ハマコーさん&鵜飼さん、『読まれるブログ』を書く秘訣を教えてください! – DevelopersIO 著者のみんなに色々聞いてみた Advent Calendar 2021
当エントリは『DevelopersIO 著者のみんなに色々聞いてみた Advent Calendar 2021』21日目のエントリです。
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当エントリでは、今年2021年のアドベントカレンダー企画として、『読まれるブログを書くためのコツや秘訣をハマコーさん、鵜飼さんに色々インタビューしてみた』内容について紹介していこうと思います。
目次
インタビューした方々
今回実施した一人アドベントカレンダーでは、DevelopersIOでのブログ執筆に関して「みんなどういう風に考えている、やっているんですか?」という観点で色々トピックを設けてアンケートを行っていました。テーマの一覧はアドベントカレンダーの特集カテゴリをご覧頂ければと思います。
これらのテーマについては「(DevelopersIOにおいて)読まれる内容、ブログを書くために欠かせない要素」があるなと思っていて、そのテーマに関して社内でも右に出るものはいない『第一人者・御意見番』的な方々にコメントを頂くことによってノウハウの共有や展開を更にスピードアップ、効率化出来るかなと思い本日のインタビューを設定しました。お話を伺ったのはこちらの2人。DevelopersIOブログにおいて『打点の高い』(SNSやPV等で大きな反響を得る)エントリを連発されている濱田孝治(通称「ハマコー」)さん、DevelopersIO 編集長の鵜飼さんです。
インタビュー本編
ここからはインタビュー本編となります。幾つかのテーマに基づいてお話を伺っています。(※濱田孝治さんは「ハマコー」さん呼びで会話が進んでいたので、記事内でも「ハマコー」さんで通します)
#1. 公開タイミングについて
- ───:
- まずは1つめのテーマ、『公開タイミング』についてです。このテーマに関しては3日目のエントリでアンケート結果を公開しています。
- 結果としては僅差ではありますが、朝が一番多く、夜中が一番少ない状況でした。エントリが閲覧されるタイミングとして、朝の通勤時間帯が一番多くあるのかな...?とは思うのですが、その辺結果として出てもいるのかなぁと思っています。
- 一般的に、ブログであったりコンテンツの公開タイミングってのはやはり重要ですかね?
- 鵜飼:
- そうですね。出す時間というのはやはり重要だと思っています。なるべく人の活動量が多い時間帯、多くの人がブラウジングをしているであろう時間帯にぶつけていく、というのが正しい攻め方なのかなとは思います。そうなると必然的にアクションを起こすべきは日中。朝に記事を出しておけばその分だけ多く、日中に読んでもらえる確率も高くなります。時間帯毎の特徴でいうと、技術的な内容に限ると「週末は見られない」傾向が高いです。
- ハマコー:
- 僕はどちらかというと「はてブ最適化」に寄せている傾向があるかもしれません。
- 「はてブ最適化」で考えると、DevelopersIOのPVにおける、土日の見られ具合とか、日中の見られ具合とかとは若干違ってくるのかも知れないですね。個人的にはやはり通勤時間帯は狙っていた時期はありましたね。朝8:30頃とか。ちなみに、スマホでDevelopersIO見てる人ってぶっちゃけ少ないのかなぁと思うんですがその辺どうなんでしょ?
