
【登壇資料】「データは集約からAI起点の収集に〜組織内・組織間でのデータ連携〜」というタイトル登壇しました #HM26
概要
こんにちは、クラスメソッド製造ビジネステクノロジー部の田中聖也です。
2026年5月27日(水)に名古屋で開催されたハノーバーメッセ振り返りイベントに登壇してきました!
「データは集約からAI起点の収集に〜組織内・組織間でのデータ連携〜」というタイトルで、4月にドイツで開催された HANNOVER MESSE 2026 (ハノーバーメッセ) で感じたデータ連携の転換点と、それを実際に手元で動かしてみたデモをお見せしました。
- イベントの構成と登壇テーマ
- ハノーバーメッセで感じた「データ連携の転換期」
- MCP(Model Context Protocol)を使った組織内データ連携デモ
- ODS(Open Data Spaces)を使った組織間データ連携デモ
- 登壇資料
なお、5月13日に大阪で開催された関西製造業祭りでの登壇レポートはこちらです。
登壇テーマと話した内容
今回の名古屋イベントで意識したのは、「ハノーバーメッセの話をして終わり」にしない ということでした。
正直、現地に行って見てきたものを「こんな展示がありました」「すごかったです」だけで終わらせるのは、それはそれで楽しいんですが、参加者の方が帰ってから何か変わるかというと、なかなか難しいと思っていて。
なので今回は「明日から実際に使えるように検証した内容をデモで見せる」という構成にしました。ハノーバーメッセで感じた技術の方向性を、手元で動く形にしてから持ってきたという感じです。
ハノーバーメッセで感じたデータ連携の転換期
ハノーバーメッセを歩いていて、データの取り扱いに関してかなり大きな思想の変化を感じました。
今まで製造業でよくあったのは、散らばったデータを1つの箱に集約するという考え方です。データウェアハウスやデータレイクに全部押し込んで、そこから引き出す。「ETL(Extract-Transform-Load、データを抽出・変換・格納するプロセス)」と呼ばれる流れですね。
ただ、実際の現場に行くと、工場が変われば使っているシステムも違うし、スキーマも違う。そもそもExcelでめっちゃ管理してたりする。なかなか1つの箱には集約しきれないというのが正直なところだと思います。
ハノーバーメッセで感じた次の考え方はこうです。
散らばったデータを集約するのではなく、AIが必要なときに必要な量だけ収集する
「Push and Ingest(押し込んで取り込む)」から「Serving and Pull(提供されたものを引き出す)」への転換です。この考えを組織内と組織間それぞれで実現する技術として、今回は MCP と ODS を取り上げました。
【デモ1】MCPを使った組織内データ連携
MCPとは
MCP(Model Context Protocol、AIとアプリケーション間のデータ連携を標準化するプロトコル)は、AIとさまざまなサービスをつなぐための共通ルールです。
今まではそれぞれのアプリが独自のやり方でAIに情報を渡していたため、AIが複数のサービスを横断的に使うのが難しかったです。MCPはその「橋渡し役」を担うことで、どんなアプリでも簡単にAIと連携できるようになります。
今回のデモ構成
デモで使ったシナリオはこんな感じです。
工場内の複合機(生産設備)のセンサーデータが社内のSQL Serverに蓄積されている。設備の電流値や生産数を確認したいが、今まではマクロ職人さんに頼んでDBのデータを取り出してもらっていた。ただ、その方がいつかいなくなった時に困る…
このシナリオで、チャット形式で「複合機BG-1のセンサーデータが欲しい」と自然言語で入力すると、AIがMCPサーバー経由でSQL Serverにクエリを投げ、結果をExcelにエクスポートするというデモを実施しました。
- 「全設備の一覧を表示して」→ AIがDBを見て一覧を返す
- 「設備ごとの電流値を教えて」→ センサーデータが返ってくる
- 「直近のデータをExcelに出力して」→ .xlsxファイルが生成される
SQLを書かなくていい、マクロ職人さんに頼まなくていい という状態がチャット1つで実現できますね。
拡張するとこうなる
今回のデモはローカル構成でしたが、Azure上で構築してM365のWorkIQと組み合わせると、Excel・Teams・Outlookや社内ドキュメントも対象にできます。センサーデータを取ってきて異常予測して、その結果をSharePointに自動でエクスポートするような構成も見えてきます。
【デモ2】ODSを使った組織間データ連携
ODSとは
ODS(Open Data Spaces)は、2026年4月にIPA(情報処理推進機構)が公開した分散型データマネジメントの技術コンセプトです。
一言で言うと、こんな考え方です。
「データを集めずに、その場に置いたまま、必要なときに、許可された相手だけに、許可された分だけ提供する仕組み」
MCPとの対比で整理すると分かりやすいです。
| 対象 | 考え方 | |
|---|---|---|
| MCP | 組織内のデータ連携 | AIが自社の中のデータを取りに行く |
| ODS | 組織間のデータ連携 | AIが他社の中のデータを(許可された範囲で)取りに行く |
今回のデモシナリオ
デモで使ったのはこんなシナリオです。
原材料メーカー(Tier 2)の品質管理担当者として、ブレーキ摩擦材の銅含有量を12%から8%に変更したい。この変更がサプライチェーンの上流にどう影響するか確認したい。
今まではこういう4M変更(Man・Machine・Material・Method、製造工程における4つの変化要因の略)の影響確認って、Tier1に連絡してからOEMに確認してもらって、返答が来るまでに2週間くらいかかることも珍しくないですよね。
ODSを使うと、AIエージェントが関係する各社のデータベースを直接見に行って、許可されている範囲の情報を集めてきてくれます。
今回のデモでは関係する3社を設定しました。
- 中部精密ブレーキ(Tier1) → 影響部品・PPAP(Production Part Approval Process、量産部品承認プロセス)情報を開示
- 東洋自動車(完成車メーカー) → 影響VIN数・リコール額をサマリーレベルで開示
- 北関東モータース(完成車メーカー) → 取引なしのため拒否
「Lot KMK-26Q2-A077の摩擦材変更について上流での影響範囲を教えてください」と入力すると、AIがそれぞれのDBにアクセスして、許可されている情報だけを集めて回答してくれます。北関東モータースにはアクセス権限がないので、ちゃんと「データの共有がされていません」と返ってくる。アクセス権限の設計がODSの肝 ですね。
従来のように全データを1箇所に集約しなくても、各社がデータ主権を保ちながら連携できる。それがODSのポイントです。
まとめ
名古屋での振り返りイベントで「データは集約からAI起点の収集に」というテーマで登壇してきました!
「集約をやめて、繋ぐ」という考え方のシフトを、MCPとODSのデモを通じて少しでも体感していただけていたら嬉しいです。
もし会社の中で「全部集めてから考えよう」という流れになっているなら、「AIが必要な時に取りに行けばいいんじゃない?」という視点を広めてみてください。









