
FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年9月
近年、クラウドコストに関する課題が注目を集めています。私自身も注目し、情報収集を行なっているテーマです。そんな中で、同じ関心ごとをお持ちの方のお役に立てればと思い、個人的に気になった記事をシェアしています。
アップデート
請求とコスト管理でカスタムダッシュボードが作成できるようになりました
関連記事:
AWS adds the ability to centrally manage access to AWS Regions and AWS Local Zones
(AWSはAWSリージョンとAWSローカルゾーンへのアクセスを集中管理する機能を追加)
Amazon EC2 の AMI で使用状況レポートと参照リソースの確認機能が追加されました
Split Cost Allocation Data for Amazon EKS supports NVIDIA & AMD GPU, Trainium, and Inferentia-powered EC2 instances
(Amazon EKS の分割コスト配分データは、NVIDIA および AMD GPU、Trainium、Inferentia 搭載の EC2 インスタンスをサポートします)
関連記事:
[アップデート] AWS Budgetsで任意の期間でコストの使用状況を見れるようになりました!
Billing View now supports cost management data from multiple organizations
(Billing View は、複数の組織からのコスト管理データをサポートするようになりました)
Amazon RDS for Db2 がリザーブドインスタンスをサポートしました
AWS X-Ray introduces Adaptive Sampling for automatic optimized error detection
(AWS X-Ray は、自動的に最適化されたエラー検出を行うアダプティブサンプリングを導入しました)
Amazon Bedrock AgentCore Runtime, Browser, and Code Interpreter add support for VPC, AWS PrivateLink, CloudFormation, and tagging
(Amazon Bedrock AgentCore ランタイム、ブラウザ、コードインタープリターが VPC、AWS PrivateLink、CloudFormation、タグ付けのサポートを追加)
AWS Compute Optimizer now supports 99 new Amazon EC2 instance types
(AWS Compute Optimizer が 99 種類の新しい Amazon EC2 インスタンスタイプをサポートするようになりました)
Save more with expanded coverage for Compute Flex CUDs
(Compute Flex CUD の適用範囲が拡大し、さらに節約できます)
CFM Technical Implementation Playbooks(CFM TIPs)が日本語化されていました!
トピック
今月、取り上げるトピックは「MCP」です。FinOps の領域においても様々な MCP が提供されています。代表的なものでいえば8月にリリースされた 「AWS Billing and Cost Management MCP Server」 などがあります。他と同じく MCP を利用することで基盤モデルへ特定ドメインに関するコンテキストを補完することでより良い動作が期待できます。
Model Context Protocol (MCP): An AI for FinOps Use Case
(モデルコンテキストプロトコル(MCP):FinOpsユースケース向けAI)
FinOps の観点からの MCP 概要やユースケース、考慮事項が紹介されています。
考慮事項を理解した上で、色々なユースケースで取り入れたいですね。また末尾に著者の方が作成した FinOps 関連のMCPサーバーがまとめられた GitHub が紹介されています。
【登壇資料】 「生成AI×AWS コスト最適化のススメ」というタイトルでDevelopersIO 2025 Osakaに登壇しました #devio2025
こちらは、弊社メンバーが DevelopersIO 2025 Osaka で登壇した際の資料です。その中で「AWS Pricing MCP Server」と「AWS Billing and Cost Management MCP Server」に関する具体的な利用例や使いどころを紹介してくれています。
AWS Cost Optimization Unveiled: Expert Tips on Using MCPs Effectively
(AWS コスト最適化の公開: MCP を効果的に活用するための専門家のヒント)
こちら(詳細は下記動画)では AWS のスペシャリストの方々が MCP の紹介と解説をされています。その中で CFM Tips MCP Server という MCP も紹介されています。手元で試してみたのですが、色々と設定やスコープを変更してもタイムアウトしてしまい、私は断念しました。
関連動画:
Build a GCP Cost Agent with ADK and MCP Toolbox for Databases to Analyze Your Cloud Spending
(ADK と MCP Toolbox for Databases を使用して GCP コスト エージェントを構築し、クラウド支出を分析する)
こちらでは Google Cloud において MCP Toolbox for Databases を利用して請求データをエクスポートした BigQuery に自然言語で対話できるエージェントを構築する内容が紹介されています。
ナレッジ
Amazon S3 の月額コストを約30%削減したアプローチ
AWS ネイティブツールを活用してデータの棚卸しから削除まで、わかりやすく紹介されています。個人的には下記の部分について(時間がかかる部分への)共感と(並行して進捗を見せる部分が)参考になりました。
データの削除はステークホルダーとの調整で時間がかかることが多いため、「削減量は大きいが時間がかかるもの」と「削減量は小さいがすぐにできるもの」を並行して行うことでコスト削減が進んでいる様子を示せるようにバランスを取った
