FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年8月

FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年8月

2025.09.11

近年、クラウドコストに関する課題が注目を集めています。私自身も注目し、情報収集を行なっているテーマです。そんな中で、同じ関心ごとをお持ちの方のお役に立てればと思い、個人的に気になった記事をシェアしています。

アップデート

Amazon Neptune Analytics now introduces stop/start capability

(Amazon Neptune Analytics に停止/開始機能が導入されました)

https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2025/08/amazon-neptune-stop-start-capability/

関連記事:

AWS Billing and Cost Management コンソールに新しい推奨アクションが追加

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2025/08/aws-billing-cost-management-console-recommended-actions/

[アップデート] FSx for NetApp ONTAP 第二世代の SSD が減らせるようになりました。

https://dev.classmethod.jp/articles/fsxn-ssd-decrease/

[アップデート] AWS Batch で Graviton ベースの Fargate Spot がサポートされました

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-batch-fargate-spot-arm-architecture-support-update/

[アップデート] AWS Batch コンピューティング環境で許可されたインスタンスタイプに default_arm64 / default_x86_64 が指定できるようになりました

https://dev.classmethod.jp/articles/batch-default-instance-types/

AWS Billing and Cost Management MCP サーバーの発表

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2025/08/aws-billing-cost-management-mcp-server/

請求ビュー(Billing View)を利用した AWS Budgets の設定が可能になりました

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-budgets-support-billing-view/

Amazon Redshift Serverless at 4 RPUs: High-value analytics at low cost

(4 RPU の Amazon Redshift Serverless: 低コストで価値の高い分析を実現)

https://aws.amazon.com/blogs/big-data/amazon-redshift-serverless-at-4-rpus-high-value-analytics-at-low-cost/

AWS Deadline Cloud がコスト削減のための新しいコンピューティングオプションを導入

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2025/08/aws-deadline-cloud-cost-saving-compute/

Optimize costs with tiered pricing in AWS Elemental MediaConvert

(AWS Elemental MediaConvert の段階的な価格設定でコストを最適化)

https://aws.amazon.com/blogs/media/optimize-costs-with-tiered-pricing-in-aws-elemental-mediaconvert/

Optimize your cloud costs using Cloud Hub Optimization and Cost Explorer

(Cloud Hub Optimization と Cost Explorer を使用してクラウドコストを最適化します)

https://cloud.google.com/blog/products/management-tools/announcing-cloud-hub-optimization-and-cost-explorer-for-developers?hl=en

トピック

今月、取り上げるトピックは「Amazon Q in QuickSight」と「データクラウド」になります。

1つ目の「Amazon Q in QuickSight」は最近、社内での検証や勉強会が実施されているQuickSight の機能の1つです。コスト削減や最適化に直接影響があるものではありませんが、データの可視化において非常に有効です。

弊社が提供するメンバーズ CUR を利用した Q in QuickSight について検証した記事が複数公開されていますので、ご興味のある方は是非ご確認ください。

メンバーズ CUR を Q in QuickSight で利用するためのデータセット作成方法

https://dev.classmethod.jp/articles/members-cur-dataset-for-quicksight-q/

メンバーズ CUR に対して Amazon Q in QuickSight の主要な機能が使えるのか試してみた

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-q-quicksight-members-cur-features-testing/

Amazon Q in QuickSight からメンバーズ CUR に対して使えそうなトピックへのQ&Aを考えてみた

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-q-in-quicksight-mcur-qa/

2つ目の「データクラウド」は BigQuery、Amazon Redshift、Microsoft Fabric、Snowflake、Databricks をはじめとしたデータプラットフォームのことを指しています。

FinOps Foundation では、このデータクラウドは既存のクラウドサービスとの課金体系の異なりやその特性からコスト把握の難しさからスコープとして独立させた形で FinOps フレームワークの各機能が紹介されています。その他にも、よく見るサイトでデータクラウドをテーマにした記事を見かけることが増えていて、また先日 Databricks が FOCUS に対応しており、今後この領域において FinOps の広がりが進んでいくのかもしれないと個人的に感じています。

Context for Building a FinOps Scope for Data Clouds

(データクラウド向け FinOps スコープ構築の背景)

https://www.finops.org/wg/finops-data-cloud-scope/

Databricks FinOps at Scale — Best Practices for cost-efficient Growth on Databricks

(Databricks FinOpsの大規模展開 - Databricksでコスト効率の高い成長を実現するためのベストプラクティス)

https://medium.com/@shanmugavel.chandrakasu/databricks-finops-at-scale-452710a1783a

FinOps for AWS: A Practical Guide

(AWS 向け FinOps: 実践ガイド)

https://medium.com/@midhundas/finops-for-aws-a-practical-guide-5bbe0e3e43a1

ナレッジ

JAWS-UG 名古屋 8月会② 〜AWSのコスト削減・最適化LT大会〜

https://jawsug-nagoya.connpass.com/event/364596/presentation/

8月29日に開催されたコスト削減・最適化をテーマにした JAWS-UG 名古屋のイベントです。
(参加したかったのですが諸事情にて断念しました)

LT 資料が既に公開されているので、気になる方はご確認ください。

Amazon Macie のコスト削減方法を教えてください

https://dev.classmethod.jp/articles/tsnote-macie-s3-cost-of-discovering-sensitive-data/

スキャン対象を精査する(利用量:Usage)ことで、コスト削減を実現することが可能です。

Best practices for analyzing AWS Config recording frequencies

(AWS Config の記録頻度を分析するためのベストプラクティス)

https://aws.amazon.com/blogs/mt/best-practices-for-analyzing-aws-config-recording-frequencies/

