【レポート】トリドールの DX 戦略 ~データセンター上のサーバを “AWS” へわずか 3 ヶ月で移行したプロジェクトについて~ #AWSSummit
どうも、もこ@札幌オフィスです。
今年はAWS Summit Onlineという事で、2020/9/8〜9/9の間のライブセッションと、9/30まで視聴可能なAWS認定セッション、お客様事例セッション、セルフペースハンズオン、Partner Discovery Session (パートナーセッション) などなど、場所を選ばずにオンラインで、好きな時に好きなだけ学べるような環境になっています。
本記事はオンデマンドセッション「トリドールの DX 戦略 ~データセンター上のサーバを “AWS” へわずか 3 ヶ月で移行したプロジェクトについて~」のセッションレポートとなります。
セッション概要
株式会社トリドールホールディングス 執行役員 CIO IT 本部 本部長 磯村 康典 氏
国内外へ丸亀製麺を展開する株式会社トリドールホールディングスが、中期 3 か年計画の実現に向けて、業務システムやオペレーション業務を抜本的に見直していくにあたり、まず初めにデータセンター上のサーバをなぜ “AWS” に移行する必要があったかをトリドールの DX 戦略と供にご説明します。 そしてトリドールのミッション・ビジョン・バリューや主要な飲食ブランド等、世界の外食トップブランドを目指す弊社の概要をご紹介します。
セッションレポート
- トリドールの会社概要・Mission-Vision-Value
- トリドールの強み
- 「おもてなしの心」「手作り」「できたて」にこだわり食の感動を提供
- セントラルキッチンを持たずオープンキッチンで臨場感溢れるエンターテイメント性の高い空間を実現
- それらが生み出す「食の感動」を世界に発信
- トリドールのブランド
- 国内1153店舗
- 丸亀製麺が845店舗
- Kona's Cofee
- 味やとん一
- などなど多数ブランドを展開
- 海外ブランド、628店舗
- 丸亀製麺が244店舗
- その他にも雲南ヌードルなど多数ブランドを展開
- 全世界で1781店舗展開、41の国や地域へ展開
- 国内1153店舗
中期3か年計画の概要
- 5年後にトリドールが目指す姿
- 2026年3月期 世界6000店舗、店舗合計売上げ5000億円、連結売上高3500億円で世界外食トップブランドを目指す
- 2021年3月期は新型コロナウイルスの影響を考慮して一旦減益・減収となる
- 2022年3月期にV字回復を果たして、さらに成長して2023年3月期には当期利益100億円を見通している
- 今後のさらなる成長のために構造改革を実施していく
- 投資収益性と成長性の2軸で事業運営を判断する
- 双方のバランスを取りながらキャッシュフローの最大化を目指す
- 中食ニーズの取り込み
- 日本のうどん市場の構造
- 中食が90%で、外食は10%程度
- 外食市場で拡大すると同時に、中食・内食の市場においても果敢に拡大を図る
- 日本のうどん市場の構造
- 取り込みの方向性
- 単なるテイクアウト、デリバリーだけではなく、モバイルオーダーやクラウドキッチンなどの多様な販売チャネルを開拓
- グローバルプラットフォームの構築
- M&Aによりグループに加わった晩杯屋やずんどう屋は丸亀製麺のノウハウなどの事業プラットフォームを使って利益を改善
- 同じように強力なプラットフォームをグローバルでも構築していく
- 強いブランドと強いプラットフォームの掛け合わせによって海外市場の加速度的な成長を目指す
DX戦略の概要
- DXを実施する際に6つの基本ルールを定めている
- クラウドサブスクリプション
- IT資産のノンアセット化、BCP対策
- 今後はIT機器やソフトウェアは購入せずSaaSやDaaSを活用する
- ノンカストマイズ
- 自社独自の仕様にカスタマイズすると仕様を理解する人がベンダーの中でも限られてしまう
- その人たちが居なくなると、改修には多大なコストが掛かってしまう
- 不足している機能は標準機能として実装してもらうか、運用を見直して対応
- 業務アウトソーシング
- 会社運営に不可欠なオペレーション業務はBPOセンターに業務委託する
- グループ企業のPMIを推進しやすくなる
- シングルサインオン
- 全てのシステムのアカウントを一本化するため利用者は圧倒的に便利に
- 一つのパスワードだけ覚えれば良いので、複雑なパスワードを推奨しやすく
- アカウント管理もシンプルになるためアカウントの削除漏れも起きにくくなり情報セキュリティを担保
- SAML対応のベンダーは増えてきている
- ユーザー・プロビジョニング
- 人事情報に元好き各システムの作成と利用、権限を自動的に付与する
- 人事異動、組織変更に強いシステムに
- 人事情報に元好き各システムの作成と利用、権限を自動的に付与する
- APIによるデータ連係
- アカウント以外の店舗・商品などのマスターデータ、売り上げや費用となるトランザクションデータに利用
- クラウドサブスクリプション
- トリドールのDX戦略
- 中食ニーズへの取り込み
- グローバルプラットフォームの構築
- リモートワーク、BCPへの取り組み
- SaaS連携基盤の構築
- 人材開発プラットフォームの構築
- 5つのプロジェクト・25のサブプロジェクトを推進
- トリドールのDXシナリオ2021
- Phase1ではデータセンターを撤退して、全てAWSへ移行
- 業務システムは変わっていないが全てがクラウド化され、障害対応などの運用負荷が軽減されBCP対策が進んだ
- 現在はPhase2
- オンプレミスとSaaSが混在している
- Phase3ではSaaS化とBPO化を目指している
- DXシナリオ実現後のトランザクションデータの流れ
- 売上高、売上原価、人材比、旅費交通費、その他経費を会計システムへ自動で仕分け連携される
- DXシナリオ実現後のアカウント、マスターデータの流れ
- 人事システムからディレクトリーサービスへアカウント情報を連携
- 全てのSaaSにおけるアカウント情報とロール管理を実現
- SaaS間では店舗・商品などはAPIで連携された状態になる
データセンターのクラウド化
- データセンター上のサーバー36台、ストレージ容量21TBをAWSへ移行してデータセンターを完全に撤去した
- プロジェクトの期間は約3ヶ月
- 初回のデータ移行には1ヶ月、その後は差分データを移行日まで移行
- 移行日の2週間前に移行リハーサルを行い、問題点を洗い出して再発防止策を検討
- 約8時間のサービス停止で作業を完了
- 移行に利用したツール
- CloudEndure
- AWS Direct Connect
- AWS移行プロジェクトの総括
- AWSへのフル移行を決断したポイント
- DC上のサーバーは全てWindows, LinuxでAWS上で再現できる見通しがあったこと
- DC運用コストよりも移行後のAWS運用コストの方が下がる見通しが立っていたため
- 短期間で実現出来た理由
- 経営方針に基づいてDX戦略を策定しているためプロジェクト内で決断がぶれなかった
- PJ推進中に問題が発生したら移行日を見直す前提で最短スケジュールを策定したため
- 移行ツール Cloud Endureと、憩うよう回線を用意できたことで移行時間を推測できたこと
- 移行後の効果
- 移行後にサーバーリソースの最適化を行い、運用コストを30%削減出来た
- システムリソース不足によるトラブルが減少したこと
- AWSへのフル移行を決断したポイント