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最初のAWSは、どのサービスだったのかを探る旅

ゲストブロガーの佐々木拓郎です。小ネタシリーズの第二弾として、始まりのAWSのサービスは何だったのかを探っていきましょう。誰でも知っているあのサービスではなく、意外なサービスが登場します。
2020.07.20

こんにちは、ゲストブロガーの佐々木拓郎(@dkfj)です。小ネタシリーズの第二弾として、最初のAWSサービスは何かというAWS考古学の話をしてみましょう。

目次

最初のAWSサービスは何?

企業の公式サービスなので、最初のサービスを探すのは別に難しくはないのではと思うのではないでしょうか。実は、定義によって色々変わるので、これが意外に難しいのです。そんな中で多くの人が思い浮かぶのがEC2かS3ではないでしょうか?まず、そこの前後関係を見てみましょう。

2006年3月 Amazon Simple Storage Service(S3)
2006年8月 Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)

実はEC2より先に、S3が出ています。ちょっと意外じゃないですか?ストレージだけあってどうするのと思いつつ、EC2よりS3の方が先に出ています。この当時の料金は1GBあたり月0.15USD、データの送受信に1GBあたり0.20USDでした。今だとAWSにデータを置きにいく時(IN)は通信料は無料ですが、その当時はIN/OUTどちらも通信料が必用でした。今だと、データ保存料も0.023USDなので一桁違う安さを実現していますね。その間、物価は30%くらい上がっていることを考えると、驚異的ですね。

AWS News Blog Amazon S3 : 14 MAR 2006

S3より前に公開されていたSQS

上記により最初のAWSのサービスは、S3かという話になります。しかし、実はそれより前に出ているサービスがあるのです。それがAmazon Simple Queue Service(SQS)です。SQSは、2004年11月に出ています。S3やEC2より2年も前に出ているのですね。SQSはメッセージキューイングサービスで、システム間を連携で利用します。SQSを上手く使うと疎結合で信頼性の高いシステムを構築できます。クラウドのアーキテクチャの肝の1つに、どれだけ個々のシステムの独立性を高め疎結合にできるかがあると思います。EC2やS3よりSQSが出ているという事実が、何か示唆的ではないでしょうか?
一方で、SQSが最初のAWSだと言い切るのが難しい点が2つあります。1つ目は、SQSが出た当時はAWSの名前を冠することなく、単なるAmazon Simple Queue Serviceとして出ている点です。2つ目は、2004年11月はベータ版で、正式なサービス(GA)となるのが2006年7月なのですね。β版とGA版を時系列に並べると、次のような感じです。

2004年11月 SQS β
2006年3月 S3 GA
2006年7月 SQS GA
2006年8月 EC2 GA ※

※EC2については、2007年くらいまでβ版だったような気もします。

検証する

ではAWSの正史としては、どれが一番最初のサービスになるのでしょうか?検証してみましょう。そのものズバリというものを見つけることは出来なかったのですが、whats-newを辿ると良いことに気が付きました。

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2004/

年の部分を手動で指定していくと、2004年まで遡れます。そして、一番最初に出ているのは、SQSとなりました。ということで、AWSの正史的にはSQSが最初のAWSという事が解りました。

歴史の闇に埋もれた最初の『Amazon Web Service』

ここまで長々とお付き合い頂きありがとうございます。直前に正史と繰り返していたのには少し意味があります。実はAmazon Web Servicesより前にAWSがあったのです。みなさんは、Amazon Product Advertising APIというサービスをご存知でしょうか?このサービスはAmazonの商品のリンクを作るためのサービスで、Amazonの膨大な商品データベースに対して検索や商品詳細を取得できます。
これはAWSではなく、Amazonの方のサービスで、Amazon E-Commerce Service (ECS)の1つです。これが、実は昔はAmazon Web Serviceという単数形のAWSという名前を冠していました。AWSが出る前から、AWSの名前が使われていました。で、今のAWSが出てから何回か名前が変わって、結局Amazon Product Advertising APIという名前に落ち着いています。

結論

本日の結論としては、以下のとおりです

『AWSの最初のサービスはSQSである。でも、歴史の闇に葬り去られ名前を奪われたAWSが存在していた。』

これが解ったからと言っても実務には全く役に立たないAWSに関する知識でした。ちなみに、その経緯もあって長らくProduct Advertising APIは、AWSのルートキーでしか操作できずIAMによる権限制御ができないという弊害がありました。これも2016年くらいにひっそりと解消されています。詳しくは、この辺をご参照ください。

おまけとして、2番目に古いサービスも紹介しておきます。それはS3ではなく、Amazon Mechanical Turkです。2005年から存在しているサービスで、"Cloud"というより"Crowd"です。

以上、ゲストブロガーの佐々木拓郎(@dkfj)でした。