【レポート】実際のメディア業界の事例や試みから学ぶ!「メディア業界で注目の「新技術」をリレー形式でご紹介!」 #AWSSummit
こんにちは、大前です。
AWS Summit Online、みなさま楽しんでいますでしょうか。
本記事ではオンデマンドセッション「メディア業界で注目の「新技術」をリレー形式でご紹介!」についてレポートの方書いていきたいと思います。
セッション概要
スピーカー
- 株式会社Jリーグ マルチメディアカンパニー部門 マルチメディア事業統括部長 岩貞 和明 氏
- 株式会社イマジカ・ライヴ メディア・企画局 局長 河田 恭裕 氏
- 株式会社ソシオネクスト メディアソリューションチーム 江崎 功太郎 氏
概要
J リーグ様:2019 年 3 月に発表した新たなスポーツ映像体験の提供と、映像関連ビジネスの更なる成長をめざした『Jリーグ FUROSHIKI』構想の概要と、2017 年から稼働している J リーグクラウドメディアセンターのアップデートをご紹介致します。 ソシオネクスト様: 高い圧縮効率で注目を浴びているロイヤリティフリーコーデック AV1 のエンコードに Amazon EC2 F1 インスタンスを活用頂いているソリューションをご紹介致します。
セッションレポート
アジェンダ
- Jリーグ FUROSHIKI 構想とクラウドメディアセンターのアップデート
- 最先端コーデック AV1 とハードウェアアクセラレーションが実現する次世代映像配信
1. Jリーグ FUROSHIKI 構想とクラウドメディアセンターのアップデート
- Jリーグ FUROSHIKI とは
- AWS を使用した世界初のクラウドメディアセンター
- 映像を集める・包む・届けるまでをカバーするコンセプトから FUROSHIKI という名前になっている
- 多様なニーズに答える「映像xData」環境を提供
- エンターテインメント性の向上
- 競技力向上に貢献
- コンセプト
- 現地(スタジアム等)から映像や音声、静止画データ等を取り込む(集める)
- 集めたデータを FUROSHIKI で管理(包む)
- FUROSHIKI から各種パートナーやプラットフォーム等に配信(届ける)
- LIVE SCOUTER や VR など、より付加価値向上につながるチャレンジも行なっている
- FUROSHIKI によって実現される Digital Asset の進化
- 観戦体験の進化
- 競技レベルの進化
- グローバル発信の進化
- 直接観戦に来れない方に対してもサッカーの観戦体験を提供
- サッカーに限らず全てのスポーツの進化に寄与
- Jリーグクラウドメディアセンター概要
- リーグ戦年間約 1070 試合以上の映像を集約・アーカイブ
- 映像信号は IP(H.264)で収集
- 集めた映像を AWS に集約し、必要に応じてデリバリー
- 大きなアップデートとして、Jリーグの海外放映権を拡大した
- 上記に伴い、クラウド機能のアップデートが求められた
- AWS を利用してリージョン間のリアルタイム映像転送を実現
- 衛星や専用回線ではなく、クラウドで実現
- RTP + FEC から Zixi にプロトコルを変更することによるノイズ対策の強化
- Elemental LIVE から Elemental MediaLive への移行
- AWS を利用してリージョン間のリアルタイム映像転送を実現
- 上記に伴い、クラウド機能のアップデートが求められた
- 構成
- 各種拠点から東京の DC に映像データが集約される
- DC から DX 経由で AWS に映像を伝送
- AWS では MediaConnect + MediaLive による配信を実施
- 配信先は様々
- Jリーグクラブ、JFA審判部
- 各種 SNS
- 各 Rights Holder や放送局
- 自動ハイライト生成システム
- VR システム
- 配信先は様々
- MediaLive + MediaConnnect x Zixi 対応による強力な伝送網の実現
- Zixi を使用して映像を伝送し、各種デリバリー先に映像を伝送
- 将来像
- データ分析
- 機械学習などを活用した付加価値の生成
- 編集業務
- WorkSpaces を活用したリモート編集環境
- ネットワーク
- NTT(Nextmode)と連携しつつ回線のメンテを実施中
- データ分析
- 今後の FUROSHIKI 構想の伝送プラットフォーム部分概要
- ラストワンマイルまで映像コンテンツを放送クオリティで伝送
- フレッツ&クラウドのリージョン間転送の組み合わせにより、海外・国内に伝送
2. 最先端コーデック AV1 とハードウェアアクセラレーションが実現する次世代映像配信
- SOCIONEXT について
- SoC の設計や開発、販売を行う半導体メーカー
- 放送機器、コンシューマ機器向けコーデック SoC を多数提供している
- 最先端ビデオコーデック AV1 とは
- AV1 とは
- Alliance for Open Media という団体が規格化する次世代コーデック
- H.264 を超える圧縮率を実現する事を目的に活動を進めている
- SOCIONEXT は国内では唯一プロモーターとして参加していたりする
- そもそもビデオエンコードとは
- ビデオの符号化を行う際の符号量と画質の組み合わせで最適解を探していく作業
- AV1 の課題
- H.264 の倍以上の圧縮率を実現するために 300倍以上の演算不可が必要となってしまう
- AV1 とは
- ソシオネクストの高速 AV1 エンコーダ
- 開発目的
- AV1 の課題を、ハードウェアによるアクセラレーションを実装する事で解決する
- 実現方法
- EC2 の F1 インスタンスを活用
- エンコード処理をソフトウェアとハードウェアにうまく割り当てる事で効率的な処理を実現
- 開発目的
- 性能
- 圧縮率 ... AV1 が目標としている性能(圧縮率)を実現
- エンコード時間 ... 通常のエンコード時間の 100倍の速度が実現
- 何が嬉しい?
- EC2 を利用することにより、自社で物理ハードウェアを持つ必要がなくなる
- 配信サービスに関わるコストを削減出来る
- 次世代映像配信で求められること
- 市場動向
- 非常に多くの映像配信サービスが普及しており、今後もトレンドはより大きくなっていく見込み
- 上記に伴い、データの大容量化や低遅延の実現など、求められる要件も増えていく
- こういった要件に対応するための技術の1つとして、高圧縮コーデックである AV1 の使用が期待されている
- 市場動向
おわりに
「メディア業界で注目の「新技術」をリレー形式でご紹介!」のセッションレポートでした。
Jリーグさんの様な大規模な映像配信・管理基盤の仕組みについてお話を聞けるのは非常に勉強になりました。
また、AV1 のコーデック時間を 100倍以上短縮する試みについては非常に驚きがありました。(FPGA に関する知識は全くないので中身は理解できなさそうですが。。。)
動画配信に関する業界のトレンドなどをこういった機会に聞けるのは非常にありがたいですね。
以上、AWS 事業本部の大前でした。