![[速報]Google Cloud Next '25 開幕!Keynote セッションサマリ](https://images.ctfassets.net/ct0aopd36mqt/mfvnpH15PsVPOaNIwYZ33/4e17c25441441bdd9f44672815983fd3/eyechatch_googlecloudnext25.png)
[速報]Google Cloud Next '25 開幕!Keynote セッションサマリ
はじめに
本日より 2025/4/9-11 の 3日間の日程で Google Cloud Next '25 がラスベガスで開催されています!
早速、初日の目玉である Keynote のセッションの中で新しくリリースされた情報を現地からレポートします。
AI インフラへの投資
- 2025年に約750億ドルの投資計画
- Google のグローバルプライベートネットワークを提供する Cloud Wide Area Network (Cloud WAN) を発表。アプリケーションパフォーマンスを40%高速化、コストを40%削減。一部ユーザーが利用しており今月下旬には全ユーザーが利用可能。
- 第7世代 TPU Ironwood を今年後半にリリース予定。第1世代と比較すると3600倍のパフォーマンス、29倍のエネルギー効率。最新の TPU の10倍以上の性能。Gemini 2.5 のような需要に対応。ポッドあたり9000個のチップ、42.5ExaFLOPSを実現。
- 最新の量子チップ Willow を開発。
研究とモデル
- タンパク質の構造予測の Alphafold や 最先端の天候予測 WeatherNext といったモデルの開発。
- Gemini 2.5 Pro が Chatbot Arena LLM Leaderboard のベンチマークで世界1位を獲得。現在、AI Studio、Vertex AI、Gemini アプリで利用可能(プレビュー)。
- 低遅延でコスト効率に優れたモデル Gemini 2.5 Flash をAI Studio、Vertex AI、Gemini アプリで近日リリース予定。
AI コンピューティング
- NVIDIA GB200 NVL72 と B200 Blackwell GPU を搭載した A4X(プレビュー), A4VMs(近日リリース)で GPU ポートフォリオを強化。
- 複数のアクセラレータを単一のコンピューティングユニットとしてデプロイ/管理し、パフォーマンスや効率を向上させる Cluster Director をGAリリース。
ストレージ
- AI クラスタごとにハイパフォーマンスなキャパシティブロックストレージを提供する Hyperdisk Exapools をプレビューリリース。
- データをアクセラレータの近くに保持し、ストレージレイテンシを最大70%削減する Cloud Storage Anyware Cache をGAリリース。トレーニング時間の短縮に寄与。
- ゾーンオブジェクトストレージソリューション Rapid Storage をプレビューリリース。ランダム読み取り/書き込みのレイテンシを5倍改善。
AI 推論機能
- GKE でプレビューリリースされた GKE Inference Gateway は、AI対応のスケーリング機能と負荷分散機能を提供し、サービスコストを最大30%削減、レイテンシを最大60%削減、スループットを最大40%向上させる。
- Gemini を支える Google 独自の分散 ML ランタイムである Pathways が Pathways on Google Cloud(プレビュー) として Google Cloud で利用できるように。Pathways は Google DeepMind によって開発され、最先端のマルチホスト推論を可能にし、最適なコストで高性能なスケーリングを実現。モデルサービスを数百のアクセラレータにスケールアウトできる。
- vLLM on TPU を GAリリース。vLLM を TPU に導入し、TPU 上でワークロードを容易にコスト効率高く実行できる。
オンプレミス
- Google Distributed Cloud に Gemini を追加し、Gemini on Google Distributed Cloud として近日リリース。ローカル環境で Gemini を実行可能に。最高レベルのセキュリティとコンプライアンスを実現。NVIDIA Confidential Computing や Blackwell をサポート。
Google Workspace
- スプレッドシートの高度なデータ分析をガイドする Help me analyze を近日リリース予定。
- ドキュメント のオーバービューを高品質なオーディオで再生する Audio overviews in Docs を近日リリース予定。
- エージェントによる反復タスクの自動化や意思決定を行う Google Workspace Flows をプレビューリリース。
メディア生成モデル
- テキストから画像に変換するモデル Imagen 3 に大幅な改良。粒度が高く、照明が豊かで、邪魔なアーティファクトが少ない画像を生成。
- Chirp 3 は10秒の入力で高品質なカスタム音声を作成できる。
