iOSアプリ開発の気になる変更まとめ(2026/09/10)

iOSアプリ開発の気になる変更まとめ(2026/09/10)

iOS 27 RC / Xcode 27 RCのリリースノートをBeta 4から比較し、iPhone Duoの発表に伴う開発者向け変更もまとめた。MetricKitの破壊的変更、iPadリサイズ動作の変更、UIScreen.main移行の必須化など、GA前に押さえておきたい変更を整理した。
2026.09.11

日本時間2026年9月10日、iOS 27 RCとXcode 27 RCがリリースされた。RCはRelease Candidateの略で、大きな問題が見つからなければこのビルドがそのままGAとしてリリースされる。また同日、初の折りたたみiPhone「iPhone Duo」が発表された。

前回の記事ではBeta 4のリリースノートの注目点をまとめた。本記事ではそのBeta 4からRCまでの差分を比較するとともに、iPhone Duoの発表に伴う開発者向けの変更もまとめた。実機での動作確認はおこなっておらず、リリースノートおよび公式ドキュメントの記載内容に基づく。

Apple

Xcode 27 RC リリースノート

https://developer.apple.com/documentation/xcode-release-notes/xcode-27-release-notes

Xcode 27 RCの動作要件がmacOS Tahoe 26.6以上に引き上げられた。Beta 4時点ではmacOS Tahoe 26.4以上だったため、開発マシンのmacOSバージョンは事前に確認しておきたい。

Coding Intelligence関連では、Google Antigravityがコーディングアシスタントで利用可能になったほか、エージェントがwatchOS / tvOSアプリを実機操作込みで検証できるようになった。また、Xcodeワークスペースを開かなくても動作するxcrun mcp-serverのプレビューが公開されている。sudo xcrun mcp-server enableで有効化できる。

Previews周りではRenderPreview MCPツールのグループレンダリング対応、ローカライゼーション別プレビュー、未使用シミュレータの自動シャットダウンなど多くの改善が入った。Device Hubでも多数の既知の問題が修正されている。ただし、iOS 18.0より前のシミュレータへのキーボード・マウス入力が受け付けられない問題がKnown Issuesに追加されている点は注意が必要だ。[1]

そのほか、devicectlがJSON version 5に対応しhardwarePropertiesdevicePropertiesconnectionPropertiesが非推奨化された。これらをパースしているCIスクリプト等がある場合はproperties辞書への移行が必要になる。

iOS & iPadOS 27 RC リリースノート

https://developer.apple.com/documentation/ios-ipados-release-notes/ios-ipados-27-release-notes

iOS 27で刷新されたSwiftネイティブのMetricKit APIにおいて、破壊的変更がRC時点でも引き続き存在する。HitchTimeMetric.ratioSignpostIntervalMetric.hitchTimeRatioが新しいHitchTimeRatio型を返すようになり、scrollHitchTime(_:)ScrollHitchTimeMetric型はAPIから削除された。これらを参照しているアプリは最新SDKで再ビルドしないとクラッシュするため、最優先で確認しておきたい。

UIKitではiPad / iPhone Mirroring周りで大量の修正が入った。UISupportedInterfaceOrientationsに全4方向が含まれていなくても連続リサイズ可能として扱われるようになったほか、iPhone-onlyアプリのリサイズ後の挙動やレイアウト崩れなど、Beta 4時点のKnown Issuesのほとんどが解消された。iOS 27ではiPadのリサイズ動作が大幅に変更されているため、iPadアプリの動作確認は必須だ。

StoreKit周りもBeta 4時点で報告されていた問題の多くが修正された。TestFlightでの返金リクエスト・サブスク管理シートが表示されない問題やトランザクションが完了しない問題などが修正されている。ただしSKTestSessionでstorefrontやlocaleを変更してもStorefront.updatesに伝播しない既知の問題が新たに追加されている。

