立ち上がったばかりのチーム、高尾山の麓で合宿をやってみた!
CX事業本部 Delivery部 DMT(デリバリーマネジメントチーム)で、従業員向けの組織開発やワークショップデザインに取り組んでいる長南です。1月に立ち上がったばかりのDMTで、2月某日に高尾山の麓での2泊3日の合宿をしました。なぜ合宿をしたのか?その結果なにが起きたのか?など、お伝えしていきます。
背景:なぜ合宿をしたのか?
今年の1月にCX事業本部内で大きな体制変更があり、DMTが立ち上がりました。DMTは、それぞれのプロジェクトを抱えるプロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャー、スクラムマスターが集まる16名の職能チームです。住まいは北海道、東京、神奈川、長野、大阪、沖縄とバラバラのため、MTGや雑談は基本MeetやGatherで実施しています。合宿実施前の2月時点では、相互理解や話しやすさはまだまだ課題があり、チームビルディングや心理的安全性が求められている状況でした。
チームビルディングや心理的安全性の必要性も感じていましたが、DMTチームリーダーのかみとさんから「DMTをみんなでつくりたい」という声が出ていて、「DMTをみんなでつくる」そんな体験や実感が得られる場づくりをしようと企画を進めていました。合宿の企画は、DMTメンバーのやまもとさんと長南の2名で進めていましたが、「合宿もみんなでつくりたいね」と話していて、なるべくGatherなど目につくところで準備を進めていました。
合宿の概要
日時:2月某日
実施期間:2泊3日(移動時間を考慮して、1日目は15:00スタート、3日目は12:00解散)
参加者:DMTメンバー16名(住まいは北海道、東京、神奈川、長野、大阪、沖縄とバラバラ)
場所:東京の高尾山口駅近く
プログラム:1日目はイントロ、ロールセッション(後述)、懇親会。2日目は一日中OST(後述)、懇親会。3日目は自由にリフレクション、ロールセッション、チェックアウト。
備考:1日のみなど部分参加OK、ワーク中の中抜けOK
合宿への参加を阻む壁から、全員参加の道へ
合宿準備を進める中で、合宿への参加を阻む壁が表面化したのは、タイムスケジュールなど合宿プログラムが具体的になって、2泊3日の予定調整を進め始めた時でした。
「家庭の事情で3日も家を空けられません」「プロジェクトが追い込み時で参加できるかわかりません」「毎日プロジェクトメンバーとやりとりしているので、3日もプロジェクトを離れられない」
一部メンバーから不参加という回答と一緒に書き込まれた不参加の理由。
「もっとプロジェクトのことを考えてほしい。プロジェクトをより良くしていくためのDMT活動で、プロジェクトに悪影響を及ぼすのは本末転倒。」と厳しい声も出ていました。
一見、合宿への批判の声のようにも見えますが、「参加したいけどできない」という思いを感じ、また「みんなで合宿をつくるいい機会になるのでは?」とふと思い、あらためて合宿をなぜやるか?合宿への参加を阻む壁と向き合うワークショップをしました。
ワークショップでは、以下のような問いに対して、Miroで意見や回答を記入してもらいました。
- DMT合宿に対して、期待していること、もやもやしていることは?
- あなたと各ステークホルダーの距離感は?(DMT、プロジェクト、クライアントのベン図のどこに立っているか?→意見の違いを生む立ち位置を見えるようにするため)
- あなたの役割、あなたのプロジェクトは機能している?(プロジェクトの問題を抱えているか否かを見えるようにするため)
- DMT合宿をなぜやるか?あなたが今考えていることを教えてください
- DMT合宿への参加を妨げているものにはどのようなものがありますか?
- 参加の妨げに対して、どのような配慮ができると参加できるようになると思いますか?
あなたと各ステークホルダーの距離感は?(黄色い丸がメンバーの立ち位置)
プロジェクト状況や、プロジェクトとクライアントとの関わり方によって、DMTとの距離は人それぞれであることが見えてきました。
(もちろん、DMTのチームビルディングが進んでいない状況で、DMTと距離を感じている人もいたと思います)
「参加の妨げに対して、どのような配慮ができると参加できるようになると思いますか?」という問いに対して、「1日のみ参加もOKにする」「途中参加途中離脱できるようにする」と具体的なアイデアが出てきたため、これらを実現させるための企画を再考することにしました。
合宿の場づくりで考えていたこと
なぜ高尾山口駅近くのタカオネを合宿の場に選んだのか?
ここは一緒に合宿企画を進めていたやまもとさんと、「普段の仕事や役割から離れて、人間らしさやこどもっぽさが出せるといいよね」と話していました。自然の多い場所で、焚き火を囲む。普段の役割から離れやすくなる非日常空間、そして人間らしさやこどもっぽさを引き出してくれる場として、高尾山の麓という場所を選んでいました。
なぜ合宿のメインコンテンツとして、OST(Open Space Technology)を採用したのか?
まず「1日のみ参加もOKにする」「途中参加途中離脱できるようにする」という条件があったので、これらの条件を満たすことができる柔軟性のあるプログラムとして、OSTが候補にあがっていました。
次に、事前実施していたワークショップなど通して、一人ひとりに違いがあることが見えていました。プロジェクトの違い、クライアントとの関わり方の違い、一人ひとりの経験やスキルの違い。違いから学び合うことができるプログラムとして、自分たちでテーマを出し、テーマを選んで、個性を生かした対話で学び合えるOSTとの相性の良さを感じていました。
最後に決め手になったのが、OSTは全員参加でみんなで場づくりをすることができるところ。OSTを通して「DMTをみんなでつくる」を表現することで、合宿後の日常でも「DMTをみんなでつくる」を継続させることができるのではないか。そんなことを考えてOSTを選んでいました。
OSTでは、全員でテーマを出し合い、全員で取り扱うテーマを決めて、参加したいテーマに集まり対話を繰り返します。
今回は同時に3テーマを扱うこととして、1日で6セッション x 3テーマの対話の場をつくっていました。
(テーマをおかわりするセッションを1度扱ったので、全部で15テーマでセッションをしました)
参考:OSTとは?