- 鵜飼:
- そうですね。少ないです。ちょっと見れそうなデータ持ってきますね。
- ハマコー:
- 圧倒的に少ないですよね。恐らくは、新しい記事であったりとか、出たばっかりの記事とか、DevelopersIOの更新状況を見て新着記事をチェックしているデバイスに限っていうとモバイルの割合も多いのかな?とは思います。で、検索掛けてアクセスするのはPCが多いと思いのかなと。
- 鵜飼:
- ありました。こちらGoogle Analyticsで直近任意の期間(90日間)における『見られ方』の傾向です。
- ハマコー:
- おっ、ありがとうございます。モバイル以前よりも増えてる感じしますね。
- 鵜飼:
- この動き方って、実はエンタメ系のメディアだと真逆の数字が出るんですよね。モバイルが8割、パソコンが2割...みたいな。アフター5から見られ出す。ド深夜は見ないですけれど、週末もそれなりにアクセスがある。そういう色の違いはあるな、っていうのが、(技術系の情報を扱うメディアのクラスメソッドに)入社して実感した部分ですね。
- この辺、「技術メディア」と「DevelopersIO」毎に特性が異なるなと思っていて、DevelopersIOの使われ方・読まれ方って、仕事上で技術的な壁にぶつかった人とか、関連する技術を扱う人が、勤務中とか仕事の傍らで見てくる、調べてヒットする...みたいなケースがすごい多い場所だと思います。だからそのままオフィスアワーのアクセスが色濃く出て、こういう結果になっているんだろうな、という推測をしています。
- ───:
- 一般的な考え方として『コンテンツ公開の時間はこの時間帯が良い』みたいなのってあったりするものなんですか?
- 鵜飼:
- 広報の人だったら、プレスリリースを出すタイミングとかは正午時間帯にニュースを流したい、日中15時までに掲載しないとその日に告知する意味がなくなる...みたいなのを基本ルールとして持っている、というのはありますね。エンタメ業界については先程お話した通りですし。こういうことを考えていくときって、まず最初に「どういう人がうちのサイトに来てくれているのか」っていうのを分解してキャラクターを作っておく、っていうことがメディア運営の最初のポイントになるのかな、と思います。
- ───:
- なるほど。ちなみにDevelopersIOの場合、1日に何件も、それこそ20〜30件とかのレベルでブログが投稿されるのって日常茶飯事ですよね。(下記情報は年毎、通年の1日あたりの平均投稿本数。20〜30はちょっと言い過ぎたかも)
- (下記は2021年の日毎の投稿本数記録。日毎の個別記録だと20本超えの日もちょいちょい出てきています)
- ハマコー:
- あぁ〜...
- 鵜飼:
- あるあるですね(笑)
- ───:
- そんな状況なので、例えば「朝9時くらいの投稿が良いですよ」っていうのに倣って皆朝9時に投稿しちゃうと、どうしても埋もれちゃいますよね。数十本の中の1本として。そうなると「埋もれるのを避けつつ、突拍子も無い時間も合わせて避けていく」ってのも少し調整要るのかなぁ...と思う時はありますけど。
- ハマコー:
- 僕個人の考えで言うと、記事を公開した後に自分のTwitteアカウントで周知してるので、そこ(Twitteアカウントによる周知)から始まる、という考えを持っていますね。だからあんまり(埋もれるとかってことには)気にしてないかな、とは思います。自分のタイムラインでシェアするという対策を取っていますね。
- 「埋もれる」っていうシチュエーションがどこで訪れるかっていうと、トップページとRSSフィードですよね。現状、トップページを見てる人ってどれくらいいるんでしたっけ?
- 鵜飼:
- ページ単位のアクセス数で出すと、実はトップページがダントツ1位なんですよね。これは長らく変わっていないです。
- ハマコー:
- なるほど。だとすると「DevelopersIOで何か新しい記事公開されてないかなー」って見に来る読者は多い、ってことですね。
- 鵜飼:
- はい。「ここに来れば何かを得られるだろう」という期待を持って来てくれる人は多いです。同じくらいの割合で、社員がとりあえず見に来てる、というケースも一定数あると思います。業務で開くブラウザタブの1つがこれ(DevelopersIO)、みたいな感じで。
- 「埋もれる」っていうのは本当、RSSのリスト表示であったり、サイトのTOPページからの表示であったり、頭30件が表示されていることを考えると、流量が多い時間帯は避けておいたほうが良い場合もあるかもしれないですね。拡散させたいっていう考えで行くと、時間帯ってよりもハマコーさんがやられているような、自分でSNSシェアを行うってのは重要だと思います。「自分でもどう動くか」ってのは大事です。
#2. ブログのタイトルについて
- ───:
- 続いて2つめのテーマ、『ブログのタイトル』について。このテーマに関しては4日目のエントリでアンケート結果を公開しています。 私個人的には「はじめにざっくり考えて、公開前に精査」という形が近いかなーというところではあるのですが、こちらのテーマに関してはハマコーさん、鵜飼さんが過去に記事を書かれています。非常に参考になる内容です。
- ハマコー:
- スライド資料、こんな挑戦的なタイトルで書いてたんだなぁ...(笑)
- 鵜飼:
- ヤバいですね(笑) 3年以上経つとこんなに恥ずかしくなっちゃうんだ、っていう...
