[アップデート] Amazon CloudFront に定額プランが登場しました

[アップデート] Amazon CloudFront に定額プランが登場しました

2025.11.19

いわさです。

先日アナウンスがありましたが、Amazon CloudFront に定額料金プランの概念が登場しました。

https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2025/11/aws-flat-rate-pricing-plans/

これまではリクエスト数とデータ転送量に応じた従量課金(Pay-as-you-go)だったのですが、定額料金(Fixed-rate / Flat-rate)プランも選べるようになりました。
まずは各料金プランの概要と、マネジメントコンソール上の変更点などをまとめてみます。

料金プラン

料金ページはすでに更新されています。

https://aws.amazon.com/cloudfront/pricing/

まず、従来の定額料金プランでは以下の4つのプランから選ぶことが出来ます。

  • Free(0 ドル/月)
  • Pro(15 ドル/月)
  • Business(200 ドル/月)
  • Premium(1,000 ドル/月)

料金ページによると、公式ドキュメントには明記されていなかったのですが、個別に AWS 相談の上導入できる Custom pricing というのもあるみたいです。
これは CFRC (CloudFront Reserved Capacity) と同じなのかな。

まず、定額プランと従来の従量課金プランの違いですが、大きな点はプランごとにリクエスト数と通信量の使用上限が設けられている点です。
フリープランの場合は 100万リクエスト/100GB が上限となっています。プロプランの場合は 1,000万リクエスト/50GB が上限です。
えっ、15 ドルで 50TB 使えるの?

あとはプランごとに様々なオプション機能が付与されています。
例えば、オリジンフェイルオーバーの機能はプレミアムでのみ利用できます。
また、VPC オリジンについてはビジネス以上で利用ができます。
フリープランでは WAF のルール数が 5 つまでで、利用できるマネージドルールも制限されていますが、プロ以上の場合は様々な追加ルールが利用できます。

なお、従来の従量課金プランも引き続き利用可能で、料金ページも別で用意されています。

https://aws.amazon.com/cloudfront/pricing/pay-as-you-go/

マネジメントコンソールによると、以下の場合は従量課金プランを選択してくださいとのこと。

  • 月間 50TB または 5 億リクエストを超える場合
  • 機能の選択を制御する必要がある場合
  • 制限事項に該当すると困る場合

制限事項

公式ドキュメントに記載されていますが、定額料金プランの場合はサポートされていない機能がありますので注意しましょう。

https://docs.aws.amazon.com/AmazonCloudFront/latest/DeveloperGuide/flat-rate-pricing-plan.html#pricing-plan-unsupported-features

以前登場したマルチテナントディストリビューションやリアルタイムアクセスログ、継続的デプロイなどが使えないのに加えて、Lambda@Edge も使えません。

https://dev.classmethod.jp/articles/cloudfront-multitenant-distribution/

https://dev.classmethod.jp/articles/cloudfront-support-real-time-log/

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-cloudfront-continuous-deployment/

使用上限を超えるとどうなる...?

一番気になったところはここです。
使用上限を超えるとどうなるのでしょうか。止まっちゃう?超過料金が発生する?

以下公式ドキュメントに記載がありました。

https://docs.aws.amazon.com/AmazonCloudFront/latest/DeveloperGuide/flat-rate-pricing-plan.html

まず、それぞれのプランに上限が設けられていますが、使用量上限の 50%、80%、100% に達した時点で、自動メール通知が届くようです。
そして使用量が上限を超えた場合でも超過料金は発生しないとのこと。
これは予期せぬトラフィック増加や攻撃などにも安心して使えそうです。

ただし、「定額料金プランの上限を超えた場合、AWSは適切な措置を講じる場合があります」とも記載があります。
スロットリングがかかってパフォーマンスが低下したり、あるいはプランの変更などが想定されているようです。

使用上限を監視して適切にプランアップグレードは前提としたほうが良いですが、予期しないバーストくらいは使わせてくれそう。という温度感でしょうかね。

マネジメントコンソール

マネジメントコンソールも色々変わっていますので見てみます。
まず初回アクセス時は次のような表示がドーンとコンソールに表示されます。

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新規ディストリビューションを作成してみましょう。
まず初めにプランを選択から開始するようになりました。

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各プランの説明は先程の通りですが、従量課金プランを選択したい場合は以下を選択します。

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定額のフリープランを選択してみると、VPC オリジンが選択出来ませんでした。

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また、セキュリティ構成では既存の Web ACL のアタッチが出来ませんね。
この画面で必要な最低限の設定をまず行います。そしてプランに応じて選択できるオプションが変わっています。

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ちなみに定額プランで作成した場合、CloudFront が自動で Web ACL を作成します。
これは CloudFront に管理されている特殊な Web ACL になっています。

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たとえば、フリープランの場合は SQL Injection マネージドルールが選択できなかったり、ルールの上限が 5 つだったと思いますが、次のように Web ACL 上でのカスタマイズが制限されていました。

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従量課金プランの場合は次のように Web ACL のアタッチが出来ますし、カスタマイズも出来ます。

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作成時のレビュー画面ではプランの料金と当月の見積もり額が表示されます。
この感じからすると、月途中で契約した場合は末日まで日割りで計算されているようです。

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作成後ですがディストリビューション一覧にプランが表示されるようになっていて確認ができます。

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プランの変更

従量課金プランについては以下から定額プランに変更することができます。

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なお、定額プラン間でのプラン変更もできます。
また定額プランの場合は次のように使用上限に対してどの程度使っているのかも確認ができます。

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ただし、月内に定額プランから従量課金プランへの変更は出来ません。従量課金プランの選択がないですね。
後述しますが、定額プランのキャンセル処理が必要になります。

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プランのキャンセルとディストリビューションの削除

定額プランのディストリビューションですが、削除は出来ません。次のようにエラーが発生します。

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ではどうするかというと、まず定額プランのキャンセルを行う必要があります。
定額プランのキャンセルを行うことで、次月から従量課金プランに移行することができます。月末までは現在の定額プランでの料金が発生し続けます。
変更方法ですが、ディストリビューション詳細のプラン変更コンソールから、「Cancel plan」を選択します。これです。

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そうすると、プランのキャンセルが予約されますので、次月から自動で従量課金プランに切り替わるようです。なるほど。

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ちなみにこの時点ではやはりまだディストリビューションの削除はできなくて、次月に従量課金プランに切り替わるのを待つ必要があります。

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AWS Pricing Calculator

AWS Pricing Calculator で CloudFront 料金の試算しますよね。
すでにこちらにも定額プランが追加されていました。フラットレートを選択し、プランごとにディストリビューションの数を入力するだけです。簡単だ。

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さいごに

本日は Amazon CloudFront に定額プランが登場したので、プランの内容を確認しつつ実際にディストリビューションの作成や削除をしてみました。

軽く試算しましたが、リクエスト数と転送量だけで考えるととんでもなく安く使えるのではないですかね。
いくつか設定できなくなる項目があったりカスタマイズがしにくくなる場合がありますが、それらの前提を許容できそうであれば積極的に検討していく感じが良さそうですね。

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