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メインフレームを本気でAWSにマイグレーションする「AWS Mainframe Modernization」が発表されました! #reinvent

AWSとメインフレーム、今までは対極に位置する存在と思われていましたが、AWSがメインフレームからのマイグレーションを本気で推進する意欲的なサービス「AWS Mainframe Modernization」の概要解説記事です。
2021.12.01

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

「AWSからメインフレームをモダーンにするやつが発表されたで!」

「………おまえは何を言っているんだ?」

正直、最初聞いたときは全く意味がわかりませんでした。メインフレームってパブリッククラウドからは一番遠いところにあり、データセンターの奥深くに鎮座し専用ハードとネットワークでしかアクセスできないイメージ。

そんなメインフレーム領域のクラウド環境へのマイグレーションに真正面から応える「AWS Mainframe Modernizations」について、公開されている情報を元にQA形式で情報をまとめてみました。

今までは水と油のような存在だったAWSとメインフレームの橋渡しになるようなエポックメイキングなサービスだと思うので、是非概要だけでもご覧いただければ。

AWSとメインフレームの融合きたか…!!

  ( ゚д゚) ガタッ
  /   ヾ
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AWS Mainframe Modernizationの公式情報

公式のアップデートブログ

メインのサービスページ

概要を説明する動画

Developer向けドキュメント

以下、公式ページの内容を読み取りながら、自分が感じた疑問点に沿って、QA形式で内容をかいつまんでいきます。

AWSがメインフレームをマネージドサービスとして提供するのか?

このサービスはAWS内にメインフレーム専用のハードを作ってそれをマネージドとして提供するものではなく、メインフレームがホストしているアプリケーションを、Javaに自動的にリファクタリングしてEC2で動作させるか、EC2で動作させるメインフレームマネージドランタイム(エミュレーターのようなもの)を利用して動作させるとのこと。

どちらかというと、メインフレーム上で展開されているアプリケーションワークロードを、今のAWSが提供しているサービスを上手く使ってマイグレーションするための、プロフェッショナルサービスと、EC2で動作させるための専用ランタイムの組み合わせ、というイメージになります。

AWS Mainframe Modernizationsを要約するとなんなのか?

AWS Mainframe Modernizationを使うことで、メインフレームをモダナイゼーションすることが可能。このサービスにより、顧客はオンプレミスのメインフレームを、AWS上のマネージドで可用性の高い環境に移行することができます。

  • クラウドでのスピード感と市場投入までの時間短縮によるアプリケーションとインフラの俊敏性
  • マネージドとして提供される、セキュリティ、回復力、弾力性、コスト効率
  • マイグレーションやモダナイゼーションで必要になる実証済みのツール群

もう少し具体的な移行方法はどうなっているのか?

2つの主要な移行パターンがあります。

  1. COBOLメインフレームのコードをJavaに変換する自動リファクタリング
  2. ミドルウェアエミュレーションを使用したメインフレーム互換ランタイム環境へのリプラットフォーム

キーとなるコンポーネントは?

以下の4種類。

Analyzer

移行チームと開発者が利用する、アプリケーションポートフォリオの分析ツール。プロジェクトの評価、範囲設定、計画支援などを行うことが可能。

Developer

オンデマンドの統合開発環境(IDE)を提供。IDEを使用して、メインフレームアプリケーションを移行したり、マネージドラインタイムで実行されるメインフレームアプリケーションの開発や機能追加を実行可能。

Managed Runtime

クラスターを継続的に監視して、自己修復コンピューティングと自動スケーリングを利用したエンタープライズワークロードを実行。高可用性、信頼性、セキュリティを提供。

Refactoring

自動化されたリファクタリング機能と主導のリファクタリング機能の両方を提供し、レガシーアセットのモダナイゼーションを加速。リファクタリングを使用することで、レガシーアプリケーションの言語の変換、マイクロサービスの作成、UIとアプリケーションソフトウェアの最新化を実行可能。

サポートしているメインフレームのワークロードは?

  • COBOL
  • Programming Language One (PL/1)
  • Job Control Language (JCL)
  • Customer Information Control System (CICS)
  • and many others.

関連するAWSのサービスは?

以下のサービスと連携して動作。

  • Amazon AppStream for access to Micro Focus Enterprise Analyzer and Enterprise Developer.
  • AWS CloudFormation for the automated DevOps pipeline that you can use to set up CI/CD for your migrated applications.
  • AWS Migration Hub
  • AWS DMS for migrating your databases.
  • Amazon S3 for storing application binaries and definition files.
  • Amazon RDS for hosting your migrated databases.
  • Amazon FSx for storing application data.
  • Amazon EFS for storing application data.

AWS Mainframe Modernizationsの始め方は?

AWSコンソールにログインした状態で、以下のリンクから専用フォームで申し込みとのこと。誰でも即使えるわけではありません。

料金は?

利用するコンポーネントにそれぞれ課金。前払いや最低料金はなく、完全に従量課金制。

課金に関わるコンポーネントは以下の4つ。

  • AWS Mainframe Modernization Micro Focus managed runtime
    • オンデマンドインスタンスを選択肢、1時間毎にランタイムの料金を支払うか、長期的なコミットメントによる割引の適用が可能
  • AWS Mainframe Modernization Micro Focus developer tool
    • オンデマンドインスタンスを選択肢、1時間毎にランタイムの料金を支払うか、長期的なコミットメントによる割引の適用が可能
  • AWS Mainframe Modernization Micro Focus build tool
    • 追加料金なし
  • AWS Mainframe Modernization Micro Focus analyzer tool
    • 追加料金なし

突然現れたメインフレームのマイグレーションサービス

まだ具体的なツールやランタイムを触っているわけではないのですが、まさかメインフレームからのマイグレーションを、AWSがここまで本気で狙って準備してサービスインしてくるとは思ってもみませんでした。

世の中のミッションクリティカルな領域では、まだまだメインフレームが活躍しているわけですが、特に聖域を設けず、ユーザーのためになることなら何でもやってしまうAWSの気合が垣間見えるサービスです。

実際試すには、入力フォームからの申込みが必要ですが、メインフレームに携わっている皆さんに置きましては、一度申込みの上、どんなことが本当にできそうなのか試してみると良いのではないでしょうか。

それでは、今日はこのへんで。濱田(@hamako9999)でした。