ビデオプレイヤーの実装が楽になる!多機能ビデオプレイヤー “THEOplayer” を紹介してみる
こんにちは, 大前です.
突然ですが
皆さんはビデオプレイヤーを実装した経験ありますか?
近年は, HLS や DASH など HTTP ベースで動画をストリーム配信する方式が主流になっているかと思います.
例えば, HTML5 であれば Video.js を使って HLS を再生するビデオプレイヤーを実装する事ができます.
実際, 私も Video.js を使ってビデオプレイヤーを実装した事があります.
MediaServicesを使って勉強会のライブ配信をやってみた
ただ, 世の中に公開するサービスとしてビデオプレイヤーを実装する場合はどうでしょうか?
ローカルでのちょっとした技術検証であれば良いのですが, 一般ユーザに提供するサービスとしてビデオプレイヤーを実装する場合は, 動画を再生するだけではなく, 様々な機能が求められるケースが多いはずです.
- 広告を挿入したい
- マルチブラウザ, マルチデバイスへの対応
- DRM などによるコンテンツ保護の仕組み
- 字幕による多言語対応
- etc...
こういった要件を全て満たす高機能なプレイヤーを自前で開発するのは, それなりの工数が必要となってしまいます.
ですので, 世の中には上記の様なビデオプレイヤーの実装に関する課題を解決してくれる製品やサービスが存在します.
今回ご紹介する THEOplayer も, そういったサービスの1つとなります.
THEOPLAYER - UNIVERSAL VIDEO PLAYER
ビデオプレイヤー製品を使うと何が嬉しいのか
では, ビデオプレイヤー製品を使うと具体的にどんなメリットあるのでしょうか.
THEO 社が公開しているホワイトペーパー「Buy vs Build」では, 5つのポイントが挙げられています.
- Initial development
- Product Evolution
- Maintenance and Support
- Strategic Focus
- Total Cost of Ownership
1. Initial development
初期開発コストを抑える事が出来ます.
製品が提供している機能を使用する事により, 冒頭に述べた様な様々な要件をフルスクラッチする必要がなくなります.
2. Product Evolution
市場の変化に合わせてプレイヤーが提供する価値をアップデートし続ける事が出来ます.
身近な例をあげると, 最近は VR 動画や, 4K 映像といった様々なキーワードが新しく出てきていますよね.
自社でプレイヤーを開発している場合, こういった世の中の需要に対して常にプレイヤーの改良を続ける必要があります.
一方で, ビデオプレイヤー製品を使っている場合には, 製品側でこういった世の中の需要に対する機能の追加等を行ってくれます.
3. Maintenance and Support
プレイヤーの保守やサポートが不要になります.
また, ビデオプレイヤーはブラウザの更新に常に目を光らせる必要があります.
「Chrome アップデートしたら再生できなくなったんだけど!」とか言われないように常にメンテナンスし続ける必要があります.
2 と同じく, プレイヤーの保守を気にする事なく主となるサービスの価値向上に注力出来るようになります.
4. Strategic Focus
これは「企業が "プレイヤーそのもの" に価値を求めているのか?」を問うポイントです.
他にはない要件や機能を独自開発してプレイヤーに組み込むなど, プレイヤーそのものに価値を発生させる必要がある場合にはコストをかけてでも自社で開発する事になるかと思います.
一方で, プレイヤー自体に特殊な要件や価値が求められていないのであれば, ビデオプレイヤーは外部の製品を使ってサクッと実装してしまった方がもっとビジネス的に重要な部分にコストをかけられるようになります.
5. Total Cost of Ownership
製品やサービスを採用する事によって, ビデオプレイヤーに要するコストが安定し, かつ予測し易くなります.
自社開発を行った場合には, 市場の変化や障害など, 予期せぬコストが発生する可能性が高いです.
一方で, 製品やサービスであれば各ベンダ毎に決められた価格に基づいて毎月のコストが決定されるため, 毎月のコストを安定させる事ができます.
