[アップデート] AWS Transform のカスタムエージェントを構築できる Agent Builder Toolkit が Kiro Power として利用可能になったので試してみた

[アップデート] AWS Transform のカスタムエージェントを構築できる Agent Builder Toolkit が Kiro Power として利用可能になったので試してみた

2026.05.18

いわさです。

AWS Transform は AI エージェントでマイグレーションやモダナイゼーションを加速するサービスです。
先日のアップデートで、AWS Transform 向けのカスタムエージェントを構築・デプロイ・登録するためのツールキット「Agent Builder Toolkit」が Kiro Power として提供されました。

https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2026/05/aws-transform-agent-builder-toolkit/

なんだかよくわからないですが、どうやら開発者がカスタムエージェントというものを作り、AWS Transform から使用させる仕組みがあったらしく、その開発を自動化してくれる Kiro Power みたいです。

今回こちらを確認してみたので紹介します。

AWS Transform のカスタムエージェントと composability についておさらい

今回のアップデートを理解するために、前提となる「composability」の概念がありまして、私がそれを知らないので整理します。

AWS Transform には AWS が用意した変換エージェント(Java アップグレード、SDK 移行など)がありますが、これらは汎用的なパターンです。
企業には社内独自フレームワークの移行や業界固有のコンプライアンスチェックなど、汎用エージェントではカバーできない変換パターンが多数あります。

2025年12月の re:Invent で「AWS Transform composability」が発表されました。
パートナーや顧客が独自のエージェントを構築し、AWS Transform のプラットフォームに組み込める仕組みです。

This month we announced AWS Transform composability, a new AWS Partner design collaboration initiative that empowers AWS Partners to create specialized modernization AI agents for industry-specific mainframe workloads.

https://aws.amazon.com/blogs/apn/mainframe-modernization-through-aws-transform-composability-partner-co-innovation-with-agentic-ai/

APN Blog によると、これまでこのカスタムエージェントを開発するには PDM(Partner Development Manager)への連絡や Partner Central からの申請が必要だったみたいで、パートナーは「agent primitives パッケージ」を受け取ってローカル環境で開発する流れだったようです。
また、具体的な SDK のクラス名や API エンドポイント、Dockerfile の構成といった実装の詳細は公開されておらず、どうやらパートナー向けに個別提供されていた状態っぽい。

Partners receive the AWS Transform agent primitives' package and develop agents in their local environment. They test functionality and composability using AWS Transform endpoints with API keys.

今回の Agent Builder Toolkit は、この composability のエージェント開発を PyPI パッケージ + Kiro Power としてセルフサービス化したもののようで、開発までは Power でいきなり始めることが出来るようになりました。
ただしエージェントを公開して AWS Transform で動作させるためには引き続き AWS からの許可が必要です。後述します。

AWS Transform Custom との違い

ところで、AWS Transform には「Transform Custom」という機能もあります。
名前が似ていて紛らわしいですが、composability のカスタムエージェントとは別の概念です。

AWS Transform Custom composability カスタムエージェント
何か AWS が提供する「変換エンジン」 パートナー/顧客が作る「独自エージェント」
カスタマイズの意味 変換の「指示」を自然言語でカスタマイズ エージェントの「ロジック自体」を Python で構築
実行基盤 atx CLI / AWS Transform マネージド環境 Bedrock AgentCore(自分のコンテナ)
Kiro Power aws-transform(既存) aws-transform-agent-toolkit(今回の新規)

Transform Custom はカスタム TD を書けば任意の言語の変換に対応可能ですが、基本的にはソースコードの変換がメインの機能かなと思います。[1]

カスタムエージェントはそれ以外の領域もカバーできます。
例えば Wavicle の BI 移行エージェント[2]は Power BI のダッシュボードを QuickSight に変換しますし、Accenture の CA7 分析エージェントはメインフレームのバッチジョブ依存関係を外部システムから抽出します。
コード変換以外のタスクや外部 API 連携、マルチエージェント構成が必要な場合はカスタムエージェントの出番という感じでしょうか。

ちなみに少し前に登場した「AWS Transform」の Kiro Power はこちらは AWS Transform Custom を使えるというものでした。

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-transform-kiro-vscode/

今回公開された新しい Power は composability カスタムエージェントのほうですね。

ドキュメントの構成

AWS Transform の公式ドキュメントにも「Build custom agents for AWS Transform」セクションが追加されています。

https://docs.aws.amazon.com/transform/latest/userguide/developer-tools.html

ただし、公式ドキュメントに記載されているのは「Kiro Power をインストールしてください」と Agent lifecycle(Build → Share → Register)の概要のみです。
SDK のクラス名、API エンドポイント、Dockerfile の構成、IAM ロールの設定といった実装の詳細は、Kiro Power のステアリングファイルに集約されており、Kiro を使うことで初めて具体的な開発手順にアクセスできる構成になっています。

