【レポート】「陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル」におけるローカライズ手法 #CEDEC2023 #classmethod_game

アートリソース、メッセージなどのローカライズが必要なモノに関して、どのように効率よく、事故無くローカライズしたかを解説したセッションとなります。
2023.09.01

こんにちは。ゲームソリューション部の出村です。

ここではCEDEC 2023で講演された「「陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル」におけるローカライズ手法」について重要と思った解説を中心にまとめてみました。

セッションの概要

「陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル」におけるローカライズ手法

「弊社開発の「陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル」において用いられたローカライズ手法(データの持ち方、ワークフロー、作成したツールや機能)について、ご紹介いたします。

内容について

今回のセッションの発表について、印象深いところを中心に取り上げてみました。

セッション中では「陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン」=カゲマス、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル」=ダンクロと呼称しています。

ローカライズとは

ローカライズとは、特定の市場や国に合わせて製品やサービスを適応させることを指します。今回のセッションでは、その中でも特に「言語の翻訳」に焦点を当てて話を進めていきます。

ローカライズって大変ですよね

ローカライズのワークフローは、多くのステップを含む緻密なプロセスがあります。例えば、「カゲマス」プロジェクトでは、1言語あたり160万文字の翻訳が必要でした。

ローカライズは、文化的な違いや言語の特性を考慮しながら、的確に対象の市場やユーザーに合わせてコンテンツを適応させる作業です。そのため、誤解や文化的な不適切さを避けるために、事故無く進める必要があります。

今回やらなかったこと

アラビア語のローカライズは、他の言語と比べて特有の課題を持っています。アラビア語は右から左に読む言語であり、この特性を考慮しながらデザインやレイアウトの調整が必要です。

また、今回は言語設定の即座の切り替え機能が実装されていません。

アートリソースのローカライズ

アートリソースのローカライズとは、ゲームやアプリケーションなどの画像リソース内に含まれる文字やグラフィック要素を、特定の市場や文化に適応させるための作業を指します。

画像内の文字のローカライズには様々な方法が考えられますが、今回は画像コピペツールを作成し、それを利用することで効率的にローカライズを進めることができました。

マスターデータのローカライズ

テキストデータのローカライズについて解説します。

テキストデータのローカライズは、結局は次の手法が採用されました。

まず、アイテムコードと日本語名を入力し、翻訳時のキーとなる文字列が自動生成されるようにしました。その後に、翻訳データをエクセルで入力できるようにし、その際に、翻訳のステータスが分かるようなカラムも用意しました。

EXCELにて翻訳の文字列を入力してもらい、そのあとにGitのリポジトリに反映する仕組みとしました。

プレゼントボックスのローカライズ

プレゼントボックスのローカライズについて解説します。

プレゼントボックスのローカライズには2つの方法があります。一つはマスターデータを基にシステムがメッセージを送る方法、もう一つは運営サイドが管理ツールで直接メッセージを入力する方法です。

プレゼントボックスのローカライズ問題の解決法として、JOIN、つまり文字列の連結を利用します。テンプレートとしてのメッセージに、異なるマスターデータ(例:アイテム名)を差し替えて、新しいメッセージを生成する手法を採用しています。

管理ツールからのメッセージは、翻訳済みのデータを直接出力しています。

さいごに

ローカライズには的確なワークフローが重要です。大規模なツールを作る代わりに、小さなツールを複数組み合わせて使用しました。プランナーやデザイナーも技術を把握しているので、ローカライズの方法を理解してもらい、ツールによるサポートが効果的でした。

感想・雑感

このようなローカライズは、多くの単語を扱ったり、不慣れな言語を扱ったりして簡単に事故りやすい仕事の一つです。手の込んだツール等を作成せず、ちょっとしたツールを組み合わせて活用するだけで、かなり効率化できる事が分かったのが良かったと感じました。