英語から学んだ、伝わるテキストコミュニケーション方法

2024.01.05

はじめに

テキストコミュニケーションで、相手から望む返事が得られなかったり、依頼した3つのうち2つしか実行されなかったり、返事がまったくなかったりする経験はありませんか?

わたしは、これまでの経歴で海外の方と英語でコミュニケーションすることが多く、望む返事が得られないことはしばしばありました。

最初は、「返事がない…」「読み飛ばされている…」と心の中で相手を責めがちでした。しかし、言語の違いが原因なのではと考えるようになりました。

言語の違いを考える

日本語の場合

日本語では、文末まで読まないと結論がわからないことがよくあります。例えば、

  • 「家買いますか?買いませんか?」「わたしは家を買いまーーーせん!」

また、語順が決まっていないため、入れ替えても通じることがあります。

  • 彼女は仕事が終わった後で、いつものカフェに寄ってから、ゆっくりと家路につきます。
  • 仕事が終わった後で、彼女はいつものカフェに寄ってから、ゆっくりと家路につきます。

このような日本語の構造は、文章を最後まで読む習慣を日本語話者にもたらしているのではないでしょうか。

英語の場合

一方英語では、重要なことを先に述べることが一般的です。文法的にはS-V-O(主語-動詞-目的語)の順序が決まっており、主要な意味を持つ要素が文の初めに来ます。補足情報は後に続きます。

  • I will not buy a house.
  • I want to confirm how many apples you want to buy.

また、文章だけでなくパラグラフ内でも、主要なメッセージは最初に書かれます。

このような英語の構造に慣れている英語話者にとっては、日本語の語順は混乱を招く可能性があります。

改善した点

長文を読んだ結果「で、何して欲しいの?」となることはないでしょうか。 特に日本語では、時系列に沿って説明し、結論を最後に書く傾向にあります。

  • 〇〇が△△なので✕✕してください。
  • The client has sent us an updated file, so please change the work file.

振り返ると、英語で書く時も日本語と同じ感覚で、背景を先に書き、最後に依頼事項を書いてしまうことがありました。 そこで次のような工夫をしました。

1. 最初に、相手に求めるアクションを伝える

質問か、確認か、単なる情報共有かを明確にします。

  • I would like to confirm ....
  • Please let me know .....
  • Please note that ....

詳細や背景はその後に続ける方が伝わりやすいです。

  • Please change the work file. The client sent us an updated file.

2. 複数の質問や依頼を番号付きリストにする

複数のアクションを求める場合、2つは回答してくれたけど、残り1つは回答が得られないといったことはないでしょうか?

相手が注意深く読んでくれることを期待するだけでなく、読みやすく、漏れが無いように工夫をすることでお互い気持ちのよいやり取りができます。

例えば、

I would like to change the delivery date and the work file.
Please kindly let me know if the requests below are possible or not.

  1. Please change the delivery date from 5 Jan to 4 Jan.
  2. The rate can be changed from $10 to $12 if you can shorten the delivery date.
  3. Please swap the file from A to B.

3. 欲しい情報を穴埋め式テンプレートで求める

複数の情報が必要な場合、穴埋め式テンプレートを用意することで、相手に分かりやすく、必要な情報を漏れなく得られます。

I would like to confirm the fastest delivery date and the best rate for Plan A and B.
Please fill in the blanks below.

<Plan A>
 1. The fastest delivery date: ______
 2. The best rate: ______

<PlanB>
 3. The fastest delivery date: ______
 4. The best rate: ______

日本語への応用

英語は論理的で簡潔な言語とされていますが、これらのコミュニケーション方法を日本語にも応用することで、より簡潔に伝えられると感じています。

例えば、以下のような日本語の依頼文があります。

お客様より、現在利用しているプランAからプランBに変更したいと連絡がありました。 今月末より変更したいとのことですが、通常は1カ月前の申込み締め切りとなっています。 今月末で変更することは可能でしょうか。 また、料金も5%割引を希望されています。対応可否についてご確認をお願いたします。

これを修正すると、

【確認依頼】プラン変更及び料金割引の可否について確認をお願いします。

  1. プラン変更:プランAからプランBに変更
  2. 希望変更日:今月末(通常の申込締切は1ヶ月前)
  3. 希望割引率:5%割引

より伝わりやすくなったのではないでしょうか。

おわりに

英語でも日本語でも、テキストコミュニケーションが上手くいかないと悩んでいる方にとって、この記事がヒントになれば幸いです。