
【登壇資料】なぜハノーバーメッセに行くべきなのか~初参加だから語れること~で登壇してきました #HM26
概要
こんにちは、クラスメソッド製造ビジネステクノロジー部の田中聖也です。
2026年5月28日(木)に東京で開催されたハノーバーメッセ2026振り返りイベントに登壇してきました!
「なぜハノーバーメッセに行くべきなのか〜初参加だから語れること〜」というタイトルで、4月にドイツ・ハノーバーで開催された HANNOVER MESSE 2026 (ハノーバーメッセ) の現地初参加レポートをお話しさせていただきました。
- 東京での登壇テーマを決めるまでの葛藤
- ハノーバーメッセに行く前と行った後の変化(5つ)
- 来年はお客様と一緒に行きたい理由
- 登壇資料
なお、大阪・名古屋での登壇ブログもありますので合わせてご覧ください。
東京で何を話すか、ずーっと悩んでいた
正直なところ、東京の登壇テーマを決めるのに一番時間がかかりました。
今回のハノーバーメッセ2026振り返りイベントは大阪・名古屋・東京の3都市で開催していて、それぞれ話す内容を変えようと最初から決めていました。大阪では現場で使える技術の最前線、名古屋では組織内・組織間でのデータ連携技術をテーマにしてきました。
東京はどうしようかと考えたとき、最初に浮かんだのはこんな候補でした。
- 偉い人が多そうだし、経営に使えるようなことを話す? → 経営のことは何も分からない
- ヨーロッパの最新データ連携事情? → 他の登壇者と被りそう
- ドイツのご飯のこと? → さすがにもうちょっと真面目に
どれもしっくりこなくてずっと悩んでいたんですが、差別化のポイントを考えたときに気づいたことがありました。今回の登壇者の中で、ハノーバーメッセに初参加したのは自分だけ、ということです。
初参加だからこそ分かったこと、感じたこと、参加後に自分の中で変わったことがある。それを正直に語ることが一番自分らしい登壇になると思い、「なぜハノーバーメッセに行くべきなのか〜初参加だから語れること〜」というタイトルに決めました。
登壇資料
ハノーバーメッセに行く前と行った後の変化
登壇では、ハノーバーメッセ前後で自分の中に生まれた変化を5つに整理してお話ししました。
変化1:イベントの規模感に対する認識
行く前の正直な感覚は「ものづくりワールドのでかい版ぐらいかな、半日で回れるんちゃうか」でした。
実際に行ってみると、全然回れませんでした。見たいブースがまだまだあったのに時間が全然足りず、「もっと効率的な作戦を立てておけばよかった」と悔しい思いをしたのが一番素直な感想です。
会場の広さは、ハノーバーメッセ会場と東京駅周辺を比較したマップを見ると分かりやすいんですが、ざっくり神田から有楽町あたりを丸ごと覆うぐらいの規模感です。ホール内を歩き回ると1日3万歩ぐらい歩いていました。
展示されているものも本当に多種多様で、最先端のロボットから小さな工具・ベアリングまで、産業・研究・スタートアップが本当に混ざり合っています。国内で経験できるイベントの規模感と全く違います。
最低でも3日、可能であれば5日間フルで行かないと満足できないと思いましたが、3日目ぐらいで体が疲れ始めるので、休憩を挟みながら徐々に見ていくのが良さそうですね。
変化2:最新技術の見え方
行く前の自分は、「最新技術」という言葉を聞くと「絵に描いた餅」「夢物語」「PoCで終わるもの」というイメージが強かったです。製造現場で働いた経験があるからこそ、展示会で「こういうのができたらいいよね」と見てきても結局現場では何も変わらない、というパターンを繰り返し見てきたからです。
ハノーバーメッセで変わったのは、「夢だけじゃない、夢に至るまでのステップが体系化されていることに驚いた」という点でした。
デジタルツイン(物理的な製品・工場をソフトウェア上に丸ごと再現する技術)やサプライチェーン最適化といった言葉は現実感がなくて夢で終わりそうというイメージが強かったんですが、その夢に向けた各ステップごとのソリューションが1つのブースに全部揃っているケースもあれば、複数のブースに点在しているケースもあって、「このブースで見た技術とあのブースで見た技術を繋げればいけるんじゃないか」と思える瞬間が何度もありました。
理想と現実のギャップが埋まり、具体的な実装への道筋が見えた感覚です。これは多種多様な企業が分野を問わず集まっているハノーバーメッセだからこそ体感できるものだと思いました。
変化3:顧客への活かし方の発想
行く前は「顧客の課題を解決するための技術を探しに行く」という視点だけで参加していました。実際にお客様からも「田中さん、こういうの見てきてね」と言われて行った部分もあります。
行ってみると、課題解決の情報だけでなく、「新しいビジネスの種」が見つかるイベントでもあると感じました。