DMT3つの目標である「チームがイキイキ」「お客さまとの良好な関係性」「三方よしの価値提供」に、OSTで扱った15のテーマ(緑の円)をマッピングしたもの。
なぜ1日目と3日目にロールセッションを採用したのか?
相互理解が合宿の目的に含まれる中で、一人ひとりがどういった業務を担っているのか?OSTで対話するにあたり、一人ひとりのスキルの違いを見えるようにしたいね。という話が出ていました。
そこで候補にあがったのがDMTメンバーの日吉さんが取り組んでいたロールセッション。
一人ひとりのメンバーが、「自分がやるべきこと」「サポートしてほしいこと」「他の人への期待」これらを踏まえて「最終的に自分がやるべきだと納得できたこと」をシェアしていく。 相互理解に加えて、メンバー間で期待を伝え合い、3日目にロールセッションの更新機会をつくり、合宿を通じて一人ひとりにどういった変化が生じたか?を確認する機会を設けました。
参考:ロールセッションとは?
合宿の結果、見えてきたもの
合宿参加者向けアンケートを通して見えてきたものを。
要素別の満足度
事前準備、ワーク会場(ホール・タカオネ)、料理やドリンク、合宿への参加しやすさ(部分参加OK、途中抜けOKなど)はGoodな評価でしたが、高尾山口という場所、宿泊環境(相部屋)、ワークプログラムの内容(ロールセッションやOST)、合宿期間(2泊3日)には不満の声が出ていました。
宿泊環境への不満理由は、相部屋であることで、睡眠の質などに影響が出てしまったこと。
ワークプログラムは、1日のみOKや途中参加途中離脱OKとしたことで、参加体験に差が出てしまったことや、具体的なアウトプットを求める声が多かったです。
チームビルディング
「自分がDMTのメンバーであると感じられた」「DMTメンバー同士の相互理解が進んだ」はGoodでしたが、「DMT内で自分が貢献できることが見えてきた」「合宿を通じて、やりたいこと/やるべきことが具体的になった」は結果に違いが出ていました。
ここは合宿プログラムの体験機会の差や、プロジェクトの状況により、DMTの中での取り組みに取り組みやすい人とそうではない人に分かれている印象でした。
チームビルディングの状況をタックマンモデルで評価すると、混乱期(役割を意識する。メンバー間の衝突が起こる。)と統一期(オープンな意見交換。お互いの違いを認め合う。)の間に位置しているように見えます。
心理的安全性
「DMT内で話しやすさがあると感じられた」はGoodでしたが、「DMTは助け合えるチームであると感じられた」に関しては「どちらともいえない」が目立っていました。こちらも関係性というよりは、みんなプロジェクトで忙しい中で、実際助け合うことができるのか?というところに、課題があるようでした。
合宿コンセプト
「対話を通じて学び気づきが得られた」はGoodでしたが、「多様性が強みであると感じられた」「みんなと協力すれば可能となることを感じた」に関しては、まだまだ合宿だけでは実感が得られづらく、これからDMTの活動を通して実感していくところかなと見ていました。
「(DMTやプロジェクト)チームをよりイキイキさせるための気づきが得られた」「お客さまと良好な関係をつくる気づきが得られた」「三方よしの価値提供のための気づきが得られた」に関しては、OSTのテーマ選びに依存するところで、一人ひとりに機会の差が出ていたのではないかと見ています。
合宿を経て、これから取り組みたいこと
合宿の学び気づきを経て、これから取り組んでいきたいこと。
1. OSTのような「みんなでDMTをつくる」活動を通して、継続的にDMTの価値を探究し続ける
対話によって相互理解と信頼関係がつくられる。チームづくりの核には対話があると思うので、継続的な対話を通して、みんなでDMTをつくっていきたい。DMTとして、みんなと協力すれば可能となることを具体化していくことで、DMTの価値を具体的にしていきたい。 合宿を経て、各プロジェクトで起きていることへの対策として、チームの組み方を改めるものなど動き出しています。もっとこういった施策を進めやすくしていきたい。
2. もっと助け合えるように、もっとDMTの活動に関わりやすくなるように
関わるプロジェクトの状況、仕事への慣れ、相互理解、信頼関係、リモートのコミュニケーションの取りづらさなど。様々な要素が絡み合うことで、助け合いを阻み、DMTの活動にも関わりづらさが出ているように思います。各プロジェクトの中で、何が起きているのか?どうなるともっと助け合えるようになるか?どうなるともっとDMTの活動に関わりやすくなるか? DMTメンバーやDMTの健全性をどう高めていくか?は、重要なテーマなのでDMT内でも注力して取り組みを進めることを考えています。
所感
合宿後に感慨深いものを感じながら、合宿のSlackチャンネルに書き込んだメッセージ。
合宿と並行して読んでいた『対立の炎にとどまる』。
対立というものは立ち位置の違いや、信念や価値観の衝突から起きていることで、そのエネルギーを味わうことでより良い場がつくれるのでは。
加えて読んでいた『共に変容するファシリテーション』。
少数で企画を進める垂直ファシリテーションの後に、企画を一度手放して、みんなで対話する水平ファシリテーションを進めることで、場が進んでいく。
対立から学ぶこと、手放すことで進めることを、実践を通して学ぶいい機会となりました。
ご一緒してくれたみんなに感謝!
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