- ───:
- でもこれらブログや資料のタイトルも、御二方の中ではそれぞれのなかで思考回路を経て出てきたものだったりするんですよね。
- 上記アンケート質問に対する率直な回答を聞いてみたいんですが、いかがでしょうか?
- 鵜飼:
- そうですねー、だいたい書く時はタイトルから先に入力し、上からザーッって書いていくってのが多いですね。これってどういう理由があるの?ってのは実は特にあんまり理由が無いです。入力フォームがあるのでそれに従っているっていう。
- 基本的に、書きたいものがポンとあった場合、タイトルだと30文字、概要として100文字、本文が1000文字...みたいな感じの構成で「書きたいものをどう伝えるか」を考えます。基本的に伝えたいメッセージってのは場所(タイトル、概要、本文)は違えど同じもので、文字数の差でしかないと個人的には思っています。それの凝縮度合いが異なるだけっていう。
- 書く順番については、タイトルの工夫の仕方で最後に(タイトルを)いじることはあっても、基本的には上から下に書いています。
- ハマコー:
- 僕は最初と最後、半分半分って感じですね。一番最初にタイトルは仮で入れることが多いです。仮で入れて書き始めて、全体を書き終わった後、一番最後に、書き終わると自分が訴えたいポイントが浮かび上がってくるのでそれを踏まえてタイトルを決める感じです。やっぱ書き終わらないとね、最適なタイトルの落とし所ってわからないと思うので、最後に改めて考えるって感じですね。
- 逆に皆さん、タイトルについては最後改めて内容を詰める、見直すって作業はしないんですかね?
- 鵜飼:
- 最後にタイトルに戻るっていうのは、絶対必要ですね。
- ハマコー:
- 最適なタイトルを考える、そこをひと手間加えるだけでPVは何倍も変わってくると思いますよ。本当に。
- 鵜飼:
- それこそ、これからの時期AWS re:Inventが始まるなかで、CEOが新しいサービスをポン!と発表した時に速報系であれば『新しいサービス◯◯◯◯◯が出ました!』みたいな感じで書くことになるかなとは思うんですが、例えばそこを一手間加えて『ついにAWSにも自動運転が!』みたいな付加価値を、サービス名以上に価値がある情報をタイトルにつけていく...みたいな工夫の部分ですね。(※インタビューは2021年11月末に行いました)
- ───:
- 今鵜飼さんの方から『工夫』というワードが出てきましたが、その他タイトル付けで工夫されてることとかってあったりしますか?
