
Vertex AI経由でClaude Codeを利用する
はじめに
こんにちは。
クラウド事業本部コンサルティング部の渡邉です。
皆さん、Claude Codeは使っていますか?
Claude Codeは、Anthropicが提供するAIコーディングエージェントのCLIツールです。ターミナル上でClaude AIと対話しながら、コードの生成・修正・レビュー・リファクタリングなどのソフトウェアエンジニアリングタスクを効率的に行えます。
Claude Codeのバックエンドとしては、Anthropic直接API、Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AI などのプロバイダーから利用を選択できます。今回はその中からVertex AI経由での利用にフォーカスし、設定手順と実際にClaude Codeを動かすまでの流れを見ていきたいと思います。
Vertex AIでClaude Codeを利用するためのClaude Code公式ドキュメントはこちらから確認することができます。
Claude Codeのプロバイダー比較
Claude Codeの3つのプロバイダーを比較してみました。
| 項目 | Anthropic直接API | Amazon Bedrock | Google Cloud Vertex AI |
|---|---|---|---|
| 有効化の環境変数 | なし(デフォルト) | CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK=1 |
CLAUDE_CODE_USE_VERTEX=1 |
| 認証方式 | Anthropic APIキー | AWS IAM(SDK認証チェーン) | Google Cloud IAM(ADC) |
| 請求 | Anthropicへ直接支払い | AWS請求に統合 | Google Cloud請求に統合 |
| ネットワーク制御 | 限定的 | VPCエンドポイント対応 | VPC Service Controls対応 |
| 監査ログ | Anthropic Console | AWS CloudTrail | Cloud Audit Logs |
| コンプライアンス | Anthropicの規約に準拠 | SOC, HIPAA等対応 | FedRAMP High認定境界内 |
| モデル制御 | なし | IAMポリシーでモデル制限可能 | 組織ポリシーで利用モデルを制限可能 |
| モデルIDの形式 | claude-sonnet-4-6 |
us.anthropic.claude-sonnet-4-6 |
claude-sonnet-4-6 |
| globalエンドポイント | - | クロスリージョン推論プロファイル | CLOUD_ML_REGION=global |
| 1Mコンテキストウィンドウ | 対応 | Opus 4.6、Sonnet 4.6対応 | Opus 4.6、Sonnet 4.6対応(Sonnet 4.5、Sonnet 4はPreview) |
/login・/logout |
利用可能 | 無効 | 無効 |
| セットアップウィザード | /loginで対話的に設定 |
/setup-bedrockで対話的に設定 |
環境変数で設定 |
| ガードレール機能 | なし | Amazon Bedrock Guardrails対応 | なし |
なぜVertex AI経由を選ぶのか
Google Cloudをメインのクラウドプラットフォームとして利用している組織にとって、Vertex AI経由での利用には以下のメリットがあります。
- IAMによる一元管理: 誰がClaude Codeを利用できるかをGoogle Cloud IAMで制御。APIキーの配布・管理が不要
- 請求の統合: Google Cloudの既存の請求アカウントに統合され、コスト管理が容易
- セキュリティ境界の適用: VPC Service Controlsを使えば、データが定義した境界外に出ることを防止
- 組織ポリシーによるモデル制御:
vertexai.allowedModels制約で、利用可能なClaudeモデルを組織レベルで制限可能
Vertex AI上のClaudeで利用可能なモデル
Vertex AI上で利用可能な主要なClaudeモデルは以下の通りです。
| モデル名 | モデルID | 特徴 |
|---|---|---|
| Claude Opus 4.6 | claude-opus-4-6 |
最高性能。コーディング、エージェント、プロフェッショナルワーク向け |
| Claude Sonnet 4.6 | claude-sonnet-4-6 |
フロンティア性能とスケーラビリティのバランス。コーディング・エージェント向け |
| Claude Haiku 4.5 | claude-haiku-4-5 |
高速・低コスト。大量リクエスト処理やサブエージェント向け |
Claude CodeではデフォルトでSonnetクラスのモデルがプライマリモデルとして、Haikuクラスのモデルが高速処理用モデルとして使用されます。
Vertex AI経由でClaude Codeをセットアップする
前提条件
- Google Cloudプロジェクトが作成済みであること(請求が有効化されていること)
gcloudCLIがインストール・認証済みであること- Node.js 18以上がインストールされていること(Claude Codeの実行に必要)
