【書評】サーバーレスアプリケーション開発ガイド

【書評】サーバーレスアプリケーション開発ガイド

Clock Icon2025.03.20

こんにちは!製造ビジネステクノロジー部の小林です。

先日、オフィスの備品棚で偶然見つけた本書。多くの学びがあったので書評としてまとめてみました!

本書の魅力

この本の最大の魅力は、サーバーレスアプリケーションを「入門から実践まで」一気通貫で解説している点です。基本概念の丁寧な説明から始まり、実際に動くアプリケーションの構築手順まで、段階的に学べる構成になっています。
具体的な実装例が豊富に掲載されており、読み進めるたびに「これやってみたい!」という気持ちになりました。

書籍情報

https://book.mynavi.jp/ec/products/detail/id=89081

ソース

本書で紹介されているサンプルコードは、以下のサポートサイトで公開されています。
https://book.mynavi.jp/supportsite/detail/9784839964566.html

著者

西谷 圭介(にしたに・けいすけ)さん

SIerでインフラおよびアプリのエンジニアとして金融系基幹システムの開発等に従事。その後、新規事業の企画や開発を経てアマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社へ。
ソリューションアーキテクトとして当初はスタートアップ、Web サービスを担当し、現在はアプリケーション開発者向けにコンテナ/DevOps/マイクロサービス/サーバーレスといった技術領域におけるエンゲージメントから技術支援までをリード。

目次

  • Chapter1 サーバーレスアプリケーションの概要
  • Chapter2 Amazon Web Services(AWS)利用の準備
  • Chapter3 インフラを自動化しよう
  • Chapter4 Twitterのリアルタイム分析をしよう
  • Chapter5 写真投稿サイトをシングルページアプリケーションで作ろう
  • Chapter6 サーバーレスアプリケーションのライフサイクル管理
  • Chapter7 サーバーレスアプリケーションのトラブルシューティング

AWSアカウント作成からサーバーレスアプリケーション作成まで一気通貫

魅力的だなと思ったのは、本書の入口は、AWSアカウント作るところからなんです。
著者は、AWS環境の基礎となる重要概念を丁寧に解説してくれています。

  • IAMユーザーの設定方法
  • セキュリティポリシーの適切な選択
  • IAMロールの役割と設定
  • AWSリージョンの選び方と影響

特に印象的だったのは、「認証」と「認可」の違いについての明快な説明です。
さらに、サーバーレスアプリケーションの本質的な価値についても深く掘り下げています。

  • サーバーレスアーキテクチャの基本概念
  • 従来のサーバーベースアプリケーションとの違い
  • 導入によるビジネスメリットと運用上の利点
  • 適したユースケースと注意点

AWSの基本知識の説明から始まるのに、読み終わる頃にはSPAで画像解析処理ができるアプリケーションが作れるのは驚きます。

ステップアップできる豊富な実装事例

以下の実装事例について、CLIの手順で詳しく解説されています。

  1. Chapter 3 インフラを自動化しよう
  2. Chapter 4 Twitterのリアルタイム分析をしよう
  3. Chapter 5 写真投稿サイトをシングルページアプリケーションで作ろう
  4. Chapter 6 サーバーレスアプリケーションのライフサイクル管理

ハンズオンは、ステップアップしながら学べる構成になっています。
まずは Amazon Kinesis を使った監視設定 からスタートし、次に Twitter(X)のリアルタイム分析 を実施。
写真投稿サイトをシングルページアプリケーションで作ろうでは、SPA(シングルページアプリケーション)を作成し、認証処理や画像処理までしっかり学べます。最後はAWS SAMとAWS CodeDeployを利用したCI/CD環境を実現します。

丁寧な解説がついているので、初心者でも安心して進められるのが嬉しいです。
このハンズオンをこなせば、確実にスキルアップできるはず!

複数環境についての解説

Chapter6 サーバーレスアプリケーションのライフサイクル管理では、AWS SAMとAWS CodePipelineを利用したCI/CD環境を構築する内容を解説しています。この章で特に印象に残ったのは、開発・テスト・本番といった複数環境の実現アプローチについての考察です。著者は環境分離の2つの主要な戦略を比較し、それぞれのメリット・デメリットを明確に説明しています。

  1. 同一AWSアカウント内での複数スタック管理
  2. 環境ごとに異なるAWSアカウントを使用

この比較分析は、プロジェクトの規模や要件に応じた最適な選択肢を判断する上で参考になると思います。

サーバーレスアプリケーションのトラブルシューティング

最終章では、サーバーレスアプリケーションの稼働状況を監視し、問題を解決するための実践的な方法が解説されています。著者は主要なAWSサービスのメトリクスについて詳しく説明しています。

  • AWS Lambda
  • Amazon API Gateway
  • Amazon CloudWatch
  • AWS Step Functions
  • Amazon DynamoDB

また、AWSコンソールでCloudWatchのメトリクスを確認する手順も解説されています。
筆者は初めてCloudWatchコンソールを見た時、見方が分からず戸惑った経験があるので、この解説はありがたいです。
最後は分散アプリケーションのトレースに欠かせないAWS X-Rayの実装方法と活用法も紹介されています。

まとめ

本書は、サーバーレスアプリケーションの「入門書」でありながら、「実践ガイド」としても十分な内容を備えています。基礎概念から実装、そして運用までを体系的に学べる一冊です。

CLI中心の解説でありながらも、初心者が躓きやすいポイントではAWSコンソールの操作画面を画像付きで解説されており嬉しいです。
サーバーレス初心者はもちろん、これからサーバーレスアプリケーションの導入を検討している実務者にもおすすめできる一冊です!

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