【レポート】事例に学ぶクラウド移行のコスト評価と移行後のコスト最適化 #AWSSummit
ご機嫌いかがでしょうか、豊崎です。2020年9月8日から30日まで開催されるAWS Summit Onlineを自宅から拝聴しています。
本記事で取りあげるセッションは、「事例に学ぶクラウド移行のコスト評価と移行後のコスト最適化」です。
セッション情報
スピーカー
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 事業開発本部 事業開発マネージャー 小野 俊樹
概要
クラウドへの移行検討段階におけるお客様環境の TCO と移行後の効果を定量比較によりスムーズな意思決定を支援するプログラムであるクラウドエコノミクスについて、お客様の活用例を交えてご紹介いたします。加えて、コスト最適化の新プログラムである Cloud Financial Management (CFM) のご紹介と、コスト削減アプローチについてお客様事例を交えてご紹介いたします。
レポート
対象者とゴール
- AWSへの移行について検討しているお客様
- AWSのお客様のコストに対する考え、また具体的なコスト評価のプログラムを認識いただくことをゴールとする
- また移行前後の経済的評価と意思決定を定量的に行えるプラグラムについて認識と活用ができることもゴールとする
- AWSを活用しているお客様
- 経済的メリットをより実感いただけるよう、コスト最適化のプログラムを認識し活用いただけることをゴールとする
Amazon Web Services
- どうしたらより低料金で請求ができるかという考えがAWSにはある
- AWSにはユーザのコスト評価を行うCloud Economicsというチームがある
- 移行前、移行後のコスト評価を支援
- 移行前の評価:Business Value Engagement
- 移行後の評価:Cloud Financial Management(CFM)
Cloud Economics:Business Value Engagement
- クラウド移行でどれだけコスト削減が図れるか?に対する期待値は人によって異なる
- オンプレミスからクラウドへの移行で得られる経済的メリットの定量かを支援するプログラム
- As-isからTo-beを見える化する
- 会社全体で共通の数字をみながら方向性について議論をする材料とする
- クラウド移行における4つの経済価値
- インフラコストの削減
- スタッフ生産性の向上
- 頑強なオペレーション
- 俊敏なビジネス
インフラコストの削減
- 試算対象はHWだけではない
スタッフ生産性の向上
- ITスタッフの生産性向上の試算
- 15-40% ※120社が対象
- インフラコスト削減よりも大きな生産性向上額が見込める
頑強なオペレーション
- AWS移行によりダウンタイム削減がなされることで以下の回避が期待できる
- 売上損失
- レピュテーションリスク
- エンドユーザの生産性
- ITスタッフの生産性
- etc
俊敏なビジネス
- 製薬業界のお客様で30日かかる計算処理が1日で実施できるようになったという事例もある
- 1年間で1億円の売り上げを達成しようとしている場合
- Launchが1ヶ月短縮
- 売り上げが1ヶ月先行して獲得可能
- ビジネスに与える効果は1億円*1/12
- ビジネス効果がなぜ重要か?
- インフラコスト・スタッフ生産性向上と比較して大きなメリットを創出するから
継続的なプライスダウン
- AWSは過去85回の値下げ
- S3は8年間で最大86%の値下げ
- EC2は9年間で最大50%の値下げ
お客様事例
株式会社ツムラ様
- 試算の結果40%のコスト削減が見込めた
- ユーザの声
- 移行の効果が想像以上に大きいことが認識でき、社内の議論が進んだ
- 試算レポートは根拠や裏付けがしっかりしていて信憑性が高かった
森永乳業株式会社様
- 60%コスト削減効果が見込めた
- 2022年までにAWS前面移行を宣言
- 特にネットワーク運用者、サーバエンジニアの効率性に大きな改善が見込める可能性を示した
Cloud Economics:Cloud Financial Management(CFM)
CFM概要の狙い
- お客様自身で、継続的なコスト削減を行うことを目的としてコスト構造の可視化支援
- 削減について分析の上、資質予測を行うことで財務管理の強化を目的とする
可視化
- AWSリソースがどのアカウント、どのタグに紐づいているかを明確しコストを可視化する
- タグ付のツール作成しガバナンスを利かすための設計を行う
- 環境
- プロジェクト
- チーム
- アプリケーション
- etc
- ガバナンス
- AWS Configによる事前定義:Config Rule
- AWS Service Catalogによる事後設定:タグ設定
- AWS Const Categoriseの活用
- アカウント、タグ、料金タイプ、サービスからコストを可視化
コスト最適化(CFMのメイン)
- クイックウィン最適化(短期的
- インスタンス選定
- インスタンスの再選定
- ダウンサイジング
- 現行世代へ変更
- Regionの変更
- 購入オプションの変更
- オンデマンド
- RI/SP
- スポット
- ソリューション
- Cost Explorerの利用
- AWS Compute Optimizerの参照
- インスタンスの再選定
- 未使用リソースの停止
- 未使用リソースのターンオフ
- 未使用EIP解放
- 未接続のEBS
- アイドル状態のEC2、RDS、Redshiftの停止
- 対象の特定
- Trsuted Advisor
- Cost Explorerの利用
- 未使用リソースのターンオフ
- 需要に応じたスケジューリング
- システム・アプリの特性から不要な時間を判断しリソースの増減
- オートスケーリングを利用した需要に合わせたリソース利用
- 最適なストレージの再選定
- EBS、EFS、S3、FSxから最適なストレージを選定する
- インスタンス選定
- アーキテクチャ
- クラウドネイティブアーキテクチャへ変更
- サーバレスやマネージドサービスをフル活用したクラウドネイティブアーキテクチャを実現していく
- クラウドネイティブアーキテクチャへ変更
計画・予測
- クラウド利用の予測を行いコスト最適化ポイントを押さえる
- 最適化アプローチで定期的にコスト最適化を実施し単価を削減する
クラウドオペレーション
- IT部門と財務部門が調達からデプロイまでを迅速に行えるようにする取り組みが重要
- CFMによるコスト削減効果
- 12 - 43%
- ユーザのステージによって効果は異なる
感想
オンプレミスの構成をそのまま、AWSに持ってきたと仮定して利用にかかるコストを検討した際、インフラコストの削減だけではなく、以下の比較すべき観点と効果について総合的に判断する視点が必要であることがわかりました。コスト最適化について理解が深まるセッションでした。
- インフラコストの削減
- スタッフ生産性の向上
- 頑強なオペレーション
- 俊敏なビジネス