オンデバイスFoundation Modelsでのtool callingとguided generationの併用時にツールを過剰に呼び出す問題も修正された。この問題はBeta 5 / Xcode 27 Beta 5の組み合わせで発生しており、筆者の環境ではFoundation Modelsの検証が完全にストップしていたため、RCで修正されたのはありがたい。

そのほか既存アプリへの影響がありそうな変更として、PHAssetResourceoriginalFilenameプロパティが非推奨化され新しいnullableなfilenameプロパティが追加された。またvolumeAvailableCapacityKeyがブロックカウントレベルで有効数字3桁に切り捨てられるようになったため、空き容量を表示・判定しているアプリは取得値の精度が変わる点に留意しておきたい。

iPhone Duo の発表と開発者向け変更

https://www.apple.com/newsroom/2026/09/apple-unveils-iphone-duo/

iPhone Duoはインナー7.6インチ / アウター5.4インチの2画面を持ち、A20 Proチップを搭載する。iOS 27.1搭載で10月23日発売、米国価格は1,999ドル(日本価格は36万4800円)から。

開発者向けには同日、Get ready for iPhone Duoとして6本のTech Talk動画とHIG「Designing for iPhone Duo」が公開された。対応の前提はiOS 27.1 SDK / Xcode 27.1となるが、これらは本記事執筆時点ではまだ公開されておらず、公開時期もアナウンスされていない。今回のiOS 27.0 RC / Xcode 27 RCだけではiPhone Duo向けの開発は始められないため、Xcode 27.1 betaの公開を待つ必要がある。

既存アプリへの影響が大きいのは、iPhoneとして初めてSplit Viewマルチタスクに対応する点だ。アプリは自由にリサイズ可能な設計が求められる。また、インナーディスプレイはorientation(デバイスの向き)を尊重しないため、orientation依存のレイアウト判断はsize classへの移行が必要になる。インナーはiPadに近いregular / regularのサイズクラスとなるため、compact幅(アウター向け)とregular幅(インナー向け)の2レイアウトであらゆるポーズに対応する設計が推奨されている。

UIScreen.mainはiOS 16で非推奨となっていたが、単一ディスプレイのiPhoneでは実害がなかったため対応が後回しにされがちだった。iPhone Duoの2画面構成ではどちらのディスプレイを指すか曖昧になるため、window sceneからの動的取得への移行が実質的に必須となる。標準のナビゲーションコンテナ(NavigationSplitView、TabView等)を使っていればツールバーの縦バー配置に自動で適応するが、カスタムバーは考慮されない。safe areaは非対称になりうるため、左右を独立して扱う必要がある。

iOS 27.1 SDKでは折り目やカメラ周辺の予約領域を取得するreservedRegions API、2ビューのレイアウトコンテナArrangementView / UIArrangementViewController、ヒンジ状態を検知するonHingeChange / UIHingeInteractionなどの新APIが追加される。なお、これらのAPI名はTech Talk動画およびベータ段階の情報に基づくため、正式リリース時に変更される可能性がある点には留意してほしい。

対応の第一歩として、Xcode 27.1で再ビルドしDevice Hubのシミュレータで開く / 閉じる / 回転 / 折りたたみの各ポーズを検証することが推奨されている。

App Store Connect のアップデート

https://developer.apple.com/help/app-store-connect/release-notes/

Xcode 27 RCでビルドしたアプリをApp Storeおよび TestFlight(内部・外部テスト)にアップロードできるようになった。対応SDKはiOS 27.0 RC、iPadOS 27.0 RC、macOS 27.0 RC、tvOS 27.0 RC、visionOS 27.0 RC、watchOS 27.0 RCだ。GAリリースに向けた最終検証やTestFlight配信を進めたい場合は、RC SDKでビルドしたバイナリを提出できる。

