
【非エンジニアのためのClaude/ClaudeCodeシリーズ】 100名超えの営業部門合宿でClaude Cowork研修を設計した裏側—資料もCoworkで作ってみた!
はじめに
クラスメソッド 営業統括本部 アカウント営業部の松本です。
2026年4月に1泊2日の日程で実施した営業統括本部合宿(参加者120名)で、
1日目はチームビルディングのためにアクティビティ(登山、陶芸、ゴルフなど)、
2日目は研修コンテンツとして弊社内のAI Experience Centerメンバーにも監修いただき、
「生成AI活用研修——Claude(Cowork)ハンズオン」を企画・実施しました。
※プレスリリース:AI Experience CenterはAI活用推進を専門に行う組織です。
※以後、Claude(Cowork)はCowork表記とします。
この記事では、研修の設計で考えたことや、研修資料(スライド・ワークブック)をCoworkで制作した過程を紹介します。
こういった方に読んでいただけるとうれしいです。
- 非エンジニア向けのClaude研修を社内で検討している方
- Coworkで社内向け資料を作ってみたい方
- 生成AIの社内展開で「レベル差のある集団にどう教えるか」に悩んでいる方
今回は、Coworkを活用して、Cowork研修がどこまでお手製で作成できるか試して実施した内容になっております。
弊社では、プロフェッショナルなエンジニアが
にて、PoC支援、AI活用支援、AI駆動開発、生成AIワークショップ及び研修実施なども承っていますので、お気軽にお問合せください。
研修の背景と目的
クラスメソッドでは全社的に生成AI活用の推進を経営課題として位置づけています。
ただ、営業統括本部の中で生成AIの活用レベルにはかなりの差がありました。
チャットAIを日常的に使っているメンバーもいれば、「Coworkはまだ触ったことはない」というメンバーもいる。
Coworkに至っては、メンバーの多くが未経験でした。
この研修では4つのことを狙いました。
- 部門内の生成AI活用レベルの底上げ
- Coworkの操作を全員が一度は体験する
- ペアワークを通じて「プロンプトの書き方で出力が変わる」ことを体感する
- 参加者同士のナレッジ共有と活用モチベーションの醸成
研修のタイムライン
当日の全体スケジュールは約3時間で、以下の構成で進めました。
| 時間 | 内容 | 形式 |
|---|---|---|
| 9:00〜9:30 | オープニング/背景・目的 | 座学 |
| 9:30〜9:55 | 現在地の確認とClaudeとは?その利用方法 | デモ・説明 |
| 9:55〜10:25 | ペアでハンズオン ※ | ペアワーク |
| 10:25〜10:30 | 休憩 | — |
| 10:30〜10:50 | 各グループで活用アイデア検討 ※ | グループワーク |
| 10:50〜11:15 | 他部署のAI関連製品の紹介 | プレゼン |
| 11:15〜11:45 | Claude拡販について | プレゼン |
| 11:45〜12:00 | クロージング/アンケート案内 | — |
※印が今回の記事で紹介する「ペアワーク」と「グループワーク」です。
プレゼン等の発表も組み込んでいるため、ペアワークとグループワークに割り当てた時間は約50分。。。
正直、短いです。
ただ、合宿の1コンテンツという位置づけのため、この枠で「全員がCoworkに触る」「気づきを得る」「活用アイデアを考える」まで、どうにか持っていけるように設計しました。
研修資料をCoworkで作った
今回の研修では、スライドとハンズオンワークブックの2つの資料を用意しました。どちらもCoworkを使って制作しています。
スライド制作:まずアウトラインの壁打ちから
スライドは全20枚。Coworkにまずアウトラインの相談から始めました。
営業統括本部合宿で120名向けに生成AI活用研修を行います。
参加者はほぼ全員が非エンジニアで、Coworkは初めて触る人がほとんどです。
以下の構成でスライドのアウトラインを作ってください。
- 背景・目的(なぜこの研修をやるのか)
- Coworkとチャットの違い(非エンジニアが一番知りたいポイント)
- スキル・プロジェクトの紹介
- ペアワークの進め方
- グループワークの説明
ハンズオンとグループワークで約50分、全体で約3時間の枠です。
座学→ハンズオン→ディスカッションの流れで進めます。
最初のアウトラインが出てきた段階で、いくつか修正を入れました。たとえば「Coworkとチャットの違い」のスライドで、チャット=「会話するモード」、Cowork=「一緒に作業するモード」というフレーミングを先に見せてから、Coworkでできること(ファイル操作・アプリ連携・定期実行)を具体的に示す構成にしました。
また、社内メンバーのブログ記事をスライドに引用する判断をしました。
