【2026 年版】EC2 インスタンスタイプの名前の読み方と比較の観点を整理してみた

【2026 年版】EC2 インスタンスタイプの名前の読み方と比較の観点を整理してみた

EC2のインスタンスタイプは1000件以上もある中から選ぶ必要があります。この記事では、インスタンスタイプ名の読み方から比較のポイント、実践的なヒアリング項目まで、選定時の迷いを解消するための知識をまとめました。
2026.10.26

こんにちは、クラスメソッドオペレーションズの目取眞です。

現在、テクニカルサポートチームの OJT でチケット対応の練習をしています。その中で「Amazon EC2 のインスタンスタイプのおすすめを教えてほしい」という問い合わせがあり、一見シンプルな質問ですが、いざ回答を考えると「何を基準に比較すればよいのか」と、意外とややこしいと感じました。

EC2 コンソールのインスタンスタイプ一覧を開くと、2026 年 10 月時点で 1000 件以上が表示されます。この中から選ぶ手がかりとして、今回、インスタンスタイプ名の読み方と比較の観点を学び直し、ブログにまとめることにしました。

インスタンスタイプ名の読み方

インスタンスタイプ名は、ピリオドの前のインスタンスファミリーと、後ろのインスタンスサイズで構成されています。たとえば c8in.large では、c8in がインスタンスファミリー、large がインスタンスサイズです。インスタンスファミリーは、さらにシリーズ、世代、オプションに分かれます。サイズによって、vCPU 数やメモリ容量などが異なります。

インスタンスタイプ名の構成

シリーズ

主なシリーズは次のとおりです。

文字 意味
M 汎用
T バースト可能パフォーマンス
C コンピューティング最適化
R メモリ最適化
X メモリ集約型
I ストレージ最適化
D 高密度ストレージ
P GPU アクセラレーション
G グラフィックを多用

オプション

オプションには、プロセッサの種類を表す文字と、機能を表す文字があります。m8idb のように、複数付くこともあります。

プロセッサの種類を表す文字

文字 意味
a AMD プロセッサ
g AWS Graviton プロセッサ
i Intel プロセッサ

機能を表す文字

文字 意味
b ブロックストレージ最適化
d インスタンスストアボリューム
n ネットワークと Amazon EBS の最適化

ここで紹介した以外の文字もあります。すべての一覧は、公式ドキュメントの Amazon EC2 インスタンスタイプの命名規則で確認してください。

比較する時の観点

1. ワークロードの特性

CPU、メモリ、ディスク I/O、ネットワークのうち、どのリソースへの負荷が大きいワークロードなのかを、最初に確認します。これによって、選ぶシリーズが変わります。

2. vCPU とメモリの比率

1 vCPU あたりのメモリ量は、シリーズごとにおおよそ決まっています。

シリーズ vCPU : メモリ(GiB)の目安
C 系 1 : 2
M 系 1 : 4
R 系 1 : 8

「CPU は足りているがメモリが足りない」場合は、サイズを上げるより R 系へ変更したほうが効率的なことがあります。

3. プロセッサの種類

Intel と AMD は x86_64、Graviton は Arm64 です。Graviton は高いコストパフォーマンスを提供するよう設計されたプロセッサですが、AMI やアプリケーションが Arm64 に対応している必要があります。

4. T 系(バースト可能パフォーマンス)かどうか

T 系は、ベースライン性能を超えて使う場合に CPU クレジットを消費します。スタンダードモードでは、蓄積したクレジットがなくなると、CPU 使用率が徐々にベースラインまで下がります。Unlimited モードでは、クレジットがなくなっても余剰クレジットを使ってバーストできますが、使用状況によって追加料金が発生します。常に高負荷がかかるワークロードでは、M 系や C 系のほうが向いていることがあります。

5. ネットワーク帯域と EBS 帯域

ネットワーク帯域は、インスタンスが 1 秒間に通信できる量の上限で、インスタンスタイプごとに異なります。大きなファイルを大量に配信するような、通信量の多い用途で重要になります。「Up to 5 Gigabit」のように Up to と表記されている場合は、最大の帯域を示しており、常時その帯域が出るわけではありません。継続的に通信量が多い用途では、ベースラインの帯域も確認します。

