Amazon Honeycode のサービス終了予告がアナウンスされたので、スケジュールやデータエクスポート内容を確認してみた

2023.08.26

いわさです。

2020 年 6 月に AWS のノーコードアプリ開発ツールとしてベータサービスが開始された Amazon Honeycode ですが、昨日 Honeycode コミュニティ内でベータサービスを終了する旨のアナウンスがありました。

正式サービスへ移行されるわけではなくベータのままサービスが終了する形です。
それに伴って、終了までのスケジュールや、既存ユーザーが取れる措置について案内されています。

本記事では終了に関する情報を整理し、また既存の利用者が終了までに実施出来ることを確認してみましたので紹介します。

現状とスケジュール

サービス終了に伴う FAQ は以下に記載されています。

まとめると以下の内容が記載されてます。

  • 新規サインアップは出来ない。既存の利用者は 2024 年 2 月 29 日まで利用可能。
  • プラン変更は出来ないが、2023 年 8 月分からの料金は無料になる。
  • 新しいチーム作成は出来ない。既存チームへのメンバー追加は出来る。
  • 2024 年 4 月 30 日にデータを削除する。
    • 2024 年 2 月 29 日までにデータをエクスポートしておいてくれぇ。
    • 難しければサポートまでお問い合わせください。

サインアップは出来ない

従来は次のサインアップ画面から Create one のリンクを押してアカウント作成を行うことが出来ていました。

現時点では押しても次の画面に遷移してサインアップは既に出来なくなっていますね。
アナウンスのとおりサインアップは出来ません。

チームの作成とメンバー追加・プランの変更

マネジメントコンソールから AWS アカウントを Honeycode アカウントに接続しチームを作成することが出来ていましたが、既にチーム作成のボタンは既に押せなくなっています。

Honeycode のチーム管理画面でプランのアップグレードやダウングレードが可能でしたが、その操作も出来なくなっています。
ただし、前述のとおり 2023 年 8 月分からは無料で利用出来るように措置が取られています。

新しいチームの作成は出来ませんが、既存チームへのメンバー追加は行うことが出来ることを確認しました。

データエクスポート方法の確認

利用中のユーザーは既存アプリケーションのデータをエクスポートすることが出来ます。

エクスポート方法はローカルファイルへのダウンロードで、エクスポート対象はデータテーブルのみです。
アプリケーションやオートメーションのエクスポートは残念ながら出来ませんので別のプラットフォーム上で作り直す必要があります。

エクスポート手順

エクスポートの方法は Honeycode コンソールへアクセスし、アプリ一覧からアプリごとにコンテキストメニューの「Export data」を選択します。

データエクスポート用にダイアログが表示されるので「Export」を選択します。
特に選択出来るオプションはありません。

エクスポートは少し時間がかかります。
データ量やテーブルの数に依存しているだろうと思われますが、私が試した際には数秒でした。

エクスポートデータの準備が完了すると画面の左下に次のダイアログが表示されるので、「Download」ボタンを押すことでローカルに Zip 形式のファイルがダウンロードされます。

展開すると CSV ファイルがいくつか存在していることが確認出来ます。ここでは 3 つの CSV ファイルがダウンロードされました。

エクスポート操作を行ったアプリケーションの OVERVIEW を確認してみると、次のように 3 つのデータテーブルが存在していることが確認出来ました。
これらのテーブルがエクスポート対象のようです。

エクスポートされた CSV ファイルの内容は次のようになっていました。
後述しますが、計算フィールドやクラシックの場合のテーブル対象領域について少し注意が必要です。

Item,Description,Date,Contact,Status
Item 1,Item 1 description,6/14/22,Takahito Iwasa,Green
Item 2,Item 2 description,7/5/22,John Doe,Yellow
item3,item 3 description,5/5/22,,Red
,,,,
hogehoge,fugafuga,8/27/22,John Doe,Red

画像列のデータもエクスポート可能、計算フィールドは値として出力される

Honeycode の現行バージョンでは、データテーブルの特殊な列として画像や計算フィールドなどの列があります。
これらをエクスポートしてみます。

計算フィールドは次のように別の列の値を加工したものです。

エクスポートしてみると、画像についてはItemAttachmentsというディレクトリ内にエクスポートされました。

計算フィールドについては計算後の値が出力されます。
計算フィールドの数式のエクスポートは出来ないのでここは注意が必要ですね。

クラシックアプリケーションのエクスポート手順

Honeycode は 2022 年 4 月に大きなバージョンアップがあり、一度別のアプリケーションのように作り変えられています。

このタイミングより前の方法で作成されたアプリケーションは「クラシックアプリケーション」として扱われており、アイコンに次のようなラベルが設定されています。

今回のデータエクスポートは現行のアプリケーションのみでなくクラシックアプリケーションもエクスポートが可能なので、データの保存が必要な方は同様にエクスポートしておきましょう。

クラシックアプリケーションの場合も次のようにデータテーブルのデータのみがエクスポート対象となっています。

現行と異なり、クラシックでは画像列を作成することは出来ないので単純にデータテーブルの値のみがエクスポートされます。
また、計算フィールドの取り扱いについては現行と同様で、計算後の値のみがエクスポートされます。

クラシックで注意が必要な点が一点ありまして、テーブルの表示範囲の設定です。
次のようにテーブルの対象領域を設定することが出来るのですが、この緑の枠のみがエクスポート対象となります。

Column3 が出力されていないですね。

枠ないの情報もエクスポートしたい場合は、事前に次のように対象の範囲を拡張する操作が必要です。

Column3 もエクスポートされましたね。

データテーブル以外のオブジェクトをエクスポート出来るか?

今回紹介したデータエクスポート方法はデータテーブルのみが対象です。
XML か JSON あたりでアプリやオートメーションもエクスポートしてくれると、何かあった際に確認出来てありがたいのですが、サポートされていません。

また、Honeycode ではいくつかの操作が AWS API が公開されていますが、それらからアプリケーションの定義を取得するような仕組みは現状ありません。

テーブル以外のデータは手動で抽出するしかなさそうですね。

さいごに

本日は Amazon Honeycode のサービス終了予告がアナウンスされたので、スケジュールやデータエクスポート内容を確認してみました。

ここ最近はアップデートもなく、ずっとベータ状態が続いていたのでどうなるのかなと思っていましたが、遂にサービス終了となりました。
パブリックベータ段階だったのでプロダクト環境で利用されている方は少ないと思いますが、移行を検討されている方はまずは終了までのスケジュールを把握し、データエクスポートから取り組んでみてください。

また、ノーコードの後継サービスがあるかについては次のディスカッションスレッド内で少し触れられており、Honeycode チームは SageMaker Canvas, Amplify Studio, AppFabric などの特化型のノーコードサービスの言及に留めていますので、ただの個人的な推察ですがノーコードアプリ開発ツールとしては後継は現時点では無さそうですね。

We are incorporating lessons from the Amazon Honeycode beta into current services, and remain committed to supporting no/low code services including Amazon SageMaker Canvas, AWS Amplify Studio, and AWS AppFabric.