VBR-AAC_LC-128000'|'CBR-AAC_HQ-192000'|'CBR-AAC_HQ-256000'|'CBR-AAC_HQ-384000'|'CBR-AAC_HQ-512000'
            },
        ]
    },
    InputDeviceId='string',
    Name='string',
    UhdDeviceSettings={
        'ConfiguredInput': 'AUTO'|'HDMI'|'SDI',
        'MaxBitrate': 123,
        'LatencyMs': 123,
        'Codec': 'HEVC'|'AVC',
        'MediaconnectSettings': {
            'FlowArn': 'string',
            'RoleArn': 'string',
            'SecretArn': 'string',
            'SourceName': 'string'
        },
        'AudioChannelPairs': [
            {
                'Id': 123,
                'Profile': 'DISABLED'|'VBR-AAC_HHE-16000'|'VBR-AAC_HE-64000'|'VBR-AAC_LC-128000'|'CBR-AAC_HQ-192000'|'CBR-AAC_HQ-256000'|'CBR-AAC_HQ-384000'|'CBR-AAC_HQ-512000'
            },
        ]
    },
    AvailabilityZone='string'
)

続いて、今回のアップデートがあったバージョン1.37.32を確認します。

Request Syntaxは以下となっていました。

update_input_device (1.37.32) のRequest Syntax
response = client.update_input_device(
    HdDeviceSettings={
        'ConfiguredInput': 'AUTO'|'HDMI'|'SDI',
        'MaxBitrate': 123,
        'LatencyMs': 123,
        'Codec': 'HEVC'|'AVC',
        'MediaconnectSettings': {
            'FlowArn': 'string',
            'RoleArn': 'string',
            'SecretArn': 'string',
            'SourceName': 'string'
        },
        'AudioChannelPairs': [
            {
                'Id': 123,
                'Profile': 'DISABLED'|'VBR-AAC_HHE-16000'|'VBR-AAC_HE-64000'|'VBR-AAC_LC-128000'|'CBR-AAC_HQ-192000'|'CBR-AAC_HQ-256000'|'CBR-AAC_HQ-384000'|'CBR-AAC_HQ-512000'
            },
        ],
        'InputResolution': 'string'
    },
    InputDeviceId='string',
    Name='string',
    UhdDeviceSettings={
        'ConfiguredInput': 'AUTO'|'HDMI'|'SDI',
        'MaxBitrate': 123,
        'LatencyMs': 123,
        'Codec': 'HEVC'|'AVC',
        'MediaconnectSettings': {
            'FlowArn': 'string',
            'RoleArn': 'string',
            'SecretArn': 'string',
            'SourceName': 'string'
        },
        'AudioChannelPairs': [
            {
                'Id': 123,
                'Profile': 'DISABLED'|'VBR-AAC_HHE-16000'|'VBR-AAC_HE-64000'|'VBR-AAC_LC-128000'|'CBR-AAC_HQ-192000'|'CBR-AAC_HQ-256000'|'CBR-AAC_HQ-384000'|'CBR-AAC_HQ-512000'
            },
        ],
        'InputResolution': 'string'
    },
    AvailabilityZone='string'
)

HdDeviceSettingsUhdDeviceSettingsのそれぞれに、'InputResolution': 'string'が追加されています。(なお、Only UHD devices can specify this parameter.ということで、HdDeviceSettingsで項目はあれど設定はできないものと認識しています。)この追加された設定項目Input Resolution がその名の通り入力解像度の指定項目に該当し、入力ソースの解像度としてHDまたはUHDが指定可能となっています。

MediaLive User Guideの確認

続いてMediaLiveのUser Guideについても確認してみます。MediaLive User GuideのDocument historyページを参照すると、2025/04/10付けでUHD Link support HD and UHD resolutionという更新があったことが確認できます。

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引用元: Document history for user guide - MediaLive

該当ページ、Configuring a Link device - MediaLiveを確認しましょう。 ページ終盤に Input resolution という設定項目についての記載があります。

LinkデバイスがUHDであり、MediaLiveの入力ソースである場合に適用される(MediaConnect flowにアタッチされている場合は適用されない)項目で、デバイスが送信する解像度にあわせてHDUHDを選択、またMediaLiveはここで指定した値にもとづいて発生する入力料金をHDかUHDかを計算する、ということが記載されています。MediaLiveのUser GuideからもLink UHDでの入力解像度の指定について確認することができました。

まとめ

AWS Elemental Link HDデバイスの販売終了のアナウンス、ならびにAWS Elemental Link UHDデバイスで入力解像度が指定可能になるアップデートについてお届けしました。

オレンジ色のLink HDデバイスは私も実際に手にして使ってみたこともあり、販売終了をさみしく思います。しかし、もうリリースから5年も経っていたのか!という驚きもあります。Link HDの販売終了にともない、LinkデバイスとしてはハイエンドなLink UHDのみのラインナップとなってしまいました。今後、Link HDのような比較的手にしやすいLinkデバイスのリリースはあるのでしょうか?より小型になったLink HD v2とかがリリースされると嬉しいなぁなどと思いつつ、販売終了のさみしさを紛らわしていきたいと思います。

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