サービスクォータの新機能「Kiro の超過利用上限」を CLI で確認、変更してみた

サービスクォータの新機能「Kiro の超過利用上限」を CLI で確認、変更してみた

Kiro のエンタープライズ(IAM Identity Center経由)利用時、AWS Service Quotas で超過利用(overage)の上限が自動設定されるようになりました。CLI でのクォータ確認・引き上げリクエストの実行手順と、アカウントごとに異なる上限値の実態、上限到達時の2つの対処法を整理します。
2026.07.13

はじめに

2026年7月2日、Kiro の超過利用に上限を設定できる機能と、個人向けのクレジット前払い機能が発表されました。エンタープライズ(IAM Identity Center / 外部 IdP 経由)の場合、超過利用(overage)の上限を AWS Service Quotas で管理できます。

https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/cap-prepay-overage/

エンタープライズ契約の Kiro の超過料金は、管理者が overage を有効化している場合、プラン付帯クレジット超過分に対して発生し($0.04/credit)、その累積が Service Quotas の上限に達すると Kiro の利用が制限されるようになりました。

本記事では、Service Quotas に追加された Kiro のクォータを AWS CLI で確認し、引き上げリクエストの実行と引き下げ時の挙動を検証しました。あわせて、複数アカウントでの上限値の違いと、Cost Explorer 上で overage がどの Usage Type に対応するかも確認しています。

https://kiro.dev/blog/cap-prepay-overage/

検証内容

検証環境

項目 内容
実行環境 Kiro CLI(kiro-cli chat)内から AWS CLI を実行
リージョン us-east-1
認証 IAM Identity Center 経由の AssumeRole
確認アカウント 管理アカウント2つ、メンバーアカウント1つ
対象クォータ L-75434B0B

Kiro のクォータ詳細を確認する

Kiro のクォータ詳細を取得します。--query で対象クォータの主要属性だけを絞り込みました。

aws service-quotas list-service-quotas \
  --region us-east-1 \
  --service-code kiro \
  --query "Quotas[?QuotaCode=='L-75434B0B'].{ServiceCode:ServiceCode,QuotaCode:QuotaCode,QuotaName:QuotaName,Value:Value,Adjustable:Adjustable,Description:Description,QuotaAppliedAtLevel:QuotaAppliedAtLevel}"
[
  {
    "ServiceCode": "kiro",
    "QuotaCode": "L-75434B0B",
    "QuotaName": "Maximum allowed overage per Kiro profile",
    "Value": 400.0,
    "Adjustable": true,
    "Description": "Maximum overage amount (in USD) that any subscription (user and group) in a Kiro profile can incur",
    "QuotaAppliedAtLevel": "ACCOUNT"
  }
]
項目
ServiceCode kiro
QuotaCode L-75434B0B
QuotaName Maximum allowed overage per Kiro profile
Description Maximum overage amount (in USD) that any subscription (user and group) in a Kiro profile can incur
Adjustable true
QuotaAppliedAtLevel ACCOUNT

Adjustabletrue のため、引き上げリクエストを実行できます。QuotaAppliedAtLevelACCOUNT のため、アカウントごとに異なる値が設定されている可能性があります。

複数アカウントで上限値を比較する

同じコマンドを3つのアカウントで実行し、クォータ値を比較しました。

アカウント種別 クォータ値
管理アカウント A $400
メンバーアカウント $400
管理アカウント B(別 Organization) $100

公式ブログには「上限の最大値は、アカウントの利用履歴や状態に応じて自動的に調整されます」と記載されており、実際にアカウントによって $400 と $100 の差がありました。

管理アカウント B は1ユーザー分の Pro サブスクリプション(月額 $20)のみで数ヶ月利用していた環境で、overage の発生実績はありませんでした。利用実績が乏しいために低い値が設定されているものと思われます。

引き上げリクエストを実行する

上限に達した場合の対処として、request-service-quota-increase で上限を $400 から $420 に引き上げるリクエストを実行しました。

aws service-quotas request-service-quota-increase \
  --region us-east-1 \
  --service-code kiro \
  --quota-code L-75434B0B \
  --desired-value 420

レスポンスには RequestedQuota オブジェクトが返り、StatusPENDING でした。

出力(一部マスク)
{
  "RequestedQuota": {
    "Id": "<request-id>",
    "ServiceCode": "kiro",
    "ServiceName": "Kiro",
    "QuotaCode": "L-75434B0B",
    "QuotaName": "Maximum allowed overage per Kiro profile",
    "DesiredValue": 420.0,
    "Status": "PENDING",
    "Created": "<created-timestamp>",
    "LastUpdated": "<last-updated-timestamp>",
    "Requester": "<masked>",
    "QuotaArn": "arn:aws:servicequotas:us-east-1:XXXXXXXXXXXX:kiro/L-75434B0B"
  }
}

約13分後に get-requested-service-quota-change でステータスを確認したところ、APPROVED に変わっていました。

引き下げの扱いを確認する

同じ API で現在値より低い値($350)を指定して引き下げを試みました。

aws service-quotas request-service-quota-increase \
  --region us-east-1 \
  --service-code kiro \
  --quota-code L-75434B0B \
  --desired-value 350

結果は IllegalArgumentException でした。

An error occurred (IllegalArgumentException) when calling the RequestServiceQuotaIncrease operation: You must provide a quota value greater than the current quota value

現在値より小さい値はこの API では受け付けられません。引き下げが必要な場合は AWS Support ケースで依頼する必要があります。

Cost Explorer で overage の Usage Type を確認する

Service Quotas の上限対象となる overage が、Cost Explorer 上でどの明細に対応するかを確認しました。6月の Kiro コストを Usage Type と Record Type で分解します。

aws ce get-cost-and-usage \
  --region us-east-1 \
  --time-period Start=2026-06-01,End=2026-07-01 \
  --granularity MONTHLY \
  --metrics UnblendedCost \
  --group-by Type=DIMENSION,Key=USAGE_TYPE Type=DIMENSION,Key=RECORD_TYPE \
  --filter '{"Dimensions":{"Key":"SERVICE","Values":["Kiro"]}}'

出力の Groups に含まれる ["USE1-KiroEnterprise-Credits", "Usage"] が overage に対応する行です。今回の検証環境(us-east-1)では、overage は Cost Explorer 上でこの Usage Type と Record Type の組み合わせで確認できました。Cost Explorer で overage を監視する場合は、自アカウントの明細で同じ組み合わせが出ているか確認したうえでフィルタします。サブスクリプション料金(FlatRateSubscription)は Service Quotas の上限対象ではありません。

まとめ

Service Quotas による overage 上限は、Kiro の従量課金が青天井に膨れるリスクへの安全弁です。特に Web やヘッドレスの /goal 指定で長時間タスクを任せる使い方では、気づかないうちにクレジットが消費され続ける可能性があるため、上限が設定されている安心感は大きいです。

上限に達して Kiro が使えなくなった場合の対処法は、月途中のプラン変更で付帯クレジットを増やす方法と、Service Quotas の引き上げリクエストを出す方法の2つです。overage が常態化しているなら、月途中でも上位プランへの変更をご検討ください。

https://dev.classmethod.jp/articles/kiro-pro-max-breakeven-update/

https://dev.classmethod.jp/articles/kiro-cost-optimization-month-end/

参考リンク

https://kiro.dev/pricing/

https://docs.aws.amazon.com/servicequotas/latest/userguide/request-quota-increase.html


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