Agent Builder Toolkit Power を使ってみる

Power のインストール

Kiro の Powers パネルを開くと、AVAILABLE の一覧に「AWS Transform Agent Toolkit」が表示されています。

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「+ Install」をクリックしてインストールします。

なお、既存の aws-transform Power(Transform Custom を使うための Power)と同時にインストールしていると、チャットで指示した際に aws-transform Power が優先的にアクティベートされてしまい、Agent Builder Toolkit が使えませんでした。
今回は aws-transform Power をアンインストールした状態で検証しています。

Kiro に指示してエージェントを構築する

新しい Vibe セッションを開き、以下のように指示しました。

aws-transform-agent-toolkit を使って、カスタムオーケストレーターエージェントを構築したい

すると Power がアクティベートされ、ステアリングファイル(orchestrator-patterns、Dockerfile テンプレート)を自動で読み込んだ上で、プロジェクト構成を提案してきました。

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承認すると、エントリーポイント(app.py)、オーケストレータークラス(orchestrator.py)、カスタムツール定義(custom_tools.py)、システムプロンプト、Dockerfile、requirements.txt など、必要なファイルが一式自動生成されました。

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生成されたコードは、ステアリングファイルに記載されている設計上の注意点が最初から反映された状態になっています。

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例えば AgentRuntimeServer の使用(StatelessAgentRuntimeServer だと 28 秒タイムアウトで失敗する)、クロスリージョン推論プロファイルの指定、Dockerfile への botocore モデル登録と MCP shim 配置などです。
ステアリングファイルを読まないとわからないですが、色々制約事項があるっぽい。
ちなみにステアリングファイルの内容は GitHub で公開されています。

https://github.com/kirodotdev/powers/tree/main/aws-transform-agent-toolkit

生成されたコードはこんな感じでした。プロンプト渡して AgentRuntimeServer で起動されてますね。これが AgentCore から HTTP 8080 で呼び出される感じみたいです。

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デプロイ

composability のカスタムエージェントは、コンテナイメージとして Bedrock AgentCore にデプロイする必要があります。
デプロイには以下が必要です:

  • ECR リポジトリ(イメージの格納先)
  • IAM ロール 2 つ(AgentCoreExecutionRole: AgentCore がコンテナを実行する用、AWSTransformAgentInvokeRole: AWS Transform がエージェントを呼び出す用)

続けて「デプロイしたい」と伝えると、前提条件チェック(IAM ロールの存在確認、Docker の利用可否)を自動で実行し、問題なければデプロイに必要な情報(エージェント名、バージョン等)を質問してきました。

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回答すると、Docker ビルド → ECR プッシュ → Bedrock AgentCore デプロイ → Registry 登録まで一気に実行されました。

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Docker ビルド、ECR プッシュ、AgentCore デプロイまでは成功し、Registry 登録のみ AccessDeniedException で失敗しています。

Bedrock AgentCore のコンソールでも、ランタイムが「準備完了」になっていることが確認できます。

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Agent Registry 登録について

Registry 登録で AccessDeniedException が返されました。
Kiro は原因分析も自動で行い、以下の解決方法を提示してくれました。

Agent Registry への登録には、AWS Transform チームによるアカウントの allowlist が必要です。SA(ソリューションアーキテクト)に連絡して、アカウントの allowlist を依頼してください。

Power のドキュメントにも以下の記載があります。

AWS Transform Account Allowlisting: Your AWS account must be allowlisted by AWS Transform team if you want to publish to registry. Contact your Solutions Architect to request allowlisting before proceeding with agent registration.

つまり、エージェントの構築から Bedrock AgentCore へのデプロイまではセルフサービスで完結しますが、AWS Transform の Web コンソールからエージェントを呼び出せるようにするには、事前にアカウントの許可が必要みたいです。
今回はここまでで検証を終えています。

さいごに

本日は AWS Transform の Agent Builder Toolkit が Kiro Power として利用可能になったアップデートを確認してみました。

Power に「カスタムオーケストレーターエージェントを構築したい」と指示するだけで、ステアリングファイルの読み込み → プロジェクトスキャフォールド → 全ファイル生成 → 前提条件チェック → Docker ビルド → ECR プッシュ → Bedrock AgentCore デプロイまで、対話的に進めてくれました。

先日の Wavicle の Quick 移行エージェントのアナウンスを見て、こんなのが提供できるんだなぁと思っていたのですが、こういう仕組みだったみたいです。今回の Kiro Power の公開で、移行や変換周りで色々なパートナーが今後こういうの出してきそうだなと思いました。うちも何かやるか。

Agent Registry への登録にはアカウントの allowlist が必要なため、エンドツーエンドの検証(AWS Transform コンソールからエージェントを呼び出す)までは出来ませんでした。自分たちだけでも良いから、allowlist なしでここを試せると良いなと思いました。

脚注
  1. AI-powered custom transformations for code, APIs, frameworks, and more – AWS Transform custom – AWS ↩︎

  2. AWS Transform now offers BI migration agents for Power BI and Tableau to Amazon Quick ↩︎

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