- ハマコー:
- SNS的観点とSEO的観点をどう混ぜるか、ってのはすごい難しいなぁとは思いますね。
- 『SNS受け』するのだと、例えば感嘆符を多めに入れているとか、分かりやすい強調語を入れたりだとか、そういうのが入っているとクリック率は上がるかなーと。クリックしたくなる要素を散りばめていることで(SNSリアクションの)初動が良くなるかなとは思います。
- ただ、ひと波超えた後、中身を検索されているフェーズになると、タイトルには必要以上に強調するワードって実は要らないんですよね。要らないし、要らないワードがタイトルに残っていると情報としても(Google検索のことを考えると)在り方としてはあまり宜しく無いかなと思うんですね。
- 特に最近、長めのタイトルは、検索結果一覧で見たとき文字数が省略されやすいので。
- ───:
- ブログを書く側としては『SNS受け』も『SEO向け』も両方獲りたいところではあるので、その辺上手いタイトルを考えていくというのもやってみたいですが難しいところでもありますね。
- 鵜飼:
- 理想を言うと、SEO対策、検索エンジンに愛されるような文章構成、重要なキーワードをタイトルのド頭に持ってきつつ、関連する用語をちゃんと補足して、しっかりした論理構造をタイトルレベルでも行う、っていう努力をするのがベストだと思います。その上で『エモい要素』をユーザーの心理に引っ掛かるような表現を巧みに盛り込む、みたいなことをやる感じで。
- ハマコー:
- そうなんですよね。良く出来たタイトルはSNS、SEO双方の面で愛されてますね。それはすごい良く分かります。
- 鵜飼:
- ハマコーさんの過去記事一覧はまさにそういう感じで、感情面に訴えるひとことみたいなのが巧みに入っているんですよね。だからやっぱり、読者はついシェアしたくなる。
- ───:
- 確かに、ハマコーさんのブログタイトルは短くまとまっていつつ、ちゃんと練られた感があるなと思っています。
- ハマコー:
- 『爆誕』とか『後悔先に立たず』みたいなワード、これらは”SNS受け"で入れたやつですね。SEO的にはなんの効果もない(笑) でもやっぱり、ひとつの引っ掛かり要素として入れておきたいな、というのはありますね。
- 鵜飼:
- 『サービス固有名詞を入れただけだと、そのワードに興味があった人は食いつくけど、そうじゃない距離感の人達には届かなかったりしますよね。そこに、ハマコーさんがやっているような"工夫"をひと手間加えることで、より広い層に情報が届くようになる。
- ハマコー:
- タイトルも、その時の『自分の熱量の大きさ』を盛り込んでいる部分はあるかもですね。自分の感情を上手く載せるというのは意識的にやっても良いかもですね。
- ───:
- そういった一手間が加えられているブログ=ハマコーさんブログの『味』の部分でもありますよね。
#3. ブログの構成について
- ───:
- 3つ目のテーマは『構成』について。このテーマに関しては8日目のエントリでアンケート結果を公開しています。
- 回答としてはほぼ同数となりました。御二方は構成面で意識しているところはありますか?
- ハマコー:
- これは僕は遥か昔からずっと言っているんですけど、リード文に命を懸けてますね。ギコ猫含めて。
- なので、リード文=結論としてほぼ同じようなことを書いていて挟んでいます。挟んだ中で、きっちりと中身を書いていく、というのを一番意識しています。
- 長い記事の場合は、最初に自分で『読者がこの記事を読む意味』をきっちりまとめたいな、っていうのを昔から強く意識しています。
- ───:
- ブログを書く上で、カテゴリ的なもの...例えばレポートとか、書評とか、技術検証とか色々あると思いますが、その辺カテゴリが変わることで書き方というか作り方が変わることはありますか?
- ハマコー:
- いや、変わらないですね。技術にまつわるものであれば、
- その記事は何なのか
- 誰向けの記事なのか
- 読み終わるとどんなメリットがあるのか
- この3点は必ず意識して入れるようにしています。
- まぁぶっちゃけ僕も技術検証記事を書いていく過程で、あんまよくわからない感じになることもあります。そういう時は中から書き始めたりもしますし、一通り書き切ったあとで、追加で分かったことを一番最初のまとめの部分に反映するとかはやりますね。ブログで書いた内容の『まとめ』、ポイント的な部分は最初に示すことでユーザーフレンドリーにもなるかなとも考えています。恐らくSEO的にも良いんじゃないかな?と。人が見た時に優しい記事っていうのを意識はしています。
- 鵜飼:
- 構成について考える時に、ハマコーさんの考える『リード文』のくだりと似た内容にはなってしまうのですが、重要なことを最初に言っておく、というのは情報をサマれるということで非常に効果的ですし、やるべきことかなとは思っています。そうなると『オチが最初にくる』みたいな感じになるのかな?とも思うんですが、一方でレポートとかで発表された内容を順になぞっていって最後に何が起きたのか、という風に書いても成り立つ。なぜならそれは話の流れ自体に価値があるから。というケースもあると思っています。
- 記事を書く時に、オチが重要なのかプロセスが重要なのか、みたいなことを考えた時に(内容の)順番が前後するかもな...という気がしています。
- ハマコー:
- プロセス重要系...とかだとパネルディスカッションとかですかね?
