Claude Codeに専門家チームを追加!開発効率を向上させるSuperClaudeを試してみた
はじめに
皆さん、Claude Codeは使っていますでしょうか。私はプライベートでもMaxプランを契約して、もう手放せない存在になってしまいました。
とても便利なツールですが、使い込んでいくうちに細かく設定したい項目が増えてきます。CLAUDE.mdの書き方、カスタムスラッシュコマンドの追加など、検討する項目も多くなってきているのではないでしょうか。
今回は、そうした悩みを解消できそうなOSSフレームワーク「SuperClaude v3」(以下、SuperClaude)を試してみました。SuperClaudeは、Claude Codeをさらに効率的に活用できるよう拡張してくれるツールです。
GitHubのリポジトリはこちらです。
まだ使い込んではいませんが、まずは試してみようと思い、実際に使ってみました。
インストールは1分程度で完了しますし、アンインストール手順も記事の最後に記載していますので、ぜひ皆さんも気軽に試してみてください。
SuperClaudeを使うメリット
SuperClaudeを導入することで、以下のようなメリットがあります。
ペルソナによる自動最適化
SuperClaudeの最大の特徴は、「ペルソナ」と呼ばれる専門家の役割が自動的に起動することです。これは、フロントエンド開発、セキュリティ、パフォーマンス最適化など、各分野の専門家がClaude Codeの中に存在しているような体験を提供してくれる機能です。まるで専門家チームに作業を依頼しているような感覚で開発を進めることができます。
現時点(2025年7月25日)では以下のペルソナが利用可能です。
ペルソナ | 専門分野 |
---|---|
🏗️ architect | システム設計・長期アーキテクチャ |
🎨 frontend | UI/UX・アクセシビリティ・デザインシステム |
⚙️ backend | API・インフラ・信頼性エンジニアリング |
🛡️ security | 脅威モデリング・脆弱性評価 |
⚡ performance | 最適化・ボトルネック特定 |
🔍 analyzer | 根本原因調査・体系的デバッグ |
🧪 qa | テスト戦略・品質保証 |
🔄 refactorer | コード品質・技術的負債管理 |
🚀 devops | インフラ自動化・デプロイ |
👨🏫 mentor | 教育指導・知識移転 |
✍️ scribe | 専門的文書作成・コミュニケーション |
これらのペルソナは、タスクの内容を分析して自動的に選択され、場合によっては複数のペルソナが連携して作業を行ってくれます。コマンドを明示的に使用しない場合でも、SuperClaudeがタスクの内容を分析して適切なペルソナを自動的に起動してくれるため、Claude Code自体の応答精度が向上し、より的確なサポートを受けることができます。
ペルソナに関する詳細情報は、以下ユーザーガイドで確認してください。
SuperClaude Personas User Guide
高品質なスラッシュコマンドがすぐに使える
さらに、開発で頻繁に利用するスラッシュコマンドが高いクオリティですぐに使える点も大きな魅力です。現時点(2025年7月25日)で利用可能なコマンドは以下のとおりです。各コマンドに、上記の専門家ペルソナが適切に割り当てられます。
コマンド | 目的 | 最適な用途 |
---|---|---|
/sc:analyze |
コード解析 | 問題発見、コードベース理解 |
/sc:build |
自動ビルド | コンパイル、バンドル、デプロイ準備 |
/sc:implement |
機能実装 | 機能、コンポーネント、API、サービス作成 |
/sc:improve |
コード改善 | リファクタリング、最適化、品質修正 |
/sc:troubleshoot |
問題調査 | デバッグ、問題調査 |
/sc:test |
テスト実行 | テスト実行、カバレッジ分析 |
/sc:document |
ドキュメント作成 | READMEファイル、コードコメント、ガイド作成 |
/sc:git |
Git作業支援 | 効率的なコミット、ブランチ管理 |
/sc:design |
システム設計支援 | アーキテクチャ計画、API設計 |
/sc:explain |
学習支援 | 概念学習、コード理解 |
/sc:cleanup |
技術的負債削減 | デッドコード除去、ファイル整理 |
/sc:load |
プロジェクト理解 | プロジェクト分析、コードベース理解 |
/sc:estimate |
工数見積もり | 時間/工数計画、複雑性分析 |
/sc:spawn |
複雑作業管理 | マルチステップ操作、ワークフロー自動化 |
/sc:task |
プロジェクト管理 | 長期機能計画、タスク追跡 |
/sc:workflow |
実装計画 | PRDからのステップバイステップワークフロー作成 |
/sc:index |
コマンド検索 | タスクに適したコマンド発見 |
開発で必要となる主要なコマンドは一通り揃っています。これらを自分で用意するのは大変なので、用意されているのは助かりますね。
なお、各コマンドの詳細な使い方については、以下のユーザーガイドで確認できます。
SuperClaude Commands Guide
他にもPlaywrightなどのMCPサーバーが統合されていたり、トークンの最適化などがありますが、ここでは主要な機能はスラッシュコマンドとペルソナにあるため省略します。
気になる方はREADME.mdを参照してください。
実際に使ってみる
