【レポート】 EDIUS on AWS Cloud – ビデオ編集のクラウド対応 #AWSメディア業界シンポジウム #AWSSummit
はじめに
清水です。2017/05/30(火)に行われましたAWS Summit Tokyo 2017 Day1 Dive Deep Day AWSメディア業界シンポジウム「EDIUS on AWS Cloud - ビデオ編集のクラウド対応」のセッションレポートになります。
スピーカーは竹内 克志 氏(グラスバレー株式会社 Vice President & General Manager Editing Systems)です。
ビデオ編集ソフトのEDIUSですが、クラウド対応ということで現在Amazon WorkSpaces上で動作検証などを進めている段階とのことです。少し前まではビデオ編集はクラウドでは無理という風潮でしたが、ここ1年ぐらいで変わってきており、セッション中のデモも含めて今後のクラウドでのビデオ編集の正式なサービス化への期待が高まるセッションでした。
レポート
グラスバレーの紹介
- アメリカの会社。60年の歴史を持つ放送機器メーカー
- カメラから送出サーバーまで放送機器全般をカバーする製品群
- 本社はカナダ、モントリオール
- 現在はアメリカのケーブルメーカーBelden社の一部門
- ビデオ編集ソフトEDIUSは日本製。神戸で開発、世界中で利用されている
- 2003年ぐらいから販売している
- 普通のバージョンは量販店でも販売している
- 放送機器と一緒の販売も行われる
ビデオ編集ソフト EDIUSの紹介
- 最新版バージョン EDIUS 8
- HDWSビデオ編集ワークステーション(Win PCをビデオ編集に特化)も販売
- 4k対応済み、8k対応予定
EDIUSの特徴
- 高速
- 独自の技術により、リアルタイム編集環境を提供
- HQXという独自のコーデックを持つ
- このコーデックで8k編集も技術的には可能
- 高い自由度
- 多種ファイルフォーマットに対応
- 高効率
- CPU性能を最大限に活用
- GPUにはそれほど依存しない設計。GPUなくても編集可能
- クラウド上ではGPUなしインスタンスでは、画面表示でAPI対応せず、プレビューができない
- EC2ではGPUインスタンスを使用している
- CPU性能を最大限に活用
- ニュース用の編集機として国内外で放送局で利用
クラウド対応への要望
- すでにコンテンツがクラウド上にあるケース
- 今後クラウド上でコンテンツ共有をはじめるケース
- 特定のイベントなどで短期間だけ編集機が必要なケース
ビデオ編集ソフトのクラウド対応のタイプ
- 何通りかの実現方法
- 編集ソフトをローカルPCに持つか、オンプレに持つか、クラウドに持つか
- データをオンプレ、クラウド、もしくは複数に持つか
- 今回の構成は、画面だけローカル、オンプレとクラウドにデータを持ち、EDIUSはクラウド上で稼働
- Amazon WorkSpacesを利用
EDIUS on AWS Cloud Demo
デモ環境
- Amazon WorkSpaces
- Location: 東京
- グラフィックス バンドル
- Intel Xeon CPU 2.60GHz
- 8 vCPU
- 15 GiB メモリ
- 1 GPU
- 4 GiB ビデオメモリ
- 100 GB ユーザーストレージ
- Grass Valley EDIUS Pro 8.5
- XAVC-S HD 60p video clips
- Local PC
- Amazon WorkSpaces Desktop
- DELL Latitude E7270
- Intel Corei7 2.6GHz
- 8.0GB メモリ
- Windows 7
デモ実演
- ドラッグすることで編集画面がついてくる
- 通常の編集と同様?ぐらい
- ローカルで動いているのと同じぐらいの体感
- プレビューもなめらか
- フルスクリーン化すると、クラウド上で動いているかどうかわからないぐらい
- ローカルPCは負担かからない
- フルスクリーンプレビューは少しカクつく。これは回線状況(無線LAN)ということもある
- リバースもなめらか
- 使えるかどうかは要検証だが、実用化できるパフォーマンスが、AWSのWorkspaceの機能である程度のレベルまで行っている
クラウド対応の課題
- ビデオ表示のパフォーマンス
- ビデオとオーディオの同期
- ファイル転送のパフォーマンスおよびこすと
- 複数画面のサポート
- クラウド用ストレージへのアクセス方法とパフォーマンス
- 今は普通のWindowsアクセス
- S3にアクセスできるよう改善
- ソフトウェアライセンス管理方法
- アクティベーションがハードウェアに紐づく
クラウド対応の価値
- クラウド上の各種サービスとの連携
- ビデオ解析サービス(例)
- スケーラビリティの向上
- 初期の大規模投資の会費(詳細なサイジング不要)
- 予想外の常用の変動に対応
- コンテンツの共有
- ロケーションフリー
- 事業継続性(BCP)のためのコスト削減
今後の方向性
- 編集ソフト以外の製品のクラウドへの対応
- 各種クラウドサービスとの連携による機能強化
- サービス利用に応じた課金体系
- クラウドを含めた新しいビデオ編集ワークフローの構築
- 課題はまだあるが、なるべく早い段階でクラウド上EDIUSを動作させて、サービスとしたい
感想
ビデオ編集のためにはけっこう良いスペックのPCが必須、というのがこれまでの考えだったと思います。そのため割と大きなラップトップPCやコンパクトではないデスクトップPCなどがビデオ編集作業の際に必要でした。作業はすべてクラウドで行い画面だけローカル処理する、という今回のような環境であれば持ち歩きやすいラップトップでどこでもビデオ編集ができますね。さらにクラウド上のより多くのリソースをビデオ編集や書き出しに使用すればより高速な環境になったり、と、クラウドでのビデオ編集は理想的なかたちだなと感じました。正式なサービスとして展開が待ち遠しいですね。