自分自身の思考、行動、信念を深くふりかえること
こんにちわ。組織開発 がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
仕事をしていく上で、技術的な知識やスキルを身につけることによる成長もあれば、考え方の変容やそれを元にした振る舞いの変化をするような成長もあります。後者をする上で、批判的内省が必要になります。
この記事では批判的内省についてまとめます。
批判的内省とは?
批判的内省 ( Critical Reflection )は、自分自身の思考、行動、信念を深くふりかえり、それらがどのように形成され、どのような影響を与えているかを批判的に分析するプロセスです。これは自己成長や学習、そして変革のために重要なスキルとされています。
垂直的な溝と批判的内省
批判的内省がどのような場面で必要になるかを考える上で、水平的な溝と垂直的な溝について補足した上で、垂直的な溝と批判的内省について説明します。
水平的な溝
水平的な溝は、同じ発達段階内でスキルや知識をさらに発展させる際に生じるギャップや課題を指します。この溝は、既存の能力や視点を深化させ、拡張する過程で現れます。
例えば、ウェブ開発のサーバーサイドエンジニアの経験のみがある人が、はじめてフロントエンドエンジニアとしての開発をするうえで生じる溝です。一人前の開発担当者として求められるレベルは同じですが、開発する領域が異なるために溝を埋めるための成長が必要になる状態です。
なお、人事評価制度がある場合、同一のグレード内で知識やスキルを伸ばしたりする状態は水平的な溝を乗り越えている状態といえるでしょう。
垂直的な溝
垂直的な溝は、個人が発達の次の段階へと進む際に直面するギャップや課題を指します。この溝は、次の発達段階に到達するために必要な新しい視点や能力を習得する過程で現れます。
例えば、ウェブ開発のサーバーサイドエンジニアとして一人前の開発担当者としての経験のみがある人が、はじめてリードエンジニアとして開発チームの技術的な方針を取りまとめる役割をする上で生じる溝です。
なお、人事評価制度がある場合、次のグレードに上がるために物事の考え方まで立ち返り、振る舞いを変化させている状態は垂直的な溝を乗り越えている状態といえるでしょう。
垂直的な溝と批判的内省
垂直的な溝を超える際に苦戦している場合、既存の思考や行動パターンの変化を仕切れていないことが原因になっている可能性があります。このような状況では、批判的内省を通じて、自分自身の現状の限界を理解し、新しい考え方や行動を採用するために、アンラーニングをすることが必要になるでしょう。
自分で批判的内省をする
自分で批判的内省をする流れは以下です。
- 状況のふりかえり
- 感情と反応の分析
- 背景と文脈の考察
- 代替行動の検討
- 学びの確認
1. 状況のふりかえり
具体的な出来事や経験を振り返り、何が起こったのかを客観的に記録します。
2. 感情と反応の分析
その状況で自分がどのように感じたか、どのように反応したかを振り返り、それがなぜそのような反応になったのかを考えます。
3. 背景と文脈の考察
自分の反応や行動が、その時の文脈や背景にどのように影響されたかを分析します。これにより、自分の信念や価値観、過去の経験などがどのように影響を与えているかを理解します。
4. 代替行動の検討
同じ場面でよりよい結果を導くために、どのような行動が取れたか、あるいは今後どのような行動を取るべきかを考えます。
5. 学びの確認
批判的内省の結果として学んだことや、今後改善すべき点を明確にし、それを行動に移すための計画を立てます。
他者の批判的内省を促す
他者に批判的内省を促す流れは以下のようなものです。
- 事実に基づいたフィードバックを提供する
- 影響の理解を促す
- 自己内省を促す質問をする
- 批判的内省を促す質問をする
- フォローアップ
なお、他者の批判的内省を促すには土台として相手との信頼関係が必要になります。
1. 事実に基づいたフィードバックを提供する
最初のステップは、問題となっている具体的な行動に関するフィードバックを提供することです。
2. 影響の理解を促す
次に、その行動がビジネスやチームに与えている影響について説明します。
3. 批判的内省を促す質問をする
相手に批判的内省を促すための質問を投げかけます。これがうまくいけば、メンバー自身が問題の本質に気付き、自ら改善の必要性を認識するようことになります。
4. 改善策を共に考える
批判的内省が進んだ後、具体的な改善策を一緒に考えます。メンバー自身が提案した改善策を尊重しつつ、必要に応じてサポートします。
5. フォローアップ
改善が進んでいるかを確認し、定期的にフォローアップを行います。小さな改善でも認め、ポジティブなフィードバックを与えることで、前向きな変化を強化します。
まとめ
この記事では批判的内省についてまとめました。
水平的な溝を超えることは必要な内容を把握し、手を動かすことができれば比較的難易度は高くありませんし、少しずつでも進展させやすい傾向にあります。一方で、垂直的な溝を超えることは、入口で変化の必要性について自分で納得することができなかったり、いざ変化のための取り組みを始めたとしても途中でもともとの価値観に基づいた行動に戻ってしまうなどして、時間をかけた上で一歩も前に進まないこともありえます。