また、EBS はインスタンスに接続して使うディスクです。ボリューム自体の性能とは別に、インスタンスタイプ側にも、EBS との間で 1 秒あたりに読み書きできる量(EBS 帯域)や回数(IOPS)の上限があります。データベースやログを大量に書き込むシステムのように、ディスクの読み書きが多い用途で重要になります。ボリュームのスペックを上げても、インスタンス側の上限がボトルネックになることがあります。

6. 世代とリージョン

2026 年 10 月時点では、汎用タイプだけでも第 8 世代として M8a、M8g、M8i があり、第 9 世代の M9g も 2026 年 6 月に一般提供が始まりました。AWS は、新しい世代ほど性能や価格性能比が向上していると案内しています。たとえば M9g は、前世代の M8g と比べて、コンピュート性能が最大 25% 高いとされています。ただし、効果はワークロードによって異なります。

世代の数字は、同じシリーズで、同じ種類のプロセッサの中で新旧を比べる目安です。プロセッサが違う場合は、数字だけで性能の優劣を判断できません。

7. 料金

料金は、リージョンや OS、購入オプションなどによって変わります。比較する時は、条件を揃える必要があります。

インスタンスタイプ選択アシスタントで候補を絞る

比較の観点が分かっても、1000 件以上ある中から候補を絞るのは大変です。そんな時は、EC2 コンソールの「インスタンスタイプ選択アシスタント」が使えます。ワークロードの条件を選ぶだけで、推奨のインスタンスファミリーを教えてくれます。

手順

  1. 左メニューの「インスタンスタイプ」を開き、右上の「インスタンスタイプ選択アシスタント」をクリックします。

    インスタンスタイプ一覧とアシスタントのボタン

  2. ワークロードタイプ、ユースケース、優先度、CPU メーカーを選びます。「高度なパラメータ」で、さらに条件を追加することもできます。今回は次のように選びました。

    • ワークロードタイプ: ウェブ/アプリケーションサーバー
    • ユースケース: Web Hosting
    • 優先度: 料金/パフォーマンス
    • CPU メーカー: 指定なし

    要件の入力画面

  3. 「インスタンスタイプに関するアドバイスを受ける」をクリックすると、推奨のインスタンスファミリーが表示されます。この条件では、M8g、C8g、C8gn、C7gd、M7gd が推奨されました。「追加情報」には、推奨の理由が表示されます。

    推奨結果の画面

使う時の注意

  • 結果は、選んだ条件によって変わります。上の例は、あくまでこの条件での一例です
  • 今回確認した画面では、「追加情報」は英語で表示されました
  • 最新世代が必ず推奨されるわけではありません。今回の例でも、一覧に表示されている m9g は推奨に含まれていませんでした
  • あくまで候補を絞るためのものなので、最終的には、この記事で紹介した観点やリージョンでの提供状況を自分で確認してください

実際の使用状況から見直したい場合は、稼働中のインスタンスを対象に推奨を出す AWS Compute Optimizer も使えます。利用には、対象アカウントのオプトインが必要です。

「おすすめを教えて」と聞かれた時のヒアリング項目

OJT のチケットを通して感じたのは、ヒアリングなしに「このタイプがおすすめです」とは言いにくいということです。最低限、次の項目を確認したいと思いました。

  • 用途(Web サーバー、バッチ処理、データベースなど)
  • 現在の構成と、CPU やメモリなどの使用状況
  • OS とアーキテクチャの制約(Arm64 に対応できるか)
  • 利用するリージョン

用途によっては、次の項目も確認します。

  • 通信量の多さ(大きなファイルの配信や、大量のデータ転送があるか)
  • ディスクへの読み書きの多さ(データベースやログ出力が多いか)
  • 予算や購入オプションの希望

なお、公式ドキュメントでは、実際にインスタンスを起動して自分たちのアプリケーションでベンチマークを取ることが推奨されています。スペック表やツールの結果は候補を絞り込むために使い、最後は実際のワークロードで検証するのが確実です。

おわりに

選択肢が 1000 件以上ある今だからこそ、名前の読み方で候補を絞り、vCPU やメモリだけでなく、プロセッサの種類、世代とリージョンの対応状況、ネットワーク、EBS 性能、料金など複数の観点で考えることが大切だと感じました。

サポートの立場では、お客様の用途や制約を丁寧にヒアリングし、観点を整理して選択肢を示すことが大切だと思います。この記事が、インスタンスタイプ選定で迷った時の参考になればうれしいです。

参考資料

クラスメソッドオペレーションズ株式会社について

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