認知の4点セットでメンタルモデルを可視化する

2023.05.31
こんにちわ。従業員体験( EX )の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
人はなにかの出来事に対して価値観をもとにした意味付けをします。
この認知の過程がメンタルモデルです。
組織内での意見の対立にはこのメンタルモデルの違いが関わります。
例えば
  • 「リスクをとってリターンを狙う人」と「リスク回避的な人」
  • 「スピードを重視する人」と「じっくり計画を練る人」
  • 「自走を促す人」と「手厚くサポートする人」
など様々です。

認知の4点セットとは?

「認知の4点セット」は書籍「リフレクション 自分とチームの成長を加速させる内省の技術」で紹介されている概念です。
人の考え方には、過去経験してきた出来事をベースに作り上げられた考え方の枠(フレーム)があります。
これらを整理するのに使えるのが「認知の4点セット」です。
  1. 意見 - 対象に対する意見
  2. 経験 - その意見に至った理由となる過去の経験
  3. 感情 - 過去の経験を踏まえた対象に対する感情
  4. 価値観 - 意見・経験・感情を踏まえたとき、どのような価値観と言えるか?

認知の4点セットの例

認知の4点セットを用いた例として「個人名を伴った発信」に対する各自の異なる認知を例示します。

認知の4点セットの例1 - Aさんの考える個人名を伴った情報発信

  1. 意見 - 危険な行為
  2. 経験 - 個人名を出した事で攻撃されている他の人を見た
  3. 感情 - 不安、恐怖
  4. 価値観 - 安全志向。リスク回避
個人名が分かることによって他者が攻撃される姿を見て、個人名を表に出すことへの不安や恐怖が大きい、というようなマインドセットです。

認知の4点セットの例2 - Bさんの考える個人名を伴った情報発信

  1. 意見 - 必要な行為
  2. 経験 - 目指すゴールに向けてどのみち名前が出る機会は発生する
  3. 感情 - 冷静
  4. 価値観 - 合理。達成
ある程度外部への発信が必要な仕事に就く場合、どこかのタイミングで個人名がでるのは避けられない。
今後の成功のためには、リスクよりもリターンをとって発信機会があれば名前を出すことも必要だろう、というようなマインドセットです。

認知の4点セットの例3 - Cさんの考える個人名を伴った情報発信

  1. 意見 - 人とつながるきっかけ
  2. 経験 - 名前を出して発信していたことで同一領域の人とつながった。スカウトをもらった
  3. 感情 - 期待
  4. 価値観 - 冒険。変化。挑戦
過去の発信経験から、名前を出していることで他の人とのつながりやスカウトなど自分にとっての新たな機会が広がった、という経験から個人名を伴った情報発信は好機につながるだろう、というマインドセットです。

認知の4点セットの活用方法

活用方法1 - 自己変容のためにアンラーニング

自分自身の過去の成功体験や、価値観からくる判断軸を変える必要があるような場合に、認知を整理することで変化の必要性を自覚する補助になります。
実は、認知の4点セットの例の3つの例のA/B/Cさんは異なる時期の私自身の認知です。
20代から30代の半ばまでは頃は概ねA。30代の半ばから後半まではB。30代の後半以降はC。
このように人の価値観は時間をかけて変化する、という一例です。
  • 自分自身の過去の経験からくる意見が永久に有効とは限りません
  • 自分自身の過去の経験からくる意見はベストな選択では無いかもしれません
  • 自分自身の過去の経験からくる意見は今話題にでている内容には適用できないものかもしれません
現状の自分の価値観を整理し、本来必要な意見を考えたとき、自分自身に変化が必要かどうかが見えてくることがあります。

活用方法2 - チーム内の意見の対立を掘り下げる

チームで意見の対立が発生したとき、お互いの認知を整理し、意見の相違の根本にどのような経験・感情・価値観の違いがあるのかを確認する際に有用です。
逆にこういった整理がなされないとそれぞれ「自分の意見こそ正義」という形で、意見の根底にある価値観の違いまで掘り下げることなく、力関係が強いほうが無理やり意思決定権を握り、関係の悪化を導く危険性があります。
相互の意見の裏にある価値観を否定するでもなく、掘り下げることでチームの関係性が改善されたり、よりよい答えにたどり着きやすくなります。
なお、各自の意見をフラットにみた上で、甲乙つけがたく、どれを選ぶにしても好みの領域の判断になった場合、組織の理念やValueで掲げる価値観が意思決定の拠り所になります。

まとめ

認知の4点セットを活用したメンタルモデルの可視化についてまとめました。
意見の相違は敵対ではありませんし、自分の意見を取り下げることは敗北でもありません。
事業成果や自身の成長のためにも、他者との意見の違いを掘り下げ、よりよい答えを目指せるとよいでしょう。