
【非エンジニアのためのClaude/ClaudeCodeシリーズ】チャットAIとディレクトリで作業するAIを営業が比較してみた
はじめに
クラスメソッド 西日本営業の倉田と申します。
2025年はChatGPTやGeminiなど、チャットAI(対話形式で質問・回答をやり取りするAI)を利用していましたが、2026年に入りClaude Code(Cowork)を利用し始め、今や手放せない相棒となっています。
"Claude Code/Coworkの何がいいのか"としてよく語られるのがディレクトリを指定して作業ができる=過去のやり取りや関連ファイルを踏まえて作業してくれるという点です。
この記事では
- チャットAI:Claudeのチャット機能
- ディレクトリを指定して作業するAI:Cowork
のそれぞれに同じ内容で指示を出し、アウトプットにどんな差が出るかをみていきます。
「現在はチャットAIを利用しているけど、Claude Code/Coworkが気になっている」
「社内の非エンジニアへのClaude活用を広げたいけど、訴求に迷っている」
という方には参考にしていただける内容かなと思います。
チャットAIとディレクトリで作業するAIの違い
チャットAIとディレクトリで作業するAI(Cowork)の大きな違いは、AIが参照できる情報の範囲です。
- チャットAI:その会話の中で伝えた情報だけをもとに回答する
- ディレクトリで作業するAI:指定したフォルダ内のファイルを丸ごと把握した上で回答する
たとえば「この案件を要約して」と指示する場合、チャットAIでは議事録や提案書をひとつずつ貼り付ける必要がありますが、Coworkではフォルダを指定するだけで済みます。
ディレクトリ構造の詳しい考え方やCoworkでの活用方法については、同シリーズの以下の記事で解説しています。
同じお題で比較してみた
今回のお題は「お客様への提案内容の壁打ち」です。
実際の営業シーンを想定し、チャットAI(Claudeのチャット機能)とCoworkのそれぞれに同じ相談を投げます。
お題の前提として、架空の顧客「サンプル精工株式会社」への稟議ワークフローSaaS「リンギロウ」の再提案を想定しています。再提案をお題にしたのは、過去の経緯や担当者との関係性など、蓄積された情報が活きる場面だからです。
会社名、製品名のセンスのなさには目をつぶっていただけますと幸いです。
チャットAIに相談してみた
チャットAIの場合、相談に必要な情報をすべて自分で入力する必要があります。
今回は以下の情報をチャットに記載しました。
- 顧客概要:社名・業種・従業員数・拠点
- これまでの経緯:初回提案の結果、保留理由
- 直近の動き:社長号令、予算枠、競合状況
- 相談したいこと:提案方針や作戦内容

こちらに対して、チャットAIは以下のアドバイスをくれました。

スモールスタートの具体性不足や競合との差別化ポイントの弱さなど、提案の中で深掘りが足りていない部分を的確に指摘してくれていますね。
初回の壁打ち相手としては十分に使えるアウトプットかなと感じます。
ただし、チャットAIに渡せる情報はその場で入力したテキストに限られるため、ここからさらに精度を上げるには追加の対話が必要です。
例えば「"小さく試す"の対象部門や期間は仮で決めてるんだけど、妥当性はどうかな?」といった形で、自分から情報を補足しながら深掘りしていくことになります。
Coworkに相談してみた
Coworkの場合、顧客情報は事前にディレクトリ内のファイルとして整理しておきます。
今回は以下のようなフォルダ構成で情報を格納しました。
demo-customer(sample seiko)/
├── CLAUDE.md
└── sample_seiko/
├── customer-profile.md ← 顧客概要(企業、担当者、利用ツールなど)
├── internal-notes.md ← 案件進捗をまとめたもの
├── meeting-notes-previous.md ← 前回の打ち合わせ議事録
└── meeting-notes-recent.md ← 直近の通話内容のメモ
各ファイルには、顧客概要・案件進捗・過去の議事録などをmarkdown形式(テキストベースの書式)に変換して格納しています。
準備したフォルダを指定し(画像赤枠部分)、指示を出します。
Coworkでは、顧客情報や経緯などはディレクトリから読み込んでくれるため、チャットAIに投げた「相談したいこと」のみを伝えます。

