Amazon QuickSight Paginated Reports(分割されたレポート)を試してみた
データアナリティクス事業本部インテグレーション部コンサルティングチーム・新納(にいの)です。
先日開催されたAWSのカンファレンスイベント、re:Invent 2022にてAmazon QuickSightの新機能、Paginated Reportsが発表されました。
本エントリでは、実際に使ってみた様子をお届けします。
Paginated Reportsとは
その名の通りページ分割されたレポートです。ページ単位で作成したダッシュボードやレポートをA4形式やPDFなどといった任意の形で共有可能です。これまではダッシュボードはブラウザ上から見ることに特化していましたが、この機能を使うことで共有や印刷に適した形式で可視化結果をレポートとして共有できるようになります。
Paginated Reportsの料金
2022/12/6現在、Paginated Reportsの料金は以下の通りです。
Type | 含まれるレポート単位 | 料金 | レポート単位超過分 |
---|---|---|---|
月額プラン | 500レポート/月 | $500/月 | $1/レポート |
年間プラン | 4000レポート/月 | $2,000/月 ($24,000/年) |
$0.5/レポート |
レポート単位はPDFの場合100ページ、CSV/Excelの場合100MBまで。例として、200ページのレポートは2つのレポート単位となります。
(参考元:Amazon QuickSight Pricing - Business Intelligence Service - Amazon Web Services)
使ってみた
Paginated Reportsを有効化する
画面右上のドロップダウンメニューから「QuickSightの管理」を選択します。
「お客様のサブスクリプション」から「[ページ分割されたレポート]を取得」を選択します。
月額プランか年間プランを選択し、サブスクリプションを追加ボタンを押します。注意したいのは、追加ボタンを押した時点から開始日に基づいて日割り計算された料金が発生します。
ここからは完全に余談なのですが、社内検証用に個人に配布されたAWSアカウントで気軽に月額サブスクリプションを追加したところ、日割り計算された$442が早速課金されてしばらく時が止まりました。Cost Explorerが「前月比8315%増だよ」と親切に、それでいて冷酷なまでに克明にコストの激増を教えてくれます。(※手汗を噴き出しながら上司に相談したところ、「ブログで昇華しよう」「検証し尽くそう」と優しく声をかけてくれました。)
レポートを作成する
気を取り直して新機能を試していきましょう。レポートを作成するデータセットの「分析で使用」ボタンを選択します。
上述したサブスクリプションを有効化している場合、従来の形式で分析を作成する「インタラクティブシート」とPaginated Reportsを作成する「ページ分割されたレポート」のどちらかを選ぶダイアログが表示されます。今回は「ページ分割されたレポート」で用紙サイズをA4サイズの縦向きに指定します。
他に指定可能な用紙サイズは以下の通り。
Paginated Reportsはデフォルトでヘッダー・セクション・フッターから構成されます。このセクションの中にテキストやビジュアルを配置していきます。ヘッダーやフッターは追加できませんが、セクションは追加可能です。
ヘッダーにレポートのタイトルを配置してみましょう。ヘッダーのセクションをクリックして選んだ状態で左上の追加ボタンから「テキストの追加」を選択します。
テキストの色やフォントサイズ、配置だけでなく、画像やURLの埋め込み、現在日付の表示なども可能です。
セクションの部分をクリックした状態で選択し、左上の追加ボタンから「ビジュアルを追加」を選択すると、従来の分析を作成するのと同様の操作でビジュアルを作成できます。セクションにはビジュアルとテキストを並べて表示させることもできます。ビジュアルの概要を載せるとよりユーザーに分かりやすいレポートを作成できますね。なお、ドラッグアンドドロップでレイアウトの編集も可能です。
テーブルのビジュアルでデータ件数が多い場合、ページをまたいで印刷されます。
レポートを配信する
前項までで作成したレポートを右上共有メニューからダッシュボードとして公開します。
ダッシュボードとして公開するシートを選択可能です。
レポートをスケジュール設定して配信するか、即座にPDFを生成するか選択できます。今回は「スケジュールを追加」からレポート配信します。
コンテンツ
配信する形式の選択や、対象となるシートを選択可能です。
送信日時
レポートの配信日時を指定可能です。タイムゾーンの指定も可能です。
Eメール
配信先や内容を設定できます。Eメールの受信者にはデフォルトで作成者が入れられていますが、ダッシュボードへのアクセス権を持つすべてのユーザーに送信するよう設定も可能です。Eメールのヘッダー・本文テキスト、レポートをダウンロードリンクにするか添付にするかも選べます。ダウンロードリンクにした場合、リンクは1年後に失効します。
保存ボタンを押して設定は完了です。保存前にテスト送信も可能です。スケジュールされていてもレポート枚数が多いと配信に時間がかかる点に注意が必要です。
配信されたレポートを確認する
実際に送信されるレポートのイメージは以下の通り。
直接ダッシュボードに遷移できるほか、「最近のスナップショット」から過去に配信されたレポートを確認することも可能です。
おわりに
ダッシュボードをブラウザ上からでなく、配信という形でユーザーに共有するのに便利なPaginated Reportsのご紹介でした。ダッシュボードを作成したあと、報告のためにレポートを作成して送信する手間が省ける良い新機能ですね。
特にテーブル形式のビジュアルで件数が多いデータを表示させると、PDF化した際にレポート枚数が数百枚単位になり、思わぬ課金に繋がる可能性がありますのでご留意ください。