衝突に根ざす感情そしてパワー

2022.04.18
こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
組織改善を行う際に、解決されずに残り続ける難しい問題が存在します。
それらの問題の多くにおいて、複数の関係者の間での衝突があります。衝突の建設的な解消がこれらの問題の解決に必須となっていくのです。そこで、衝突とはどのようなもので、何が衝突に影響を与えるのかを整理します。
この記事の情報は書籍「 コンフリクト・マネジメントの教科書: 職場での対立を創造的に解決する 」の Part1 理論編に記載されている内容なので、気になったかたは読んでみてください。

衝突に影響を与える3要素とは?

衝突に影響を与える3つの要素があります。
  1. 強度
  2. 構造
  3. 透明性

強度

衝突には強度があります。衝突の度合いです。
衝突の強度は以下のような要素の影響を受けます。
  • 関係者の人間関係
  • 関係者の価値観
  • 関係者の利害
  • 衝突の経緯
  • 衝突の継続期間
  • 衝突内容の複雑さ
衝突の強度が高まるほど解決は困難になり、低くなるほど解決は容易になります。

構造

衝突の構造には大きく分けて2種類があります。
  • 協調的目的のもとでの衝突
  • 競合的目的のもとでの衝突
協調的な目的については、お互いが同じ目的・ゴールを目指しているが、現在やりとりしている対象については意見が衝突している状態です。目指すところが同じなので、建設的な議論に持っていきやすい衝突です。例えば、顧客満足を高めるための機能開発案を議論していて、お互いに顧客満足を目指しているが解決策として好ましい選択肢について意見が別れているケースです。
一方、競合的目的での衝突は、お互いが異なる目的・ゴールを目指している中での衝突です。目指すところが異なるので、議論がこじれやすく、悪影響が拡大しやすく、解決しにくい衝突です。例えば、技術的負債の解消を解消したい開発者と、とにかく売上向上につながることのみに時間を使いたいプロダクトオーナーの間での衝突です。この場合、技術的負債は将来の売上向上を脅かす要素であり、お互いの共通の目的につながるという認識合わせができれば協調的目的に変えていくことができます。

透明性

衝突が周りからどの程度見えるのか。その透明性が衝突に影響を与えます。
衝突の内容が見える範囲が広いほど、建設的に議論が進みやすくなります。

衝突と感情

感情は衝突に大きな影響を与えます。同じ問題を取り扱っていても、相手への感情がポジティブかネガティブかで衝突の解消難度は変わります。
感情は単発のものではなく、蓄えられるものです。これを感情の貯蔵庫と呼びます。
感情の貯蔵庫には肯定的な感情、否定的な感情が蓄えられます。人間の脳は記憶時だけではなく、記憶を引き出す流れでも記憶の更新が行われます。もともとの感情が強化されることもあれば弱まることもあります。また、感情の根拠となる前提の記憶が曲がってしまうこともあります。実は単なる推測だったはずが、いつの間にか記憶上では事実になってしまうような場合などです。
一般に、肯定的な感情に比べ否定的な感情のほうが強く、長期化しやすいため、否定的な感情が優位になるとその影響がさらに拡大しやすくなります。
肯定的感情が優位であれば、出来事の解釈を好意的に捉えやすくなり、衝突が解消しやすくなります。一方で、否定的感情が強いと出来事を否定的に解釈しやすくなった結果、よりこじれやすくなります。否定感情の影響の強さを考えると、普段肯定的な感情が優位になるようなコミュニケーションを関係者を行っている必要があります。
例えば、ネガティブなフィードバックをするためには承認・称賛を3倍、4倍行っておくくらいの信頼構築が必要になる、というような話につながります。また、単に見せかけの承認・称賛をするのではなく、相手の成功・幸福を心から願っている必要があるでしょう。

パワーと罠

感情的対立の多くのケースでパワーの差異が関わります。
ここでいうパワーは地位的な権力をはじめとした様々な力関係のことです。
例えば、入社したばかりの控えめなAさんと同じ職位だが社歴が長く声の大きいBさんがいた場合、Bさんのほうがパワーが大きくなります。
こういったパワーに差のある関係性があるとき、パワーの強いもの・パワーの弱いものそれぞれが陥りやすい罠があります。

パワーが強い者が陥りやすい罠

1例として「弱者が見えない罠」があります。
自分よりもパワーが弱いものを軽視した結果、相手が持つ背景知識・情報・意見を受け取ることや、重視しない状態です。
結果として、本来現場について一番詳しい人達からの情報を軽視したり、無視することで衝突が解消しないままになります。
書籍では 7 つの罠が掲載されているので気になる方は書籍版を参照ください。

パワーが弱い者が陥りやすい罠

1例として「頭を下げ続ける罠」があります。
立場の弱さから、
  • 多くを望むことを諦める
  • パワーの強い人の意見を過剰に否定的に解釈する
などすることになり、結果として衝突が解消されにくくなります。書籍では 6 つの罠が掲載されているので気になる方は書籍版を参照ください。

まとめ

衝突に大きく関わる感情、パワーについてまとめました。ここで紹介した「パワーが強い者が陥りやすい罠」「パワーが弱い者が陥りやすい罠」に関して、自身・他者ともに思い当たる面があるかもしれませんが、ここで「あの人のあんな駄目なところに当てはまっている」と考え、他者に対してネガティブに捉えるのもまた罠です。構造的にハマりやすい事象として捉え、むしろ個人はそこに陥っているという視点からどうやったら周囲の仲間とともその状態を解決できるか、という方向に考える必要があるでしょう。
ここまでを踏まえて考えると信頼構築の重要性を改めて実感します。
ベースに信頼関係があれば、多少の衝突があっても好意的に解釈し、共通の目的を確認しあい、衝突の強度を下げて解決しやすい状態にできます。逆に、信頼構築をおろそかにしていると、些細な問題も解決困難になります。その意味では、個々人が人と事を分けて考えることができる度合いも関連しそうです。
書籍においてこのあと解決策の情報がまとまっているので続きを読むのが楽しみです。
パワー(敬具)。

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