「Coworkとチャットの違い」については、
倉田さんの「同じ相談をCoworkとチャットAIにしたら回答の質が全然違った」。
「スキルについて」は、
元道さんの「Coworkのスキル機能を使って商談振り返りレポートを作ってみた」。
「プロジェクトについて」は、
和田さんの「Claude Coworkを活用するためにディレクトリ構造を意識してみた」です。
外部の事例ではなく、同じ部門の非エンジニアの同僚が書いた記事を見せることで、
「自分にもできそう」と感じてもらう狙いがありました。
と、ついでにビューを伸ばそうとしたのは内緒です。。。
ワークブック制作:35課題をどう設計したか
ハンズオンワークブックは全35課題。初歩編(3課題)→ 応用編(6課題)→ 発展編(6課題)→ 驚き体験編(4課題)→ 職種別実践編(16課題)の5段階で構成しました。
Coworkへの指示はこんな形で進めました。
Coworkのハンズオン研修用ワークブックを作成してください。
対象者は非エンジニアの営業・営業事務・マーケティングが中心です。
以下のレベル構成で課題を設計してください。
- 初歩編:生成AIを初めて触る方、基本操作を確認したい方向け
- 応用編:基本操作はわかる方、実務ツールとの連携を体験したい方向け
- 発展編:応用操作に慣れた方、複数ツールを組み合わせた自動化に挑戦したい方向け
- 驚き体験編:AIの可能性を体感したい方向け(初心者でも挑戦OK)
各課題には以下の情報を統一フォーマットで入れてください。
- 目的(1行)
- 所要目安
- 難易度(★1〜★5)
- 必要なもの(Coworkのみ/コネクタ接続が必要かなど)
- 実行フロー(ステップ形式)
- プロンプト例
- ヒント
ここから先が試行錯誤でした。
最初に出てきた課題セットは、難易度の幅が狭かったです。
初歩編と応用編の差が小さく、「全部同じくらいの難しさに見える」状態でした。
そこで、初歩編の課題1(議事録の構造化)を「コネクタ不要、Coworkへのアクセスのみ、5〜10分で完了」に絞り込み、逆に発展編にはHubSpotコネクタ+CSVファイルの組み合わせなど、複数のデータソースを横断する課題を配置しました。
もうひとつ苦労したのは、職種別パスの設計です。
営業・営業事務・マーケター・エンジニア・経営層の5パスを用意したのですが、各職種で「これをやったら業務に直結する」という課題にしないと意味がないと思い、たとえば営業パスは「議事録構造化 → 提案資料ドラフト」という一連の営業プロセスに沿った流れにしました。
これらの調整は、Coworkと何度もやり取りしながら進めました。
「営業が実際に毎日やっている作業ってなんだろう」と考え、プロンプトを修正して再生成する、というサイクルを繰り返した形です。
最終的に全35課題を自分でひと通り試して、所要時間と難易度が実態に合っているかを確認しました。
120名の「レベル差」にどう対応したか
研修設計で一番悩んだのは、参加者のレベル差への対応です。
120名の中には、チャットAIを日常的に使いこなしている人も、生成AI自体にほとんど触れたことがない人もいる。全員に同じ課題を出すと、慣れている人には物足りないし、初めての人には難しすぎる。
この問題に対して、3つの仕組みで対応しました。
1. 全員共通の「課題1」で最低ラインをそろえる
まず全員で課題1(議事録の構造化)に取り組んでもらいました。
これは打ち合わせのメモ書きから議事録を自動生成するだけのシンプルな課題で、コネクタ接続も不要、5分程度で完了します。
「Coworkに指示を出す → 結果が返ってくる」という基本体験を全員が持っている状態を作ることが目的です。
以下に作成した課題1を記載します。

2. ペアワークの「ドライバー/ナビゲーター」方式
ペアプログラミングの手法を転用しました。
ペアの中で
「ドライバー(操作する人)」と
「ナビゲーター(観察・助言する人)」
に分かれます。
ポイントは、
Round 1で「使い慣れていないメンバー」をドライバーにしたことです。
ドライバーが自分の言葉でプロンプトを書き、ナビゲーターはそれを口を出さず観察する。
Round 2でドライバーを交代し、
ナビゲーターが同じお題に対して自分のプロンプトを書く。
Round 3で2人の出力を比較して、
「何が違ったか」「どう書くともっと良くなるか」を話し合ってブラッシュアップします。
この設計には「教え合う」ではなく「一緒に発見する」という意図がありました。
慣れている人が一方的に教えると、教わる側は受け身になりがちです。
3つの出力を並べて比較するという体験にすることで、プロンプトの書き方による差をペアで一緒に体感できるようにしました。
3. レベル別パスで「次に何をやるか」を自分で選べる
課題1が終わったら、初歩編・応用編・発展編・驚き体験編の中からペアで相談して次の課題を選んでもらいました。
レベル選択ガイドも用意して、「初めて触る方は初歩編」「基本操作はわかる方は応用編」と案内しています。