Vertex AI APIの有効化
# プロジェクトIDの設定
export PROJECT_ID="your-project-id"
gcloud config set project $PROJECT_ID
# Vertex AI APIの有効化
gcloud services enable aiplatform.googleapis.com
Claudeモデルの有効化
Vertex AI Model GardenでClaudeモデルを有効化します。
- Vertex AI Model Gardenにアクセス
- 「Claude」で検索し、利用したいモデル(例: Claude Sonnet 4.6)のモデルカードを開く
- Enable をクリックしてモデルを有効化
- 利用規約に同意する
Claude Codeはプライマリモデル(Sonnet)と高速処理用モデル(Haiku)の2つを使用するため、Claude Sonnet 4.6とClaude Haiku 4.5の両方を有効化してください。
より詳細なVertex AI Model GardenでのClaudeモデルの有効化手順については、以下のブログを参照ください。
IAMロールの付与
Claude Codeの利用者に必要なIAMロールを付与します。
# Vertex AI Userロールの付与(モデル呼び出しに必要)
gcloud projects add-iam-policy-binding $PROJECT_ID \
--member="user:YOUR_EMAIL@example.com" \
--role="roles/aiplatform.user"
roles/aiplatform.userロールには、Claude Codeの動作に必要なaiplatform.endpoints.predict権限が含まれています。
より制限的な権限が必要な場合は、aiplatform.endpoints.predict権限のみを含むカスタムロールを作成することも可能です。
Google Cloud認証
Claude CodeはGoogle Cloudの標準的な認証を使用します。
# ユーザーアカウントでのログイン
gcloud auth login
# Application Default Credentials(ADC)の設定
gcloud auth application-default login
Vertex AI経由で利用する場合、Claude Codeの/login・/logoutコマンドは無効になります。認証はすべてGoogle Cloud認証情報を通じて行われます。
Claude Codeのインストール
# npmでインストール
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
環境変数の設定
Vertex AI経由でClaude Codeを利用するために、以下の環境変数を設定します。
# Vertex AI統合を有効化
export CLAUDE_CODE_USE_VERTEX=1
# リージョンの設定(globalエンドポイント推奨)
export CLOUD_ML_REGION=global
# Google CloudプロジェクトIDの設定
export ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID=$PROJECT_ID
.bashrcや.zshrcに追記しておくと、毎回設定する手間が省けます。
# ~/.bashrc または ~/.zshrc に追記
cat << 'EOF' >> ~/.bashrc
# Claude Code - Vertex AI configuration
export CLAUDE_CODE_USE_VERTEX=1
export CLOUD_ML_REGION=global
export ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID="your-project-id"
EOF
source ~/.bashrc
また、~/.claude/settings.jsonに以下の記載をしておくことでも、毎回設定する手間が省けます。
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_VERTEX": "1",
"CLOUD_ML_REGION": "global",
"ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID": "your-project-id"
}
}
モデルバージョンの固定
複数人で利用する場合やCI/CDで使用する場合は、モデルバージョンを固定することを強く推奨します。バージョンを固定しないと、Anthropicが新しいモデルをリリースした際に、Vertex AIで有効化されていないモデルが参照されて動作しなくなる可能性があります。
# モデルバージョンの固定
export ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL='claude-sonnet-4-6'
export ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL='claude-haiku-4-5@20251001'
特定のモデルをプライマリモデルとして使いたい場合は、ANTHROPIC_MODELで指定します。
