「ハードワークは人を成長させるのか?」を細分化する

「ハードワークは人を成長させるのか?」を細分化する

Clock Icon2022.02.11

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

こんにちわ。従業員体験( EX ) の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
ハードワークが人を成長させるので若いうちはハードワークを経験するべき」そんな意見を定期的に見かけます。
成長は従業員体験においても重要な要素です。ハードワークの経験が豊富な私はその説に疑問を持っています。そして私は細分化マニアです。その内訳について細分化し、整理するのは必然といえそうです。

仕事における成長とは?

前提として仕事における成長とは何かを考えましょう。大きな意味では「できなかったことができるようになること」が成長だとします。
では、「できなかったことができるようになること」をさらに2つに分解しましょう。
その対象はなにか?
  1. ソフトスキル
  2. ハードスキル
です。
ハードスキルはプログラミングや建築など特定の専門領域に関わるスキルで、計測や定義がしやすく、訓練で身につくようなものです。ソフトスキルはコミュニケーションスキルやリーダーシップスキルなど対人関係に関わるスキルで、計測や定義が難しいようなものです。これらのうち、できなかったものができるようになれば「成長」とみなすことにします。
逆に言うと、「知らなかっことを知った」だけの段階は含まないことにします。例えば、読書家で知識はとても豊富にあるが、実践したことがなく、実際にやってみるとできない状態です。
業務上の成長は実際に手を動かして「できている状態」をゴールとします。
よくきく
  1. 知らない
  2. 知る
  3. やってみる
  4. わかる
  5. できる
の段階でいう最後の「できる」ですね。

成長をもたらすものはなにか?

では、成長をもたらすものはなにでしょうか?
物事ができるようになるために必要なのは、前提となる知識の獲得と練習の場もしくは実践の場における訓練です。そして、スキルは練習の場だけで身につきやすいものもあれば、実践を経験しないと身に着けにくいものもあります。訓練というと苦行っぽさがにじみますが、意味するところは試行錯誤なのだと思います。試行錯誤だとちょっと楽しそう。
例えば、プログラミングに関わるスキルの中には個人で身につけることが可能な物が多くあります。  逆にマネジメントに関わるスキルを業務を通さずに身につけることは難しいでしょう。

ハードワークは人を成長させるのか?

ようやく本題です。ハードワークには多様な解釈があります。大枠では「きつい仕事」「困難な仕事」ということになりますが、そのきつさ、困難さに関して各自が前提においているものはきっと異なります。
各自が思い描くのは、おそらく以下の要素のいくつかの組み合わせなのではないかと思います。
  • 難易度が高い業務を担当している
  • 精神的な負荷が高い業務を担当している
  • 稼働時間が長い業務を担当している
  • 多数の業務を兼任している
個別の要素を見てみましょう。

難易度が高い業務を担当している

これは、担当前の自分では解決が難しいような難題を担当するということなのでできることが増えそうです。
一方で、過剰に難易度が高いとストレッチを通り越してパニックに陥るため、諸刃の剣です。

精神的な負荷が高い業務を担当している

こちらは単にしんどいだけ、ということになりそうです。耐えきったときにタフさという面での成長はあるかもしれませんが、直接的に職務を遂行する能力自体は成長しなさそうです。

稼働時間が長い業務を担当している

稼働時間が長い事自体は成長につながるかどうかとは無関係です。そのうち、どの程度成長につながる業務が含まれているかが鍵になります。
また、稼働時間が伸びると余暇で趣味の学習をできる時間が減ったり、そもそものパフォーマンスが低下するという意味ではマイナス面の影響が大きくなります。

多数の業務を兼任している

担当したことのない業務が含まれていればできることが増えるので成長につながることになりそうです。一方で、人は並列で物事を考えるのが苦手なため、スイッチングコストがかさみます。結果として個別の領域で得られたはずの深みが得にくくなるかもしれません。一長一短。

各自の頭の中のパターン

各自がハードワークと成長に関して考えるケースを3例ほど挙げてみます。

A. ポジティブ 真実ケース

この考えをしている人が想定しているハードワークは
  • 難易度が高い業務を担当している
という状況に対して
  • 新しくできることがどんどん増える
と考えるケースです。
成長につながりやすい仕事を多くしているので、パニックに陥らない程度の程よい難易度であれば実際に成長につながります。

B. ポジティブ バイアスケース

この考えをしている人が想定しているハードワークは例えば
  • 精神的な負荷が高い業務を担当している
  • 稼働時間が長い業務を担当している
  • 特に新しくできることが増えるような業務はしていない
という状況に対して
  • ハードに働いたのだから、それが今の自分につながっているはずだ
と考えるケースです。バイアスから、自分の成長要因をハードワークに結びつけているケースです。実際はハードワークとは関係のない要素で成長したのかもしれません。

C. ネガティブ 真実ケース

この考えをしている人が想定しているハードワークは例えば
  • 特に新しくできることが増えるわけではない業務のみを長時間担当している
  • 特に新しくできることとは関係のない精神的な圧力を多大に受けている
という状況に対して
  • つらいだけで成長につながらない
と考えるケースです。

まとめ

ハードワークと成長との関係について意見がぶつかりがちなのは
(A or B)vs C
じゃないかな、と思います。

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.