ここ一年のCCoEとしてのAWSコスト最適化を振り返る #devio2025
こちらも、弊社メンバーが DevelopersIO 2025 Osaka で登壇した際の資料です。実際の1年間の活動と具体的な内容が紹介されていて、とてもお薦めです。
Reduce your Amazon ElastiCache costs by up to 60% with Valkey and CUDOS
Amazon ElastiCache for Redis から Valkey へ変更することでコスト削減効果が見込まれます。その計画や効果測定に活用できる Cloud Intelligence Dashboards(CID)フレームワーク の CUDOS ダッシュボードが紹介されています。
Visualize and optimize your Amazon Connect costs with the Cost Insight Dashboard
(Cost Insight ダッシュボードで Amazon Connect のコストを視覚化して最適化します)
こちらも Cloud Intelligence Dashboards(CID)フレームワークの Amazon Connect Cost Insight Dashboard を利用したコストと使用状況の分析の可視化が紹介されています。
SRE視点から見るFinOps 信頼性を守るSREとコストを守るFinOps 交わる点はオブザーバビリティ
SRE と FinOps が「観測できなければ改善できない」という文化に基づいてオブザーバビリティが共通の土台であると紹介されています。親和性の高さや SRE チームの方が FinOps に取り組まれている事例をよくお見かけするのは、こういった背景もあるのかなと感じました。
クラウドの浪費に終止符を。New Relicで見つけるアプリケーションの無駄とコスト改善
New Relic を利用したインフラやアーキテクチャ、そしてアプリケーションレベルのコスト最適化へのアプローチが紹介されています。インフラ部分に留まらずアプリケーションまで取り組むことで、よりコスト効率のよいシステムを実現し、大きな成果が得られます。オブザーバビリティプラットフォームにコストと使用状況データが連携されることで、取り組んだ改善施策の効果が把握しやすくなりそうで良いですね。
AWS WAFのWeb ACL(保護パック)でCloudWatch Logsにログを出力している場合はコスト削減のためにも、運用負荷軽減のためにも新しいコンソールを使用する方が良いと感じた件
今日から実践したい TIPs です。新しいコンソールを使っていきましょう!
AWSにおけるコスト削減・リソースの最適化
基本となる考え方と具体的な内容を紹介されています。個人的に興味深ったのは、下記のユーザーの棚卸しです。AWS でユーザー単位での固定課金は珍しいのですが最近では増えてきました。そのため、利用しないユーザーは不要なコストとなるため、定期的な棚卸しが重要となります。使用状況の把握方法や棚卸しのフローを整備しておきたいですね。
ユーザの棚卸
Amazon Quick Sight、Amazon Q Developerでは使用するユーザ単位で料金が発生するため、ユーザの定期的な棚卸が必要です
Measuring Developer Productivity with Amazon Q Developer and Jellyfish
(Amazon Q Developer と Jellyfish を使った開発者の生産性測定)
この記事では Amazon Q Developer と Jellyfish を利用して単純な生成 AI 利用状況に留まらず、開発ライフサイクルにおける開発生産性やビジネス成果への影響を可視化や分析する方法が紹介されています。
既存のエンジニアリング指標を持つ Jellyfish へ Amazon Q Developer の情報を連携することで、生成AIにより本当に生産性向上の効果があったのか?傾向は?といったより深い状況確認やデータ駆動で今後どのようなアクションが必要かの判断を可能とするようです。生成 AI における ROI 評価が重視されていく中で、このようなソリューションが増えていきそうです。
AWS CloudTrail証跡は2つ目から課金されます
CloudTrail の証跡による課金は EC2 や RDS といった普段から注視されるサービスと異なり、考慮が漏れることがあります。課金の要因など、図解でわかりやすく紹介してくれています。
FinOps Cloud Cost Benchmarking: How To Measure and Improve
(FinOpsクラウドコストベンチマーク:測定と改善方法)
本記事では具体的なベンチマーク指標が紹介されています。もちろん具体的な数値はサービスを契約することで参照できるものだと推察されますが、見るべき指標の参考となります。また業界レポートも1つのソースとなります。代表的な業界レポートも紹介されているため、こちらも押さえておきたい情報です。
AWSのランニングコストを削減しよう! opswitchを使った定期停止・起動について
ご利用ありがとうございます!開発メンバーも喜んでいました。
AWSコスト見積もりエージェントを自作!Bedrock AgentCoreワークショップで学んだローカルからクラウドデプロイまで
関連記事:
先日開催された SeverlessDays Tokyo 2025 で行われたワークショップの記事となります。とても気になるので、どこかでチャレンジしたいです!
FinOps, Brick by Brick: Understanding Usage & Cost
(FinOps、一歩一歩:使用状況とコストを理解する)
FinOps はどの企業規模やフェーズにおいても重要ですが、その課題や重視されるポイントは異なります。この記事では FinOps の「使用状況とコストの理解」ドメインをテーマに、スタートアップ、スケールアップ企業、大企業、グローバル企業の4つのタイプに分けて、どう進めるが紹介されています。
SP/RI のコスト配分が学べる「Handling Savings Plan (SP) and Reserved Instance (RI) Chargeback, Showback, and Cost Allocation」ワークショップをやってみた
SP/RI に関するコスト配分は難しい課題の1つだと思います。そんな課題に対して、手を動かしながら理解を深めることができるワークショップです。個人的にとてもお薦めです。