# Opus 4.6をプライマリモデルとして使用する場合
export ANTHROPIC_MODEL='claude-opus-4-6'
Claude Codeの起動と動作確認
# Claude Codeの起動
claude
起動すると、ターミナル上でClaudeとの対話セッションが開始されます。試しに簡単な質問を入力して、正常にレスポンスが返ってくることを確認します。

最初の質問だとVertex AI経由で利用できているかわからなかったので、環境変数を確認させたところ無事にVertex AI経由で利用できていることが確認できました。
これで、セットアップは完了ですのでこのまま利用することができます。
リージョン設定の詳細
Claude Codeでは、globalエンドポイントとリージョナルエンドポイントの両方を利用できます。
globalエンドポイント
CLOUD_ML_REGION=globalを設定すると、Googleが最適なリージョンにリクエストをルーティングします。可用性が高く、429エラー(レート制限)が発生しにくいのが利点です。
globalエンドポイントに対応しているClaudeモデルは以下の通りです。
- Claude Opus 4.6
- Claude Sonnet 4.6
- Claude Opus 4.5
- Claude Sonnet 4.5
- Claude Opus 4.1 / Claude Opus 4
- Claude Sonnet 4
- Claude Haiku 4.5
リージョナルエンドポイント
データレジデンシー要件がある場合や、globalエンドポイント非対応のモデルを使用する場合は、リージョナルエンドポイントを指定します。
# 特定リージョンを使用する場合
export CLOUD_ML_REGION=us-east5
CLOUD_ML_REGION=globalをベースにしつつ、特定モデルだけリージョナルエンドポイントを使いたい場合は、モデルごとにリージョンをオーバーライドできます。
export CLOUD_ML_REGION=global
# Haiku 4.5だけus-east5を使用
export VERTEX_REGION_CLAUDE_HAIKU_4_5=us-east5
Claudeが利用可能な主要リージョン
| リージョン種別 | リージョン |
|---|---|
| Global | global |
| 米国 | us-east5(コロンバス)、us-central1(アイオワ)、us-east4(N.バージニア)他 |
| ヨーロッパ | europe-west1(ベルギー)、europe-west4(オランダ) |
| アジア太平洋 | asia-southeast1(シンガポール)、asia-east1(台湾) |
注意点や制限事項
/login・/logoutコマンドの無効化: Vertex AI経由の場合、Claude Codeの認証コマンドは無効になります。認証はGoogle Cloud認証情報(gcloud auth)で行います。- モデルバージョンの固定を推奨: バージョンを固定しないと、新モデルリリース時にVertex AIで未有効化のモデルが参照され動作しなくなる可能性があります。
- 日本リージョン未対応: Claude on Vertex AIは現時点でasia-northeast1(東京)をサポートしていません。
- globalエンドポイントはデータレジデンシー非対応: globalエンドポイントを使用する場合、リクエストがどのリージョンで処理されるかを制御できません。データレジデンシー要件がある場合はリージョナルエンドポイントを使用してください。
- クォータの確認: Vertex AIのClaudeモデルにはリージョンごとのクォータ(QPM/TPM)が設定されています。大量利用が想定される場合は、クォータページで確認・引き上げ申請を行ってください。
- 料金: Vertex AI経由のClaude利用はPay-as-you-go(従量課金)です。最新の料金はVertex AI料金ページを参照してください。
まとめ
今回はVertex AI経由でClaude Codeを動かすまでの設定手順を紹介しました。
すでにVertex AIでClaudeのモデルを有効化していれば、ローカル環境に環境変数を3つ設定するだけで、AnthropicのAPIキーを使わずにGoogle Cloudの認証基盤でClaude Codeを利用することができます。
Google Cloudをメインのクラウドプラットフォームとして利用している組織にとっては、Google Cloudの以下の機能の恩恵を受けられるので、Claude Codeの導入やPoCのハードルが下がると思います。
- Google Cloud IAMとの統合により、APIキーの配布が不要になり、既存のアクセス制御ポリシーをClaude Code利用にもそのまま適用できる
- VPC Service Controls・監査ログとの連携で、エンタープライズ環境で求められるセキュリティ要件を満たしながらAIコーディングツールを導入できる
エンタープライズ環境でClaude Codeの導入を検討している方は、Vertex AI経由での利用を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事が誰かの助けになれば幸いです。
以上、クラウド事業本部コンサルティング部の渡邉でした!







