Candidate Experience を Candidate Journey Map で整理する

2022.02.25

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こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
ITエンジニアの採用競争の激化もあいまって採用における候補者さんの体験向上に注目が集まってきています。その際に、候補者体験をどのように把握し、整理するかの方法論はまだ普及しきっていないように感じます。そこで、 Candidate Journey Map についてまとめることにしました。
Candidate Journey Map について語る上で前提となる Candidate Experience, Candidate Journey をまず説明し、続けて Candidate Journey Map の目的、作成方法、事例について説明します。

Candidate Experience とは?

Candidate Experience ( CX )とは候補者さんが企業のことを知る認知からはじまり、応募して選考を通じて入社意思を固めるまでに各接点でする体験のことです。
CX は広義の Employee Experience の一部です。
  • 広義の Employee Experience( EX )
    •  入社前 - Candidate Experience( CX )
    •  入社後 - 狭義の Employee Experience( EX )
    •  退職後 - Alumni Experience( AX )

Candidate Journey とは?

Candidate Journey とは、候補者さんが企業を知り、入社に至るまでの体験を任意のステージに分割し、その旅路を表す概念です。
ステージをどう分類するかは、企業によって異なります。例えば、以下が一例です。
  1. 認知 - 企業のことを知ったとき
  2. 興味 - 企業への関心を強めたとき
  3. 検討 - 応募有無を検討したとき
  4. 応募 - 応募したとき
  5. 選考 - 選考中
  6. オファー - 内定のオファー説明を受けるとき
  7. オンボーディング - 内定受諾後、入社前後にまたがるオンボーディングのとき
なお、各ステージの中には更に細かい接点があり、この接点をタッチポイントと呼びます。
例えば、認知ステージの中にはテックブログやカンファレンスのスポンサーなどのタッチポイントがあります。
  • 認知
    • テックブログ
    • カンファレンススポンサー

Candidate Journey Map とは?

Candidate Journey Map は、 Candidate Journey を可視化する手法です。
Candidate Journey Mapping とも呼ばれます。

目的

Candidate Journey Map は CX 改善のための整理・可視化手法です。
候補者目線で CX を理解する助けになります。結果として、候補者さんのニーズや、ペインポイントを把握しやすくなります。
結果として
  • 現状、アトラクトがうまくいっている訴求ポイントの把握
  • 現状、本来持っている魅力を十分に伝えることができていない改善ポイントの把握
  • 現状、意向を下げてしまうような課題となっているポイントの把握
などが可能になります。
また、 Candidate Journey は認知段階から選考段階まで多岐にわたります。
おそらく各フェーズは別々の担当がそれぞれ一部のタッチポイントを担当しています。例えば、人事の採用担当、現場の採用責任者、現場の面談・選考参加者、採用広報担当、オンボーディングに関わるバックオフィスメンバーや、受け入れ担当者などです。
Candidate Journey を Candidate Journey Map で可視化することで、
  • 一部しか担当していない担当者に全体像を伝えることができる
  • ステージをまたいだ課題を関係者で集まって議論する際の認識統一に役立つ
という場面で役立てることができます。

作成方法

Candidate Journey Map の作成方法の一例を記します。
  1. ボードを用意する
  2. ペルソナを定める
  3. 各ステージでの候補者さんの行動をリストアップする
  4. 各ステージでの候補者さんのタッチポイントをリストアップする
  5. 各ステージでの候補者さんの考えたことをリストアップする
  6. 各ステージでの候補者さんの感じたことをリストアップする
  7. 各ステージでの候補者さんの課題をリストアップする
なお、これはあくまで一例です。Candidate Journey で候補者さんに関するどのような要素を洗い出すかは様々なバリエーションがあるようなので、他の事例はインターネットの海で探してみてください。
ちなみに私達が実際に作ったときは、
  • 私達のチームで内容を書き出して作成する
  • 実際のペルソナに相当する、最近入社した社内のメンバーに当時のことを思い出してもらい、それをヒアリングする
という2つの方法を試しました。

具体例

例えば、認知ステージに「AWS のことを知るために情報を調べていたら DevIO にたどり着いた」という体験があったとします。
この場合、
  1. 行動 - DevIO をみる
  2. タッチポイント - DevIO
  3. 考えたこと - AWS のあれを知りたい。分かった
  4. 感じたこと - 感謝
のようになります。それを実際に Candidate Journey Map に記載したものがこれです。

利用して得たもの

直近入社した方5名にそれぞれヒアリングをしながら Candidate Journey Map を4回ほど作成しました。
Candidate Journey Map の恩恵として
  • 単に質問項目の羅列を元にヒアリングをするよりも全体感を踏まえつつ、お互いに Map を見ながら話せるので回答を得やすい。また個別回答のつながりから見落としていた答えを思い出してもらいやすい
  • 実際に、候補者体験における「良い部分」や「課題になっている部分」が見つかった
などを得ることができました。
複数のステークホルダーの議論材料としての活用は今後行う予定です。

まとめ

候補者さんが企業を知り、入社に至るまでの体験を Candidate Journey Map にまとめる方法、利点、実体験についてまとめました。
採用関係者による採用プロセスの改善において、
  • 関係者の思いつき
  • 他社がやっている良さそうな手法
をやってみる、というような動きをしがちと思います。
実際のペルソナにあたる方々にヒアリングしつつ、 Candidate Journey Map をまとめることで
  • 事実に即した詳細な現状把握をする
  • 全体像を踏まえた情報としてまとまる
という形で、より詳細度の高い情報として施策検討の材料を得ることができ、非常に有用だと感じました。

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