FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年2月

FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年2月

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近年、クラウドコストに関する課題が注目を集めています。私自身も注目してキャッチアップしているテーマです。そんな中で、同じ関心ごとをお持ちの方のお役に立てればと思い、個人的に気になった記事をシェアしています。

早速、2025年2月頃に見かけた記事を紹介していきます。

【メンバーズ新機能】 メンバーズ組織CURで複数AWSアカウントのコスト分析を簡単に!Athenaによる実践ガイド

https://dev.classmethod.jp/articles/members-org-cur-cost-analysis/

今年1月から2月の間で、クラスメソッドが提供する AWS総合支援 クラスメソッドメンバーズ に対応した CUR に複数のアップデートがありました。Parquet 形式への対応やメンバーズ組織に対応したメンバーズ組織 CUR の出力機能がリリースされています。よりお客様のニーズに合った単位や形式での出力とそれによって AWS ネイティブのサービスでの分析が容易に行えるようになっています。

State Of FinOps 2025 Report

(FinOps の現状 2025年レポート)

https://data.finops.org/

FinOps Foundation による年次レポートが公開されています。調査対象がグローバルのため、国内の現状と異なる面も感じますが、遠くないうちにやってくる内容も含まれているではないかと思います。個人的に気になったのは下記の3点です。

  1. パブリッククラウド以外への FinOps スコープの広がり(レポート内では「Cloud+」と表現)
  2. AI に対する投資や支出管理への関心や取り組みの高まり
  3. 大規模なガバナンスとポリシーの実装が最優先事項

この辺りも意識しながら、紹介していければと思います。

Datadogとクラウドの費用を見直し、60%以上費用を削減した話

https://tech.jxpress.net/entry/2025/02/03/150719

株式会社JX通信社さんにおけるモニタリング SaaS である Datadog 利用費の可視化と各クラウドとのデータ連携の対象や方式の変更による最適化の取り組みが紹介されています。
対象がパブリッククラウドから SaaS に置き換わっても可視化から最適化へのアプローチは同様に大切なことを改めて認識できます。

また AWS re:Post でも AWS と Datadog の連携に関する記事が掲載されていました。

パブリッククラウドと密接な関係にある SaaS はもちろん、それ以外の SaaS に関しても現在の利用を把握して、それが適切かを確認する流れは、今後も広まりそうですね。

A Practical Framework for (Gen)AI Value Measurement

( Gen AI 価値測定のための実践的なフレームワーク)

https://medium.com/google-cloud/a-practical-framework-for-gen-ai-value-measurement-5fccf3b66c43

日々、生成 AI を利用したサービスや業務での利用を見聞きする中で、その価値を測定するためのフレームワークが紹介されています。生成 AI 自体の価値や可能性は私も疑う余地もないと思いますが、とはいえ他の新しい技術と同様に支出に対して、十分な効果・価値が得られているのかという評価は生成 AI においても行う必要があるかと思います。そういった際に参考となりそうな記事です。

Monitor and optimize your Amazon Bedrock usage with Amazon Athena and Amazon QuickSight

(Amazon Athena と Amazon QuickSight を使用して Amazon Bedrock の使用状況を監視および最適化する)

https://aws.amazon.com/jp/blogs/business-intelligence/monitor-and-optimize-your-amazon-bedrock-usage-with-amazon-athena-and-amazon-quicksight/

S3 に出力された Bedrock のログから Athena と QuickSight を利用して各モデルの利用状況や利用費を可視化する方法が紹介されています。生成 AI の利用状況を可視化することは、先ほどの価値を評価する際の指標にもなるかと思います。

スクリーンショット 2025-02-28 16.16.01

QuickSight を利用した AWS リソースの可視化では、削除された RDS インスタンスまたはクラスターに参照されなくなったスナップショットを可視化するソリューションも別記事で紹介されていました。この辺りは単一のソリューションとして Cloud Intelligence Dashboards に取り込まれていくと嬉しいですね。

AWS Config を使用したコスト最適化ガバナンスの自動化

https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/automating-cost-optimization-governance-with-aws-config/

組織内でベースラインとなる共通の内容を AWS Config 適合パック(Conformance Packs)とアグリゲータ機能を利用して、組織への実装と状況を管理するソリューションの紹介記事です。例えば、担当部門にコスト最適化のプラクティスに沿った変更を依頼した後に、対応状況が把握できない。または新しいチームやアカウントへの適用がお互いに負担となっているなどのケースで良さそうだなと思いました。
(早速試してみようと思いましたが... 環境の問題かもしれませんが CloudFormation で展開する際にエラーとなってしまいました... 改めて調査してみようかなと思います...)

