[レポート] 宣伝会議サミット2016「BtoB企業のマーケティングオートメーションで実現するユーザーとの関係構築」
KONです。宣伝会議サミット2016に参加してきました。本ブログでは、freee株式会社 マーケティング本部長 伊佐 裕也さんのセッション「BtoB企業のマーケティングオートメーションで実現するユーザーとの関係構築」についてまとめました。
今日のテーマ
「マーケティングっておもしろい!」ということをぜひ伝えたい。
freee株式会社について
- お客様のビジネスの開始、運営、成長をサポートする会社。バックオフィスは我々に任せて、お客様には事業の成長に注力してほしいという思いがある
- 主要サービス
- 開業に必要な書類を自動生成できる開業支援サービス
- 会計知識がなくても使えるクラウド会計ソフト
- クラウド給与計算 など
- クラウドERPの実現を目指す
そもそもマーケティングとはなんだろう?
- 「顧客価値を生み出すための一連の制度やプロセス」
- プロセスや仕組みを作ることがマーケティングだが、プロセスはそう簡単には作れない
- だからこそマーケティングは面白い!
BtoBマーケティングのおもしろさ
- お金があればいいってわけじゃない
- テレビCMをドーンと打てばいいわけじゃない
- どんなお客様がいてどういうニーズを抱えているのかを考えて施策をうたねばならない
- ユーザとの関係構築
- BtoCとは異なり衝動買いはしない
- 予算をとって承認を得て・・・と、モノを買うプロセスが異なる
- 全員野球
- マーケティングメンバーだけじゃできないことは多い
- 営業や開発と連携し一丸となることで、お客様にサービスの価値を届けられる、そういう仕組みづくりをする必要がある
freeeの価値基準
freeeのマーケティングを説明する前に、企業としての価値基準を説明します。
- 本質的(マジ)で価値がある
- 売上ではなく、「ユーザ」にとって本質的に価値があることを追求
- 理想ドリブン
- 少しずつ改善ではなく、常に10倍を目指そう、そこに行きつくためには何をすべきかを考える
- 現状のリソースやスキルにとらわれず挑戦してみる
- アウトプット→思考
- まず、アウトプットする、そして考え改善する
- Hack everything
- 今まであるやり方の本質を見つめ直してみると、新しい使い方ができたりする
- 例えば、この「freeeの価値基準」を社内で広めるにはどうしたらいいか?誰もがいつも見る場所に張りだす→トイレの壁なんていいかも
- あえて、共有する
- オープンにフィードバックし合うことで一緒に成長する
- すべての社内の議事録、経営陣の議事録や売り上げなども全社員で共有、そこからフィードバックが生まれる
freeeの「マジ価値マーケティング」
freeeの価値基準をマーケティングにあてはめてみると・・・
- 本質的(マジ)で価値がある
- ユーザが欲しいと思ったタイミングで広告が出ている
- 理想ドリブン
- マーケはこうあるべきという制約を取り払い、新しいチャレンジに挑み続ける
- 例えば、税理士向けに雑誌を発刊したり、あえてDMを送ったりするなど
- アウトプット→思考
- オウンドメディアも、2年半前にとりあえず立ち上げてみてそこからPDCAを回し改善し続けてきたら、人気が出てきた
- とにかく、まずやってみることが大事
- Hack everything
- 手元にあるツールの性質を徹底的に理解し、使い倒し、それから新しい使い方を生み出す
- あえて、共有する
- 自分のアイデアや学びを共有する、フィードバックし合うことで、さらによくする
マーケティングオートメーション(MA)の必要性
- マジ価値マーケティングを実現するための大切なツールなのでとても重要!
- でも、あくまでもツールでしかない
- もっとも重要なのはマーケティングの基本「STP」(Segmentation、Targeting、Positioning)
- どんな潜在顧客が存在していて、どういう課題を抱えているのか、その課題に対してどういうソリューションを提案できるのか
- 例えば、今まで会計ソフトを全く使ったことがない人と、すでにソフトを使ったことある人では、伝えるメッセージは異なってくる
- MAは見込み顧客へのアプローチの仕組み化を可能にするツール
MAの活用
全体図
- まず、顧客の声を聞く
- デモグラフィックや、いつどんなタイミングでコンテンツを見ているかといった顧客の行動を把握する
- メールクリック履歴、WEBサイトログ、コール結果、Salesforceのデータベースなど
- つぎに、顧客が必要としている情報を届ける
- ターゲティングして、適切なユーザに適切なコンテンツを届ける
- ターゲティングした結果、100種類以上のメールを送っている
- メールやWEBサイト、ランディングサイト、WEB広告など
- MAを通じてお客様のことを考える
- セールスとマーケティングが同じゴール意識を持ってPDCAを回す
活用例
法人に対するマーケティングの例。とあるお客様がWEBサイトから資料ダウンロードしたと仮定すると・・・
- どんな役職か?
- 新規顧客か?既存顧客か?
- ダウンロードしたコンテンツの種類は?会計ノウハウ?デモ動画?サービス資料?
- サービスの種類は?会計?人事?
といった情報が獲得できるので、各属性にマッチしたコンテンツを提供してゆく。
スコアリングについて
- スコアリングは目に見えたリードの判断ができるし、優先順位付けもできるので便利ではある
- でも、スコアリングは必ずしも本質ではない、あくまで行動のログ
- 重要なのは個別にカスタマイズされたコニュミケーションを徹底すること
- スコアリングは常に修正されるべき
- 例えばリードが少ない時はスコアリングの閾値を下げる、など
マーケティングとセールス連携の必須要素
- 共通のゴールを目指す
- アプローチが違うだけセールスもマーケも目的は同じ、お客様に価値を届けること
- コミュニケーション
- 理想の顧客像のイメージを擦り合せる
- セールスからユーザの現場の声を拾って、マーケティング施策に活かす
- チャレンジできる環境
- 議論して生まれたアイデアをスピード感持って検証!
最後に
- 成功の本当の秘訣は「人」
- 思いやビジョンに共感したメンバーじゃないとうまく進まない
- いろんなバックグラウンドをもったメンバーがいるからこそ、経験や常識を打ち破るチームが作られる
以上となります。
freeeの価値基準である「理想ドリブン」「アウトプット→思考」「あえて、共有する」というところは、クラスメソッドと全く同じ文化だなと感じましたし、価値を全社員で共有し、各部門にも浸透させている様子が伺えました。