- 鵜飼:
- はい。例えば『子供にスマホを持たせるか』みたいなお題でパネルディスカッションがあったとして、有識者5名が話し合った結果、どうなったでしょうか?ではそのセッションの模様を御覧ください...という展開だと、会話のプロセスが重要となるかなと。
- 逆に、5人が集まって『やっぱり子供には持たせる必要はないよね』という結論になりました。じゃあどういう話の流れでそうなったのでしょうか?という流れもありえます。
- 一応、参考になりそうなURLを2つ貼ったのですが、どっちもオチがリードの中に入っています。ハマコーさんの記事はconnectで月4ドルで仕組みを構築することが出来ました!という感じで、本文に入る前に明かしています。
- 次のエントリ、これは千葉(幸)さんのブログになるんですが、
- ハマコー:
- これかー、これすごい好きなんだよなぁ。
- 鵜飼:
- この記事では最初の方に『まとめ』を設けて、そこで『IAMロールはそんなに連鎖するもんじゃない』と言い切っています。
- それぞれ、共通して言えるのは、タイトルにある『やってみた』っていう内容自体が、とにかく先進的と言うか技術的に興味の高いトピックだったか、もしくはやりすぎで既にタイトルの時点で面白くなっているという部分なんです。これらのエントリの場合、別にプロセスがどうこうと言うよりも、出来たかどうか、やってみたらどうなったか、っていう結果が関心を集めるトピックなのかな、という風に思います。
- 技術記事であれば手順も大切なので、オチというかやってみた実験の結果があったとしても、下に続くフローっていうのは関心を絶やさず読んでくれるだろうと。
- ハマコー:
- 千葉(幸)さん、僕には書けないようなブログを書く人、新世代というか別の世界から来た人っていう感じがするんですよね。僕自身は商業媒体等で書いてたこともあってか、そのスタイルで固まっている部分もあるのかなと思うんですが、千葉(幸)さんはその辺どうなんだろう?ほんとに『次世代』という感じがすごいするんですよね。僕は大好きですし根強いファンの方は僕以外にも沢山いると思います。こういう人がどんどん出てきて欲しいですね。
- 鵜飼:
- 弊社、定期的に『おもしろ超人』的な人が入ってきてくれてますよね。
- 書き方の手順や要素として、自分の書いた原稿を客観視出来るか、みたいなそういう見直しのスキルみたいなのがあるかどうか、そこに意識をおけるかどうかで、多分構成の組み換え方の工夫みたいなのは出てくる気がします。
- 『何を最初に持ってくるか』ってのを意識することで、読む人が退屈せず読み切ってくれるのか、読む人が何を求めて、この記事タイトルをクリックしてくれたのか、みたいなことを考えてその過程の元に構成をイジります。なので毎回異なる感じですね。
#4. 読みやすい文章について
- ───:
- 最後、4つ目のテーマは『読みやすい文章』について。このテーマに関しては14日目のエントリでアンケート結果を公開しています。
- 『読みやすい』文章って言っても色々あるとは思うのですが、文章単位で読みやすさという観点で考えていることとかはありますか?