さっそく指定したディレクトリ内のファイルを確認してくれていますね。

こちらがCoworkからのアドバイスになります。

”愛知工場の田中主任を巻き込む設計にする”や”管理本部長の懸念は「工場のベテランが使えるか」”など、顧客担当者の名前・役割や過去の発言だけでなく、前回提案時の具体的な数字を踏まえた内容になっていますね。
さらに、担当者同士の関係性やキャラクターも踏まえ、「この人にはこう伝えた方が刺さる」といった踏み込んだアドバイスが返ってきます。
また、過去の商談経緯を把握しているため、「次に何をすべきか」のアクション提案まで含まれており、チャットAIの一回目のアウトプットとの差が実感できます。
比較して感じた差
2つのアウトプットを並べてみると、大きく3つの違いがあると感じました。
1. 指示文の分量
チャットAIでは顧客情報・経緯・相談内容をすべてテキストで入力する必要がありましたが、Coworkでは「相談したいこと」だけで済みました。Coworkではフォルダの準備などはありますが、そちらもAIに任せられますし、一度作成してしまえば、説明の手間が格段に減ります。
2. 回答の具体性
チャットAIの回答は、インプットに限界があるため、深掘り的なアドバイスが中心でしたが、Coworkの回答は顧客データを踏まえた具体的な提案が含まれていました。
3. 壁打ち相手としての質
チャットAIは「一般的な営業のベストプラクティス」を教えてくれる存在でしたが、Coworkは「案件進捗も把握している同じチームの先輩」のようなフィードバックをくれました。回答の具体性も相まって、Coworkは実務でそのまま使えるレベルだと感じます。
体験してわかった、差が生まれる理由
2章で「参照できる情報の範囲が違う」と説明しましたが、実際に比較してみて改めて感じたのは、この差は想像以上に大きいということです。
チャットAIの場合、相談のたびに必要な情報を入力します。当然、入力できる量には限界がありますし、毎回ゼロから状況を説明する手間がかかります。例えるなら「初対面の相手に、背景から説明して相談する」ような感覚です。
一方、Coworkではディレクトリを指定することで、顧客情報・議事録・社内メモといった"仕事の文脈"を丸ごとAIに渡すことができます。加えて、この情報は蓄積されていくため、商談が進むたびに議事録や社内メモを追加していけば、AIの理解もどんどん深まっていきます。
いわば「案件進捗を把握している同じチームの先輩」に相談する感覚に近いです。
実際に私も、今回のデモのような形でお客様ごとにフォルダを分けて活用しています。
過去の情報を確認したいときもAIに質問するだけで済むため、情報を探す時間が減り、本来時間を使いたい提案を練る作業に集中できるようになりました。
一方で、情報が蓄積されているからといってAI任せにするのではなく、自分自身でお客様の情報を定期的に振り返ることも大切だと実感しています。あくまでツールであり、お客様のことを一番理解しているのは自分だという意識は忘れないようにしたいですね。
ちなみに、今回のデモで利用した架空の顧客データもClaudeに作成してもらいました。「こういう設定の顧客情報を作って」と伝えるだけで、リアリティのある顧客プロフィールや議事録を一式用意してくれます。
始めるときに知っておきたいこと
実際に試してみて感じた、非エンジニアがCoworkを始めるときのコツを3つ紹介します。
1. まず社内のAI利用ガイドラインを確認する
会社によってAIに渡してよい情報の範囲は異なります。始める前に、自社のガイドラインを確認しておきましょう。
2. 機密度の高い情報はフォルダに含めない
個人情報や現契約についてなど、機密度の高いデータはフォルダに入れないようにしましょう。実際の顧客データをそのまま使うのではなく、社名や担当者名を仮名に置き換えて始めるのもおすすめです。
3. スモールスタートを意識する
いきなり完璧なフォルダ構成を作ろうとすると手が止まります。まずは顧客概要・直近の議事録・社内メモの3ファイル程度から始めてみましょう。それだけでもチャットAIとの違いは十分に実感できます。
まとめ
今回、同じお題で比較してみて感じたのは、ディレクトリで作業するAIを活用することで「AIとの働き方が根本的に変わる」ということです。
この違いは、エンジニアの方だけでなく非エンジニアの方にも実感してほしいと思っています。日々の営業活動や提案業務のなかで、「もう一人の相談相手」がいる感覚をぜひ体験してみてください。