- Lyria は本日から Google Cloud で利用可能。テキストプロンプトから30秒のミュージッククリップに変換できる。この機能を提供するハイパースケーラーは初。
- Veo 2 はテキストプロンプトからビデオを生成するモデル。SynthID で透かしを入れることにより AI 生成のビデオであることが判断できる。ショットの構成やカメラアングルを簡単に指示できるカメラプリセット機能を導入。
- これらのモデルは全て、現在 Vertex AI で利用できる。
Vertex AI
- Llama 4 on Vertex AI が GA リリース。Vertex AI 上で Meta の Llama 4 が利用可能に。
- Ai2 オープンモデルが Vertex AI Model Garden からアクセス可能に。
- NetApp ストレージ上に直接エージェントを構築可能に。
- Vertex AI から様々なデータソースやアプリケーションに接続可能。Oracle、SAP、servicenow、workday。
- Google Map や信頼できるサードパーティの企業データ(S&P Global, HGinsights など)のグラウンディングが可能に。
エージェント
- 高度なマルチエージェントの構築を容易にするオープンソースフレームワーク Agent Developer Kit を発表。MCP(Model Context Protocol) をサポート。
- エージェント同士が相互に通信するためのプロトコル Agent2Agent Protocol を開発。
- Google Agentspace が Chrome ブラウザに統合 (プレビュー)、Chrome の検索ボックスから直接企業データ検索可能に。
- Google Agentspace 内の Deep Research Agent は企業データを検索しレポートを生成する。
- 次世代の Customer Engagement Suite を近日リリース予定。Human-like voices 、 Understanding Emotions 、 Streaming video support 、 AI assitance to build、 Interact with other application 、 Integrations といった機能を搭載。これによりユーザはeコマース上のエージェントと人間に近い声での対話やビデオによる情報提供により、カートに入れた商品に対する洞察(不足が無いかなど)や提案、カートの更新、API を利用した他サービスの呼び出しや実行といった体験を受けることができる。
- Data Engineering、Data Science、Data Analysis の各チームメンバーに特化した Data Agents をプレビューリリース。これらのエージェントは Web アプリやモバイルアプリに埋め込むことが可能。
- Data Engineering チーム向けに、カタログの自動化、メタデータの生成、データ品質の維持、データパイプラインの生成までデータエンジニアリングのあらゆる側面に対応するエージェントを提供。
- Data Science チーム向けに、サイエンスノートブックの包括的なコーディングパートナーとして機能し、データの読み込みや特徴量エンジニアリングから予測モデリングまで対応するエージェントを提供。
- Data Analysis チーム向けに、完全自然言語の対話型で強力な分析を実行するエージェントを提供。
- コードの最新化から開発ライフサイクル全体の支援を行う Gemini Code Assist Agent をプレビューリリース。開発者はカンバンボード上でエージェントと対話し、エージェントが処理するタスクをリアルタイムに確認可能。
- マルウェアを分析し、アラートをトリアージする Security Agent を近日リリース予定。
(2025/4/9追記)
※Agent Developer Kit については以下ブログで早速試してみましたのでご参照ください。
セキュリティ
- 高速な脅威検知、可視性、AIを活用したセキュリティ運用、継続的な仮想レッドチーム、Mandiant の専門知識を1つの統合セキュリティソリューションとして統合した Google Unified Security(GUS) をGAリリース。統合された AI エージェントが脅威を検知し、自動的に隔離・停止することが可能。
おわりに
昨年まではLLMの性能、それらモデルを容易に活用するための Vertex AI の様々なサービスの発表が中心だったと記憶しています。
今年の Keynote では AI エージェントの活用を市場に促していくための具体的なサービス、さらにそれらを支えるモデル、AIインフラストラクチャへの大規模な投資と期待が非常に大きいものであると感じました。
Google Agentspace や Customer Engagement Suite、Data Agent を利用した AI エージェントのライブデモは非常にワクワクするもので、たった1年でここまでできるようになるのかと Google(他社プラットフォームも含めですが) の進化に衝撃を受けています。
発表された各サービスの詳細については引き続き現地セッションに参加しこれから深堀してまいります!