- 鵜飼:
- 分かりやすさ、読みやすさについては3種類あると思っています。
- 1つ目は『量的な読みやすさ』。これは単純に文字数とかですよね。書き手で工夫出来るところで言ったら、それこそ2万字あるものよりも、それを可能であれば1万字とか5000字とかに凝縮できることが『読む』という体力を使わないので読みやすくなるだろうな、という工夫です。
- 2つ目は『日本語としての読みやすさ』。例えば、漢字を使った熟語の場合、ある文字数を超えてしまうと読みやすさの点でマイナスになってしまう...というのがあります。あとは漢字とひらがなのバランス、1つの段落の中に漢字が7割だと色として黒っぽく見えるから適度にひらがなを入れてグレーを目指す、みたいなのは良く文章力講座等で言われたりします。パラグラフ毎の文字数も1文で100文字以上行くと文章構造が複雑になり得るので短くしていこう、というのもありますね。
- 3つ目の分かりやすさは『読者目線での読みやすさ』ところですね。 DevelopersIOであれば、AWSの基本的なサービスであれば『それらが何をするものか』っていう説明は省いちゃっても良かったりするじゃないですか。一方、コーポレートサイトの場合だとサービスに対して基本的な概念・仕組みの部分から『何をするサービスなのか』っていう説明を付けなきゃいけなかったりします。非エンジニアからするとそっちの情報があった方が読み直したり、自分で調べる手間を省けるので読みやすくなる、みたいな感じです。どの場所に自分がテキストを寄せるのか、っていうところで情報量のコントロール、読者に合わせたおもてなしをする『読みやすさの工夫』があるかなと思っています。
- ───:
- ちなみに、今鵜飼さんが挙げた点って『鍛える』ことは可能ですか?わかりやすい文章を書くための訓練というか。
- 鵜飼:
- 可能です。『とにかく書きまくる、読みまくる』という点に尽きますね。書いていくことで自分に適したテキスト量とかが見えてくるのかなと思いますし、他の人の記事とかを読んで『ハマコーさんはこの表現で沢山支持を集めているな』とか『DevelopersIOに載せるとすればこれくらいの情報量がいいな』とか、注目が集まっているものをひたすら読むことで自分の中に入ってくるので、それらをインプットしてアウトプットする中で削ぎ落とし、洗練させていく。ブログ筋肉を鍛えていく、という感じです。
- ハマコー:
- 一文を長くしすぎない、掛かりと受けを意識する、わかりやすくするなどはあるかなと思います。一つだけあるなと思ったのは、読みやすさに直結するのは『想定読者を意識すること』ですね。今のシチュエーション、技術レベルを想定すること。
- DevelopersIOを読んでいる人の中でも、例えばECSのアップデートである程度ECSのこの辺の機能までは使っているし、でもちょっとイケてないなーと思っている人達向けであったりとか、今この記事を届けたい人っていうのを明確に意識して書くのがなんだかんだいって『一番読みやすい文章』になるのかなぁと思います。
- で、良く言われるのが『じゃあその想定読者以外の人が見た時に、読みにくい文章になっているのか』というもの。でも良いんですよ。その記事においてはその人達は対象外なので。想定読者がぶれていること自体が、一番読みにくさを誘発していると思います。困っている読者、その人の状況、技術レベル等をある程度想定しながら書くのが一番の近道なのかなと言う気がします。
- ───:
- ハマコーさんが言及された『このエントリの想定読者』という情報、ブログには入れたりしますか?
- ハマコー:
- はい。リード文で書く時はありますね。例えば『入門 監視』の書評については結構細かく入れています。
- 鵜飼:
- 技術記事としてのマナーというか、実践記事はDevelopersIOは多いので、そういうものを書く中で忘れちゃいけないのが、特定の症状に対して困っている人が100人はいないけど、1人めちゃめちゃ困っている人がいる、みたいな、そういうひとがちゃんと着地出来るようにさせる、っていうのは、テキストの工夫とは別で必須項目としてやっておかなければいけないことかなと思っています。そのターゲットは、以前横田さんも仰ってたんですけれども、具体的にどういうことかというと、技術用語を省略せずに必要なものは主語として5W1Hをまもってちゃんと書く。エラーメッセージや症状については省略しないで書く、みたいなところの『どういう人が辿り着くのか』というのを意識するのが大事です。
- 多い少ないはともかく、確実に欲しい人には確実に届いてもらう、ということはやんなきゃいけねぇぜ!というところですね。
- ハマコー:
- 同感です。『読者に良い情報を届けよう!』という気持ちを常に持ってもらいたいですね。
まとめ
という訳で、『DevelopersIO 著者のみんなに色々聞いてみた Advent Calendar 2021』21日目のエントリ、『読まれるブログを書くためのコツや秘訣をハマコーさん、鵜飼さんに色々インタビューしてみた』内容に関するインタビューの紹介でした。
明日22日目のエントリもお楽しみに!