以上の 5つが自社開発するか, 製品を使うかを判断する際のポイントとして挙げられています.
実際には上記以外にも様々な事を考慮する必要があるかもしれませんが, まずは上記の様なポイントを抑えた上で製品導入の検討をしてみるのが良いのではないでしょうか.
THEOplayer の特徴
ようやく, ここから THEOplayer の話となります.
THEOplayer を実際に使ってみたブログはありますので, ここでは概要レベルで広く浅く THEOplayer の特徴を紹介します.
ユニバーサルビデオプレーヤーのTHEOplayer(ジオ・プレイヤー)を使ってみた
THEOplayerとは
WHAT IS THEOPLAYER?
The Video Playback Component (SDK’s) in the Video Player (Player SDK’s + App).
THEOplayer は, ビデオプレイヤーの実装に必要な要素を SDK として提供しているサービスです.
THEOplayer によって提供される SDK を自前の Web サイトやアプリケーションに組み込む事により, 多機能なビデオプレイヤーを手軽に実装する事が出来ます.
GUI ベースでの SDK の生成
THEOplayer には THEOportal という管理画面が提供されており, GUI ベースで必要な機能を設定する事で HTML やネイティブアプリに組み込むソースコードを作成する事が出来ます.
実際の手順や管理画面の雰囲気などは下記ブログに載っていますので, 興味ある方は見てください.
ユニバーサルビデオプレーヤーのTHEOplayer(ジオ・プレイヤー)を使ってみた
例えば, 下記では対応フォーマットを GUI 上で選択するだけで, SDK を含んだソースコードを生成してくれます.
また, THEOplayer にはデモ版があるので, とりあえず試してみる事も可能です.
下記の制限はありますが, 手元で動作を確認する程度の用途であれば十分ご利用頂けます.
- 対応する再生環境が HTML5/Android/iOS のみ
- 月 10000 インプレッションまで
デモ版は, 公式ページ 右上の「GET STARTED WITH THEOPLAYER」から取得ください.
対応フォーマット
ストリーミング形式としては MPEG-DASH と HLS に対応しています.
また, mp4 をプログレッシブダウンロードする事も可能です.
対応デバイスなど
Web (HTML5), Android, iOS, Chromecast, Android TV, tvOS など幅広いデバイスに対応しています.
また, ブラウザも Chrome, Firefox, Safari, IE, Opera 等に対応しています.
動画配信に関するエコシステムとの連携をサポート
分析や DRM, 広告など外部サービスとの連携が求められる機能についても, エコシステムとの連携機能が提供されています.
例えば, DRM であれば Fairplay との連携方法が THEOplayer にて提供されています.
AWS との連携
クラスメソッドの人間としては, 当然 AWS との組み合わせも気になるところですが, こちらも問題ありません.
実際, AWS の公式ブログで THEOplayer が紹介されているブログがあったりします.
THEO Technologies and AWS Bring Scalable Low-Latency Video to Streaming Devices
THEOplayer で再生するビデオソースとして, 従来通り AWS Elemental MediaStore や AWS Elemental MediaPackage, Amazon CloudFront といったエンドポイントを指定するだけで, AWS から受け取ったビデオストリームを THEOplayer で再生する事が可能です.
引用(https://www.elemental.com/resources/briefs/theo-technologies-aws-bring-scalable-low-latency-video-streaming-devices/)
Best Video Player Solution / SDK 2018 受賞
また, 2018年にはストリーミングメディア業界からの投票で決定される Best Video Player Solution / SDK を受賞しています.
THEOplayer awarded Best Video Player Solution / SDK 2018 by Streaming Media Readers
以上, 概要レベルではありますが, THEOplayer の紹介でした.
おわりに
多機能ビデオプレイヤー製品である THEOplayer を紹介してみました.
もしこれからフルスクラッチでビデオプレイヤーを構築しようとしているのであれば, 少し立ち止まってこういったサービスを探してみるのも良いのではないでしょうか?
以上, AWS 事業本部の大前でした.