例えばBeckhoffというドイツの産業用制御機器メーカーのブースで見たデモが印象的でした。
1つ目は、スマホのBluetooth経由でPLC(プログラマブルロジックコントローラ、工場設備を制御するコンピュータ)の信号を確認できるデモです。従来はパソコンを現場に持っていってPLCに有線で接続し、ラダー図(PLCのプログラムを視覚的に表示したもの)を見て信号の状態を確認していました。それがスマホ1台で完結できる。お客様が喜ぶ顔が浮かんだソリューションでした。
2つ目は、自然言語(日常会話の言葉)でPLCの情報を取得できるAIエージェントのデモです。設備ごとに膨大なマニュアルが存在する中で、チャットで「今の状態は?」と聞けばPLCの状態を確認できる仕組みです。設備を製造しているメーカー様にとっては、アフターサービスとしての新たな付加価値になる可能性があると感じました。
SIer(システムインテグレーター)の視点では顧客課題の解決策が見つかりますし、メーカーの視点では自社課題の解決から新規ビジネスの共創へ発想が広がる。最新技術・課題・ソリューション・ビジネスが混ざり合った、付加価値の高いイベントだと改めて感じました。
変化4:視野の広がり、そして日本への再注目
行く前は、課題があれば「まず日本の企業から解決策を探す」という思考でした。
ハノーバーメッセで世界中の企業を見た後は、「日本だけに絞る必要はなかったな」と思いましたし、視野が一気に広がる感覚がありました。
ただ同時に面白かったのが、世界を見てきたからこそ日本のFAメーカーが今どんなサービスを展開しているか改めて気になったという点です。
例えばBeckhoffで見たLLM(大規模言語モデル)連携のPLCコントロールやMCP(モデルコンテキストプロトコル)を活用したUX向上サービスは、日本のメーカーも同じことをやっているのではないか? 流通コストやサポート面を考えると日本企業から買う方が扱いやすいケースも多い。世界を見たからこそ、日本を改めて見直したくなりました。
変化5:DX推進の捉え方
行く前は「DX先進国ドイツのやり方を日本に持ち帰るぞ!」という気持ちで参加しました。
実際にドイツ企業の基調講演や各セッションを聞いてみると、なんかめっちゃ似てるんですよ、日本と。レガシーシステムの問題、人材不足、データ連携の壁、組織の壁……どこも同じ課題を抱えていました。
じゃあDXに成功している企業は何が違うのかというと、「小さな挑戦と小さな失敗を断続的に繰り返している」という点でした。いきなり大きな変革を狙うのではなく、ある工程だけ、ある分野だけでスモールスタートして失敗して改善して別の工程でまたやる。全体最適を目指しながらも、個別最適のレベルで小さな傷を作りながら試行錯誤を続けていました。
そして繰り返し言われていたのが組織文化の話です。経営者・管理職・作業者の三方いとも同じビジョンを持っていないと根本解決にはならないし、継続的な組織にはなれない。結局そこが一番重要だというのはどの企業も共通していました。
「DX先進国から学ぶ」という発想で行ったのに「世界も同じ、小さく始めるしかない」という結論になったのは、ある意味一番の収穫だったかもしれないですね。
だから、来年も行きたい(お客様と一緒に)
5つの変化を整理してみると、自分の中の認識はこう変わっていました。
| 行く前 | 行った後 |
|---|---|
| 半日で回れる | 5日でも回り切れない |
| 最新技術=夢で終わる | 夢に至るステップが体系化されている |
| 課題解決の場 | 課題解決 + 新規ビジネスの種 |
| 日本企業から探す | 世界から探し、日本を見直す |
| ドイツのDXから学ぶ | 世界も同じ、小さく始めるしかない |
今回行ったことで、次に行くときの「見たいポイント」が絞れるようになりました。来年はもっと効率的に回れると思います。
そして個人的に強く感じているのが、現場知識のある方ほどこのイベントを楽しめるという点です。自分はSIerという立場で行きましたが、実際に毎日ものづくりをされているメーカーのお客様が一緒にいると、1つのブースを全然違う目線で見ることができると思います。「あ、うちのラインにこれ使えそう」「いや、でもうちはこのステップが先に必要だ」みたいな、現場に即した会話が自然に生まれるはずです。
まとめ
「なぜハノーバーメッセに行くべきなのか〜初参加だから語れること〜」というタイトルで、東京の振り返りイベントに登壇してきました!
行く前と行った後の変化を5つ整理する中で、「規模感」「技術の見え方」「顧客への活かし方」「視野の広がり」「DX推進の捉え方」それぞれが自分の中でかなり変わったことを実感しました。
大阪・名古屋・東京と3都市でシリーズ登壇ができた経験は、ハノーバーメッセで見てきたものをいろんな切り口で言語化する良い機会になりました。