AWS Config では記録頻度のオプションが2つ提供されています。ワークロードの特徴に合わせて記録頻度を選択することで、コスト最適化が行えます。ユースケースも含めて紹介されているため、自分のワークロードで検討する際の参考となりそうです。

Aurora I/O-OptimizedでのRI購入についてまとめ

https://dev.classmethod.jp/articles/2025-08-12-aurora-io-optimized-ri/

ストレージタイプが I/O-Optimized のインスタンスに対して RI を購入する際は Standard に加えて30%分の追加購入をすることで最大限のコスト最適化ができるという点について、丁寧に解説されている記事です。

AWS Systems Manager 統合コンソール有効化後の想定外のAWS Configコスト増に対する対応

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-systems-manager-aws-config/

特定の条件下でのコスト増加に関して、確認の方法と対策まで紹介されている記事です。新しく Systems Manager 統合コンソールを利用する際には留意したい点です。

半日しか稼働しない EC2 インスタンスの Savings Plans 購入額を試算して図示してみた

https://dev.classmethod.jp/articles/ec2-savings-plans-half-day-estimation-visualization/

SP と RI の大きな違いに時間単位でコミットする点があります。この部分について、図解やケースを用いながら、わかりやすく説明をされている記事です。

Getting Started With Multi-Cloud FinOps: Challenges and Best Practices

(マルチクラウド FinOps 入門: 課題とベストプラクティス)

https://www.prosperops.com/blog/multi-cloud-finops/

最近では、単一のクラウドサービスだけではなく複数(マルチ)のクラウド利用・管理するケースが増えています。マルチクラウドのコスト管理をする場合に、どのような点に注意すべきかが紹介されています。

大きく異なる点は少ないにせよ、細かい部分での違いは多く存在しており、その点に注意を払う必要があります。本格的にマルチクラウドが進むと、クラウドベンダーが提供するツールでの管理からサードパーティ製品の活用も検討する必要があると個人的には考えています。

The Keys to AWS Optimization Live Stream

(AWS 最適化の鍵ライブストリーム)

https://builder.aws.com/content/30rfUwnHkWxWfcBKnPVhoI3Sbee/the-keys-to-aws-optimization-live-stream

AWS OPTICS チームのメンバーによる YouTube シリーズの過去と今後のスケジュールがまとめられている記事です。

8月の中では、個人的に下記の2つが印象的でした。
1つ目はコスト最適化の機会を利用者に届けるための仕組みや工夫が話されていました。単純に項目と金額だけでは中々関心を持ってもらえない時などは参考にしたい内容です。
2つ目は昨年の冬に提供された新しい Pricing Calculator の紹介です。このツールは既存の利用料を取り込むことができるなど、以前のツールにはなかったユニークな機能があるため、活用していきたいツールです。

Rethinking Efficiency for Cloud-Native AI Workloads

(クラウドネイティブAIワークロードの効率性を再考する)

https://medium.com/@taniafedirko/rethinking-efficiency-for-cloud-native-ai-workloads-a901bd4dee8a

記事では AI ワークロードをベースに書かれていますが、他のワークロードにおいても同様のことが言えると思います。FinOps の本来の目指すところはコスト削減ではなく、より効率性を高めてビジネス価値を最大化することにあります。そのために最近では浸透しつつあるプラクティスからもう一歩踏み込んだ内容へアプローチが紹介されています。

Implementing usage and security reporting for Amazon ECR

(Amazon ECR の使用状況とセキュリティレポートの実装)

https://aws.amazon.com/blogs/containers/implementing-usage-and-security-reporting-for-amazon-ecr/

リポジトリとイメージレベルでの使用状況レポートを作成するソリューションが紹介されています。レポートから未使用なものや非常に多く利用されているものまで把握することが出来るため、コスト最適化の視点でも有効なソリューションとして紹介されています。

Audit AWS : Un impératif stratégique pour une transformation cloud réussieAWS

(監査:クラウド変革を成功させるための戦略的必須事項)

https://builder.aws.com/content/2uDBdAt2uYzdJMOVEcdYGFX3Xzy/audit-aws-un-imperatif-strategique-pour-une-transformation-cloud-reussie

記事の中で紹介されている「ブラックボックス監査」と「ホワイトボックス監査」という区分けが興味深かったです。前者は請求書などの利用費から見えるチェック、後者はワークロードのアーキテクチャや運用モデルを取り込んだ上で行うチェックと定義されています。

Reduce NAT Gateway costs by keeping S3 traffic on VPC Endpoints

(S3 トラフィックを VPC エンドポイント上に維持することで NAT ゲートウェイのコストを削減)

https://builder.aws.com/content/2tLzAfQE2XalFywBPleOjFZgVn2/reduce-nat-gateway-costs-by-keeping-s3-traffic-on-vpc-endpoints

新しく追加されたグローバル条件キーを利用して、VPC エンドポイント以外での通信を制限することで、よくある NAT Gateway 経由での通信を禁止する RCP が紹介されています。

関連記事:

GenAI FinOps: How Token Pricing Really Works

(GenAI FinOps: トークンの価格設定の実際の仕組み)

https://www.finops.org/wg/genai-finops-how-token-pricing-really-works/

FinOps Foundation のワーキンググループから公開されている生成 AI コスト管理の課題でもあるトークン課金に関する課題とアプローチが紹介されています。生成 AI におけるトークンでの課金は、既存のクラウドサービスと異なる管理の難しさがあります。生成 AI 利用が検証フェーズから実用化が進む中で、コストも適正に管理されることが求められる中で、参考となる情報の1つになるかと思います。

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