Azure Communication Services の日本の電話番号が GA されていたので番号を取得して使ってみた
日本の電話番号が GA されていました
こんにちは、NTT東日本の長山です。
先々月、Azure Communication Services の日本の電話番号が一般提供開始されていたようです。 昨年 Public Preview となっていたものがついに GA されました。見たところ以下の Azure Communication Services の月次アップデートの中でまとめての発表だったようで、2024 年 3 月時点では日本含む 42 カ国で GA されています。
The full list of countries where we offer PSTN Direct Offers are:
Argentina, Australia, Austria, Belgium, Brazil, Canada, Chile, China, Colombia, Denmark, Finland, France, Germany, Hong Kong, Indonesia, Ireland, Israel, Italy, Japan, Luxembourg, Malaysia, Mexico, Netherlands, New Zealand, Norway, Philippines, Poland, Portugal, Puerto Rico, Saudi Arabia, Singapore, Slovakia, South Africa, South Korea, Spain, Sweden, Switzerland, Taiwan, Thailand, UAE (United Arab Emirates), United Kingdom, and United States
今回は日本の電話番号を実際に取得し、通話を発信できるところまで確認しましたのでその手順・方法をまとめます。
Azure Communication Services とは
Azure Communication Services は Azure で提供されているマネージドな通信プラットフォームです。REST API や SDK を使用して以下のようなコミュニケーション機能を実装することが可能です。
- 通話(音声・ビデオ)
- SMS
- 電子メール
- チャット
このうち、今回のアップデートは日本の電話番号を利用した音声通話が GA されたというものです。
利用可能な電話番号の種類は以下の 2 つです。
- Toll-Free
- National
上記それぞれの種類で具体的にどのような番号が提供されているかは、本記事執筆時点では公式ドキュメントでは見つけられませんでした。(今回私が取得できたのは National の 050 番号です)
SMS は現状はまだ日本の電話番号では利用できません。詳細はこちらをご参照ください。
余談ですが、電子メールについては、そもそも Azure では VM から外部ドメインへの直接のメール送信が推奨されておらず且つサポート外です。そのため、Azure の機能を利用して電子メールを送信したい場合にこの Azure Communication Services を利用します。
では早速番号の取得をしていきます。
電話番号の取得手順
Azure Communications Services リソースの作成
電話番号の取得には Azure Communication Services のリソースが必要です。Azure Portal の「通信サービス」にて「+ 作成」をクリックし、
必要な情報を入力してリソースを作成します。
サブスクリプションは有償のサブスクリプションが必要です。無料試用版など無償のサブスクリプションの場合、Azure Communication Services のリソース作成はできますが日本の電話番号の申請ができません。データの場所は日本を選択しました。
リソースの作成ができたら、そのリソースの Immutable Resource ID をメモしておきます(次のステップで利用します)。リソースの概要ブレードの「JSON ビュー」から確認できます。
電話番号のリクエスト
Azure Communication Services のリソースが作成できたら、電話番号のリクエストを行います。「電話番号」ブレードを開き、「+ 取得」をクリック。(私が利用しているいくつかの Azure 環境を見てみたところ、「(プレビュー)」がついている環境とついていないものとがありました)
国または地域にて日本を選択します。Azure Portal から直接購入ができず、個別にリクエストが必要なようです。「特別注文を要求する」を開き、「番号管理ポータル」をクリック。
新しく「New Case」というタブが開くので、ラジオボタンで「Azure Communication Service」を選択し、そのほか必要な情報を入力。
Azure Immutable Resource ID 欄には先ほどメモしたものを入力します。Description には何を書くのか特に指示がなかったので私は電話番号の用途を記載しました。すべての項目を記載したら「Submit」から提出!(添付ファイルは特に追加しませんでしたが、次のステップでいくつかファイルの提出が求められます)
Phone Number Service Center にて資料提出
リクエストの提出後は「Phone Number Service Center」(https://pstnsd.powerappsportals.com/) にてサポートの方とやり取りを行いました。先ほど提出したリクエストのケース管理を行うポータルのようです。
以下の 2 点を求められたので提出しました。(Toll-Free の番号を申請する場合には、これらに加えて企業登録証明書の提出が必要です)
- Japan Number Order Form
- ID のコピー
Order Form はこのポータルにて以下の内容の Word ファイルが送られてきたので、必要事項を記載して提出しました。ページ下部の Signature 欄に署名が抜けていて提出し直したので、申請する際はご注意ください。署名は、電子署名付きの PDF、または印刷して手書きで署名したもののスキャン、どちらでも OK とのことです。
ID のコピーは、運転免許証の写真を提出しました。運転免許証以外にも、パスポート、マイナンバーカードなどでもOKでした。
ちなみに、今回私は個人の Azure 環境で番号を取得しました。ポータルでやり取りする中でサポートの方に個人でも番号申請可能なのか聞いてみたところ、現時点では可能とのことでした。そのため、上記 Order Form の内容は個人の名前・住所等を記載しました。 (Amazon Connect や Twilio では個人での番号取得が現状できないので、Azure Communication Services でも将来的にできなくなる可能性もあるかもしれませんね)
番号の確認
資料提出後、内容確認して 3~5 営業日で番号が払い出されると言われました。
楽しみに待っていると翌営業日には番号が払い出されました。(早い!)
今回私が取得できた番号は 050から始まる番号です。
以上で番号の取得は完了です!
電話できるか確認
番号は取得できたもののほんとに通話できるのだろうか、ということで使ってみます。
Try Phone Calling
Azure Portal から簡単に通話の発信を確認できる機能として「Try Phone Calling(通話を試す)」が提供されています。3 月に Public Preview として発表されていましたが、公式ドキュメントを見たところ Public Preview の記載が削除されていました。(GA されている?)
早速「通話を試す」ブレードを選んで使ってみます。
(表示は着信になっていますが)発信元はプルダウンから先ほど取得した電話番号を選択し、連絡先には着信したい番号(今回は携帯の番号)を入力し、「通話を開始」!
すると、ステータスが呼び出し中になり、
無事に携帯に着信しました!着信に応答すると、PC側はPCのマイク・スピーカーを使って通話ができました。
通話終了後、Try Phone Calling の画面には簡易的な通話のログが表示されました。
まとめ
今回は Azure Communication Services にて日本の電話番号を取得し、その番号から通話の発信ができるところまで確認しました。
番号の申請は現状 Azure Portal に閉じていないものの、払い出しは思っていたより早くスムーズでした。何よりサポートの方がとても丁寧に対応してくださいました・・!
電話の発着信の SDK も提供されているのでこれから使っていきたいなと思います。ちなみに今回取得した National の番号は使っていなくても 1 番号あたり毎月 $4.5 かかります。(使わないともったいない)