さらに、発展編と職種別実践編は研修後の自習用教材としても使えるように設計しました。
研修の30分で全35課題をこなすことは当然できませんが、ワークブック自体が「30日チャレンジ」として研修後も活用できるものになるようにしています。
以下は営業向けパスで作成した課題です。

以下は経営層向けパスで作成した課題です。
※弊社はSlack、Gmail、HubSpotを利用しており、該当のコネクタを使用しています。

時間の制約と割り切り
当初はグループワークの後に成果物の発表時間も設けたかったのですが、合宿の1コンテンツとして確保できた時間枠では足りず、成果物の発表は割愛しました。
代わりに以下のフォローアップ設計に切り替えています。
- 指定のSlackチャンネルへの投稿を4月末期限で設定
- 投稿内容はチーム番号・概要説明・skillやmdファイルの共有
- 期日を切ってのmdファイル提出や、業務にワークフローを組んで効率化につながるかの検証
合宿の場で完結させることよりも、研修後に各自が業務の中で試し続けられる仕組みを優先しました。
資料を作って感じた良い点と難しさ
良かった点
対話しながら段階的に作れる。
最初から完成形を目指さず、「アウトライン → 各セクションの詳細化 → トーンの調整」と段階的に進められるのがCoworkの強みでした。
35課題分のプロンプト例も、一貫したトーンで生成できました。
修正指示を自然言語で出せる。
「初歩編の難易度をもっと下げて、コネクタ不要の課題だけにして」「営業事務パスの課題に、Excelの集計・整形を入れて」といった指示をそのまま日本語で出せるので、非エンジニアでも資料のブラッシュアップが進めやすいです。
職種別パスの設計をCoworkと壁打ちできた。
「営業が日常的にやっている業務の流れに沿った課題を設計して」と伝えると、議事録→提案→顧客データという流れを提案してくれました。
自分一人で全職種の課題を考えるのは大変でしたが、Coworkとの壁打ちで視野が広がりました。
難しかった点
難易度バランスの調整は自分で確認が必要だった。
Coworkが生成した課題セットを鵜呑みにすると、難易度の差が想定と合わないことがありました。
最終的には全課題を自分で実行して、所要時間と難易度の★表記が妥当かを確認しました。ここはCowork任せにできなかったところです。
社内固有の事情はCoworkに伝える必要があった。
「全員がGmailコネクタを設定済みとは限らない」「HubSpotコネクタは一部のメンバーしか使えない」といった社内の前提条件は、Coworkに伝えないと反映されません。
課題ごとの「必要なもの」欄に「Coworkへのアクセスのみ(コネクタ不要)」か「Gmailコネクタの接続」かを明記した背景には、こうした事情があります。
指示の出し方にも改善の余地があった。
私自身、Coworkを完全に使いこなせているわけではなく、ワークブックに記載した指示内容がCoworkに丸投げする形になっていました。
研修当日、社長の横田から「Coworkに指示する内容をテキスト等にまとめて設計してから出すことで、トークン消費も思考時間も減らせる」とフィードバックを受けました。
事前に指示内容を整理してからCoworkに渡すという工夫は、Cowork活用全般で意識すべきポイントだと感じました。
参加者の反応
研修後のアンケート(回答数:113名)では、生成AI活用研修について80%が「とてもよかった」または「よかった」と回答いただけました。
自由記述には「研修時間を延長してほしい」「AI特化の合宿や単日ワークの企画を希望する」といった声もあり、「もっとやりたい」という前向きな反応が多かったのは良かったです。
一方で、合宿施設のネットワーク環境が120名のCowork利用には不十分だったという声もあり、大規模開催、PC/ネット接続が必須な研修の場合はネットワーク環境を施設選定の優先条件にする必要があると感じました。
やってみての所感
研修の企画から資料制作(AI Experience Center監修あり)までCoworkを使って進めたことで、「Coworkは研修コンテンツを作るパートナーとしても使える」と実感しました。
アウトラインの壁打ちから35課題のプロンプト例生成まで、一人で全部考えるよりも速く、かつ抜け漏れの少ないアウトプットが出せました。
一方で、「レベル差のある集団にどう教えるか」という設計判断や、課題の難易度が実態に合っているかの検証は、自分自身の手で確認する必要があり、Coworkは強力なパートナーですが、最終的な品質判断は人間がやるべき部分として残っているなと思いました。
120名の非エンジニアがCoworkに触れたこと自体が、社内の生成AI活用の議論を具体的にする一歩になったと感じています。
研修後のSlack投稿の期限は4月末に設定しているので、どんなアウトプットが出てきて、業務効率化につながるくるかも楽しみです。