ただし、本記事執筆時点ではXcode CloudにXcode 27 RCがまだ展開されていないため、Xcode Cloud経由ではアップロードできない状態だ。

アプリ保守で対応を検討したい変更

ここまでの内容から、既存アプリのコードやスクリプトに影響しそうな変更を整理する。

  • MetricKitのScrollHitchTimeMetricscrollHitchTime(_:)を参照しているアプリは最新SDKで再ビルドしないとクラッシュする。HitchTimeMetric.ratioも型が変更されているため再コンパイルが必要
  • iPadのリサイズ動作がiOS 27で大幅に変更された。UISupportedInterfaceOrientationsの設定によっては挙動が変わるため、iPadアプリは動作確認が必須
  • iPhone DuoのSplit View対応により、iPhoneアプリにもリサイズ対応が求められる。orientation依存のレイアウトはsize classへの移行が必要
  • UIScreen.mainはiOS 16で非推奨となっていたが、iPhone Duoの2画面構成により実質的に移行が必須となる。window sceneからの動的取得に切り替えておきたい
  • PHAssetResource.originalFilenameが非推奨化された。新しいfilenameプロパティへの移行を検討したい
  • volumeAvailableCapacityKeyの返す値がブロックカウントレベルで有効数字3桁に切り捨てられるようになった。空き容量の表示や判定をしているアプリは影響を受ける
  • devicectlのJSON version 5でhardwarePropertiesdevicePropertiesconnectionPropertiesが非推奨化された。パースしているスクリプトはproperties辞書への移行が必要
  • Xcodeの動作要件がmacOS Tahoe 26.6以上に引き上げられた

まとめ

今回はiOS 27 RC / Xcode 27 RCのリリースノートをBeta 4から比較するとともに、iPhone Duoの発表に伴う開発者向け変更をまとめた。

RC部分は全体としてBeta期間中の既知の問題が大量に修正された安定化リリースという印象で、特にStoreKit・UIKit iPad/iPhone Mirroring・Device Hub周りの修正が目立った。

iPhone Duoについては、iPhoneとして初のSplit View対応やorientation非依存のレイアウト、UIScreen.main移行の実質的な必須化など、既存のiPhoneアプリの設計前提を見直す必要がある変更が含まれている。iOS 27.1 SDK / Xcode 27.1が公開されたら、まずはシミュレータで自分のアプリの動作を確認するところから始めたい。

振り返ると、iOS 26でのリキッドグラスデザインへの移行、iOS 27でのリキッドグラスデザインの全アプリ強制適用、そしてiPhone Duoでの縦バーやSplit Viewといった新しいUIスタイルと、ここ数世代でUIの変化が加速している。NavigationSplitViewやTabViewなど標準のUIコンポーネントを使っていれば自動で適応してくれるため比較的楽だが、UIをカスタマイズしているアプリほど対応コストが大きくなりそうだ。標準コンポーネントへの寄せどころを改めて検討する良いタイミングかもしれない。

筆者は個人開発のアプリを何本か公開しているため、次はそれぞれのアプリをXcode 27 RCで実際にビルドしてみて、どのような問題が発生するのかをまとめたいと考えている。

求人情報: クラスメソッドでは iOSエンジニアを募集しています

スターバックスデジタルテクノロジー部では、iOSアプリ開発のできるエンジニアを募集しています。misc-ios チャンネルで、新しいXcodeやiOSの機能についてあれこれ共有しながら一緒に働いてくれる方の応募をお待ちしております!

https://careers.classmethod.jp/requirements/sbj-nativeapp-ios/

その他の領域でもiOS/Androidエンジニアを募集しています。一緒にモバイルアプリ開発についてお話ししましょう!

https://careers.classmethod.jp/requirements/category/development/

脚注
  1. 個人開発のアプリではRevenueCat SDKに依存しており、RevenueCat SDKはiOS 18シミュレータでサブスクリプションアイテムの取得に失敗する不具合があり、動作確認の対象から外しており、私個人としては困らない問題だ ↩︎

この記事をシェアする

関連記事