それでは、実際にSuperClaudeをインストールして使ってみましょう。
動作環境
今回使用した環境は以下のとおりです。
- Python 3.8以上(今回は3.12を使用)
- Claude Code
インストール手順
1. uvのインストール
まず、Pythonのパッケージマネージャー「uv」がインストールされていない場合は、以下のコマンドでインストールしてみましょう。
curl -Ls https://astral.sh/uv/install.sh | sh
2. SuperClaudeのインストール
uvがインストールできたら、ターミナルを一度再起動してから以下のコマンドでSuperClaudeをインストールしてみましょう。
uv venv
source .venv/bin/activate
uv pip install SuperClaude
3. SuperClaudeフレームワークの設定
最後に、SuperClaudeフレームワークの設定をしてみましょう。
python3 -m SuperClaude install
このコマンドを実行すると、以下のようなインストールオプションが表示されます。まずは試してみたい方は1
(Quick Installation)を選択してみましょう。
============================================================
SuperClaude Installation v3.0
Installing SuperClaude framework components
============================================================
SuperClaude Installation Options:
Select installation type:
=========================
1. Quick Installation (recommended components)
2. Minimal Installation (core only)
3. Custom Selection
Enter your choice (1-3):
> 1
すでにClaude Codeを利用している場合、SuperClaudeの設定で既存の設定を上書きするか確認されます。y
を入力して進めてください。
既存の設定は~/.claude/backups/
に自動的にバックアップされるため、いつでも復元可能です。
[INFO] Validating system requirements...
[✓] All system requirements met
[!] Installation directory already exists: /Users/suzuki.jun/.claude
Continue and update existing installation? [y/N]
> y
続いて、coreとcommandsコンポーネントのインストール確認が表示されます。ここでもy
を入力してください。
coreコンポーネントには、SuperClaudeの動作に必要なルールやペルソナの定義ファイルが含まれています。
Installation Plan
==================================================
Installation Directory: /Users/suzuki.jun/.claude
Components to install:
1. core - SuperClaude framework documentation and core files
2. commands - SuperClaude slash command definitions
Estimated size: 145.2 KB
Proceed with installation? [Y/n]
> y
以上でインストールは完了です。/help
コマンドを実行してみると、先ほど紹介した17個のコマンドがすぐに利用できるようになっていることが確認できます。
実際にコマンドを使ってみる
プロジェクト分析の実行
実際のプロジェクトで/sc:analyze
コマンドを試してみました。このコマンドは、プロジェクト全体の品質やアーキテクチャを総合的に分析してくれます。以下のような結果が出力されました。
> /sc:analyze
~~省略~~
🎯 総合評価
📊 品質スコア
- アーキテクチャ: 85/100 (優秀)
- コード品質: 90/100 (優秀)
- セキュリティ: 88/100 (優秀)
- パフォーマンス: 82/100 (良好)
🌟 プロジェクトの強み
1. 適切なマルチアカウント対応
2. 堅牢なエラーハンドリング
3. 優れた型安全性
4. 包括的なログ記録
🔧 次のステップ
1. 高優先度改善事項の実装(推定5日)
2. 中優先度改善事項の計画(推定6日)
3. 継続的改善プロセスの確立
全体的に非常に品質の高いプロジェクトで、AWSベストプラクティスに従った実装がなされています。
このように、単なる品質スコアだけでなく、具体的な強みと改善点、さらには対応優先度と推定工数まで提示してくれます。現状分析として非常に実用的で、ここから各種コマンドを使って改善を進めていくことができそうです。
ペルソナの自動連携
この分析でどのペルソナが使われたか実際にSuperClaudeに質問して確認してみたところ、4つのペルソナが自動的に連携して分析していたことがわかりました。
> 今回行った分析は、どのペルソナを利用したか教えてください。
● 今回の分析では、SuperClaudeフレームワークの複数のペルソナが自動的に活用されました:
🔍 --persona-analyzer (メイン)
- 自動活性化: "analyze"キーワードと複雑な調査タスクにより自動選択
- 役割:
- 証拠ベースの体系的分析
- ルートコース調査手法の適用
- 構造化された問題分解
- 使用ツール: Sequential(構造化分析)、Read、Grep、Glob
🏗️ --persona-architect (サポート)
- 自動活性化: アーキテクチャパターンと設計分析の検出
- 役割:
- システム全体の設計パターン評価
- 長期的な保守性とスケーラビリティ分析
- 依存関係とモジュラリティの評価
🛡️ --persona-security (サポート)
- 自動活性化: セキュリティ関連コードとIAM権限の検出
- 役割:
- セキュリティベストプラクティスの検証
- 脅威モデリングと脆弱性評価
- 認証・認可パターンの分析
⚡ --persona-performance (サポート)
- 自動活性化: パフォーマンス関連パターンの検出
- 役割:
- ボトルネック特定と最適化提案
- リソース使用量の評価
- メトリクス駆動の改善提案
各専門家ペルソナが自動的に連携し、それぞれの視点から総合的な分析をしていることがわかります。
まるでClaude Codeの中に専門家チームがいるような体験ですね。
自然言語での会話でもペルソナが活用される
さらに嬉しいのは用意されたスラッシュコマンドだけでなく、自然言語での会話でも自動的に適切なペルソナが選択されることです。
例えば、実際に「このプロジェクトにおけるテストコードの方針を決めたいです」と質問して試してみたところ、以下の4つのペルソナが協調して方針を策定してくれました。実際にSuperClaudeから返された応答を確認すると、どのペルソナが使われたかも詳細に説明してくれます。
● 今回のテスト方針策定では、SuperClaudeフレームワークの複数のペルソナが協調して活用されました:
🎭 活用されたペルソナ
🔍 --persona-qa (メイン)
- 自動活性化: "テスト"、"品質"、"カバレッジ"キーワードの検出
- 役割:
- テスト戦略の包括的設計
- 品質基準とカバレッジ目標の設定
- リスクベースのテスト優先度付け
- テストピラミッド構造の提案
- 専門性: 予防重視、包括的カバレッジ、エッジケース検出
🔍 --persona-analyzer (コア支援)
- 自動活性化: 現状分析と体系的調査タスク
- 役割:
- 既存テストコードの詳細分析
- テストカバレッジギャップの特定
- 証拠ベースの現状評価
- 構造化された問題分解
- 専門性: 証拠ベース分析、体系的調査手法
🏗️ --persona-architect (戦略支援)
- 自動活性化: アーキテクチャレベルのテスト設計
- 役割:
- テスト階層(Testing Pyramid)の設計
- 長期的なテスト戦略の策定
- システム全体のテスト可能性評価
- 技術スタック選定の指針
- 専門性: システム思考、長期保守性、スケーラブル設計
📝 --persona-scribe (ドキュメント化)
- 自動活性化: 包括的な方針文書作成タスク
- 役割:
- 明確で実践的な方針文書の作成
- 技術的内容の分かりやすい構造化
- 実装ロードマップの詳細化
- チーム向けガイドラインの整備
- 専門性: 技術文書作成、構造化、実践的ガイダンス
このように、タスクの内容に応じて関連する専門家ペルソナが自動的に選択され、それぞれの専門性を活かして協調作業をしてくれます。結果として、通常の利用方法より包括的で質の高いアウトプットが得られていると感じました。
まとめ
以下、SuperClaudeを導入して使ってみた感想です。
- 高品質なスラッシュコマンド: 実用的なコマンドが揃っている、コマンドの使い方を覚えるまでは少し大変そう
- ペルソナによる専門的な分析: 各分野の専門家が協調して作業するような体験で、精度が高く感じる
- 自動最適化: 明示的にコマンドを使わなくても、適切なペルソナが自動選択されるためインストールするだけで効果を実感できる
- 簡単な導入: インストールは数分で完了し、すぐに使い始められる
最終的な評価はもう少し使い込んでからになりますが、Claude Codeをより効率的に活用したい開発者には十分おすすめできそうなツールだと感じました。
ぜひ皆さんもClaude Codeの中に専門家チームを迎えて、開発効率を向上させてみてください。インストールは数分で完了しますし、気に入らなければアンインストールも簡単です。まずは気軽に試してみてください。
付録:アンインストール手順
SuperClaudeを削除したい場合のアンインストール手順も記載しておきます。
1. SuperClaudeの完全アンインストール
source .venv/bin/activate
python3 -m SuperClaude uninstall --complete --yes
2. 残存ファイルの削除
アンインストール後も一部のファイルが残る場合があります。必要に応じて以下のコマンドで削除してください。
rm -rf ~/.claude/SuperClaude_Framework
rm -f ~/.claude/.superclaude-metadata.json
3. CLAUDE.mdの復元
SuperClaudeのインストール時に上書きされたCLAUDE.mdは、バックアップから復元できます。バックアップファイルは~/.claude/backups/
ディレクトリに自動的に保存されているので、そこから復元してください。