AWS re:Invent 2019 DevOpsの中でのインスティテューショナル・メモリー[Institutional memory] って何だろう #reinvent

2019.12.22

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はじめに

AWS re:Invent 2019 O’Reillyブースで配布してたDevOpsの薄い本を読む #reinvent | Developers.IO 『Collaborating in DevOps Culture』とう本を紹介しました。その中の 第2章 実際のコラボレーション > コラボレーティブなプロダクション > 組織的学習 の中に聞いた事のない単語「インスティテューショナル・メモリー(Institutional memory)」が出てきました。

日本語の情報も少なく、DevOpsという文脈の中ではどういう意味なんだろう、と思ったので、上記冊子の章を掘り下げてみました。

ちなみに翻訳サイトでは、 “制度的記憶” や “組織に蓄積された記憶” と訳されます。

引用と理解

インスティテューショナル・メモリーは組織全体が過去の経験から学んだことを、どれだけ覚えているかを表します。インスティテューショナル・メモリーが乏しい組織では「これが私達のいつものやり方である」ということは知っていますが、誰も なぜ やっているかを知りません。歴史的背景とトレードオフを理解することは、弾力性[resiliency]を構築するのに役立つため、インスティテューショナル・メモリーが乏しいと、システムや組織が脆弱になります。

例えば、自分のやっている事が なぜ やっているか分からなければ、もっと良くしようと改善することができません。また、何かいつもと違う状態になった時に、どうしたらよいのか、判断できないでしょう。そのあたりが背景や理由を知らないと脆弱で、理解すると弾力性を構築するのに役立つと言われている、と理解しました。

インスティテューショナル・メモリーを構築し、維持することは共同的な取り組みです。主な目的は、個人やチームに限定せずに、適切な価値ある知識が、組織全体で広く共有されるのを保証することです。この学習を手助けするために、アーティファクトが組織全体でアクセス可能で検索可能、そして長期的に利用可能になる方法で保存されるようにしてください。これらのアーティファクトには次のものが含まれます。

・タイムライン、議事録、事後分析とふりかえりの記録
・アラート設定、可能であれば、コミットメッセージで特定のアラートが追加された理由を説明できるように、ソース管理に追加すべき
・意思決定の記録、プロジェクトの提案、設計文書、および同様の計画時の成果物。 理想的には、これらには、検討された代替案の議論や、特定の決定が行われた理由について、将来のエンジニアに知らせるのに役立つ、背景の情報が含まれまるとよい

インスティテューショナル・メモリーの範囲は組織全体なんですね。そして、背景や理由が分かることを記録して必要な人がアクセスできるようにし、今の組織にいる人々だけではなく、将来、関わる事になった人にとっても有益になるんだぞ、ということでした。上記の例では文章として残すように感じますが、口頭や行動、または文化としてでも、伝えられる事も多くあるはずだと感じました。

他の多くの単語と同様に、全く新しい概念ではなさそうですが、強い組織になるには重要な概念が、インスティテューショナル・メモリーという単語になったんだと認識しました。

DevOpsとは関係のないところですが、最大のインスティテューショナル・メモリーの例は宗教だ、という記事がありました。皆が知ってる例は理解を助けてくれますね。

参考