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Everything is better as code: Using FinOps to manage cloud costs

(すべてはコードとしてより良いもの: FinOps を使用してクラウド コストを管理する)

https://www.mckinsey.com/capabilities/mckinsey-digital/our-insights/everything-is-better-as-code-using-finops-to-manage-cloud-costs

インフラストラクチャ(IaC)やセキュリティ(PaC)のようにコストもコードとして管理・実装する FinOps as Code(FaC)と言われる方法に関して、予防的なアプローチやガードレールの実装やメリットが紹介されています。既存の SDLC への影響や生産性を下げずにソフトウェアエンジニアチームと協力する方法として、最適な手段の一つなのではないかと思います。

FinOps is Stuck — Cloud Waste is Out of Control; But There’s a Fix

(FinOps は行き詰まり、クラウドの無駄は制御不能に。しかし解決策はある)

https://medium.com/@dpwilliams03/finops-is-stuck-cloud-waste-is-out-of-control-but-theres-a-fix-c28e1155b86c

こちらも現在の事後対応から、より予防的なシフトレフトのアプローチの重要性と市場で提供されている FinOps サービスのギャップが解説されています。

現状では監視や通知、定期チェックなどのリアクティブな対応が多い中で、セキュリティインシデントと同じようにそもそも不要なコストも発生しない方が良いため、現状の発見的な取り組みに加えて、このような予防的な取り組みが必要という考え方は、個人的にはとても共感できます。

[アップデート] Amazon GuardDuty の Malware Protection for S3 のスキャンしたデータ量に発生するコストが最大 85 %削減されました

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-guardduty-malware-protection-s3-price-reduction-2025/

最大 85% 削減すごいですね!
こういった(何も変更しないでも)価格が下がるのはとてもありがたいですね。パブリッククラウドの利用メリットの一つでもあるかなと思います。

今月も弊社のメンバーがコストに関するナレッジやアップデートを記事にしてくれています。

AWSにおけるコスト最適化の取り組み

https://tech.bm-sms.co.jp/entry/2025/02/18/110000

株式会社エス・エム・エスさんの全社SRE で実施されているコスト最適化の取り組みが紹介されています。横串で管理するチームと事業やサービスチームに分かれている体制下におけるコスト最適化の取り組みでの課題感を見聞きすることはよくあります。そのような課題を考慮されながら取り組まれていて、同じ課題感を持つ方には参考になるではないかと思います。

Automating custom rates at scale: an Amazon case study with AWS Billing Conductor

(大規模なカスタム料金の自動化: AWS Billing Conductor を使用した Amazon のケーススタディ)

https://aws.amazon.com/blogs/aws-cloud-financial-management/automating-custom-rates-at-scale-an-amazon-case-study-with-aws-billing-conductor/

企業内で集中的に AWS 利用費を支払い・管理する部門から実利用部門へ独自の料金モデルでのチャージバック(≒ 社内版リセール)を支援する機能である AWS Billing Conductor に関して Amazon 内での料金モデルの取り込みの仕組みの紹介記事です。

AWS Billing Conductor は数年前にリリースされてから対応範囲も拡張されてきている AWS サービスなのですが、実際に利用されている企業の情報を知る機会がなかったので Amazon 社内で利用されているのは少し驚きました。

https://docs.aws.amazon.com/billingconductor/latest/userguide/service-integrations-support-proforma.html

RDS RIのリソースレベル適用状況をCUR2.0から把握する by DuckDB

https://dev.classmethod.jp/articles/get-rds-ri-resource-level-status-by-cur-and-duckdb/

DuckDB は最近気になっているサービスの一つです。
CUR でデータを分析するといえば、まずは Athena が思い浮かびますが、もっと手軽で利用費も気にせず試行錯誤ができそうで、とても良さそうですね!

https://duckdb.org/

How can I optimize AWS WAF Bot Control for cost-effectiveness?

(コスト効率を高めるために AWS WAF Bot Control を最適化するにはどうすればよいですか?)

https://travisfelder.medium.com/how-can-i-optimize-aws-waf-bot-control-for-cost-effectiveness-07908bef7c83

昨今の事情からセキュリティ対策として AWS WAF Bot Control を導入したけれど、思ったより利用費がかかっているという方にお薦めしたい記事です。記事自体はシンプルな内容ですが、リンク先は AWS ドキュメントやブログとなっているので、最初のチェックリストとして活用できそうです。

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