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EC2のインスタンスタイプには、どんな種類があるのだろう
こんにちは!Koty-Mousa 矢坂幸太郎です!
本日は、EC2のインスタンスタイプについて見てみましょう!
結論:検証してみましょう!
いきなりですが、適切なインスタンスタイプを選択するには、動作するアプリケーションや運用方法など、多くの要因があります。
複数のインスタンスに分散するか、1つのインスタンスで動作させるか、オートスケーリングを設定するか、など 構成によっても適切なインスタンスタイプは異なります。
インスタンスタイプは 起動後も変更することができます。
(一旦インスタンスを停止する必要があります)
そのため、「実際に検証してみる」 ことを強くおすすめします。
お客様ご自身の環境で実際に測定していただくことが、適切な指標になりうると考えております。実測したい環境を容易に複製し、破棄できるのがクラウドのメリットです。ご活用ください。
技術的なお問い合わせに関するガイドライン | AWS サポート
前提として、所属する企業様の運用要件、ワークロードにより、どの様な EC2 インスタンスタイプが適しているか一概に言えないため回答は困難です。
適切な EC2 インスタンスタイプの選択方法を教えてください | DevelopersIO
インスタンスタイプ の 読み方
とは言っても、インスタンスタイプは種類が非常に多いため、まずどこから選べば良いか難しいですよね。
まずは、インスタンスタイプの読み方を確認しましょう
インスタンスタイプは「c5a.large」「t3.micro」「m6g.xlarge」のような形式の表記です。
最初の文字は "シリーズ"、どのような特徴を持っているかを表します。
「メモリが多い」「GPU搭載」「ストレージが高速」など、さまざまな用途に適した "シリーズ" が用意されています。
中間の数字は、世代 を表します。
数字が大きい方が 新しいです(t2は古く、t3が新しい)
基本的に、世代が新しいと安価になります。
特別な理由がなければ、新しい世代の利用をおすすめします。
数字の後に 文字がある場合、これは "オプション" です。
プロセッサの種類(Intel / AMD / Graviton)や、追加の機能などを表しています。
ここまでの、「.」より前の部分を インスタンスファミリー と呼びます。
後ろの部分は、インスタンスサイズを表します。
nano → micro → small → medium → large → xlarge → 2xlarge → 3xlarge → ... の順に大きくなります。
(インスタンスファミリーによって、利用可能なサイズは異なります)
参考:Amazon EC2 インスタンスタイプの命名規則 - Amazon EC2
インスタンスファミリー
では、具体的にどんなインスタンスファミリーがあるか見てみましょう!
実際には 数多くのシリーズがありますが、ここではKotyが選んだ代表的なものを紹介します。
また、参考のために、large サイズの vCPU数・メモリ(GiB)・東京リージョンでのオンデマンド Linux 料金 を記載しています。
M系(汎用)
バランスが取れた、汎用的なインスタンスです。
まずはこのタイプを試して、問題点があれば変更するというやり方も良いかもしれません。
タイプ | vCPU | メモリ | 東京リージョン Linux 料金 |
---|---|---|---|
m7i.large | 2 | 8 | 0.1302 USD 1 時間あたり |
m7a.large | 2 | 8 | 0.14973 USD 1 時間あたり |
m7g.large | 2 | 8 | 0.1054 USD 1 時間あたり |
「m7i」など、オプション「i」は Intel プロセッサー、
「m7a」など、オプション「a」は AMD プロセッサー、
「m7g」など、オプション「g」は Graviton プロセッサーを搭載しています。
※ Graviton は arm系 のプロセッサーです。ご利用の際はアプリケーションの互換性をご確認ください。
C系(コンピューティング最適化)
CPUの性能が重要であり、大きなメモリが不要なソフトウェアの場合、C系のコストパフォーマンスが有用な場合があります。
M系と比較すると メモリが少ないですが、その分料金はお安くなっています。
タイプ | vCPU | メモリ | 東京リージョン Linux 料金 |
---|---|---|---|
c7i.large | 2 | 4 | 0.11235 USD 1 時間あたり |
c7a.large | 2 | 4 | 0.1292 USD 1 時間あたり |
c7g.large | 2 | 4 | 0.091 USD 1 時間あたり |
R系(メモリ)
大きなメモリが必要な場合、R系のインスタンスが利用できます。
タイプ | vCPU | メモリ (GiB) | 東京リージョン Linux 料金 |
---|---|---|---|
r7i.large | 2 | 16 | 0.1596 USD 1 時間あたり |
r7a.large | 2 | 16 | 0.18354 USD 1 時間あたり |
r7g.large | 2 | 16 | 0.1292 USD 1 時間あたり |
T系(バースト可能)
T系は、少々特殊な仕組みを持っています。
M・C・R が「定常パフォーマンス」と呼ばれるのに対し、T系は「バーストパフォーマンス」と呼ばれています。
T系インスタンスには、「CPUクレジット」という概念があります。
これは、あらかじめ決められたCPU使用率(ベースライン:t3.large では 30%)を超えて利用(=バースト)すると消費され、下回ると蓄積されるものです。
24 時間 ベースラインを下回ると、クレジットは完全に蓄積されます。
ベースラインは、下記をご確認ください
Amazon EC2 T3 インスタンス | AWS
クレジットを使い切った場合の動作は、次の2つがあります
-
Unlimited モード(t3 ではデフォルト)
蓄積されたクレジットが切れると、"余剰クレジット" の消費が始まります。
(一時的にクレジットを"借りる"感じです)
ベースラインを下回ると、まずは "余剰クレジット" の返済が始まります。
24時間 平均して、CPU利用率がベースラインを下回っていれば、追加料金は発生しません。
ベースラインを上回っている場合は、vCPU 時間あたり 0.05 USD(Linux)が課金されます。 -
標準モード
クレジットが切れた場合、利用可能な CPU利用率 が徐々に下がり、バーストができなくなります。
ベースラインを下回り、クレジットを蓄積すると、再度バーストできるようになります。
P系 / G系(GPU)
P系・G系のインスタンスは、GPU を搭載しているインスタンスです。
P系は機械学習や生成AI等、G系はグラフィック系の処理をはじめとした、様々なハイパフォーマンスな用途に利用できます。
このタイプは、その用途から大きなサイズのタイプが用意されています。
タイプ | vCPU | メモリ (GiB) | 東京リージョン Linux 料金 | 利用可能なAZ ID |
---|---|---|---|---|
p5.48xlarge | 192 | 2048 | 123.19496 USD 1 時間あたり | apne1-az1, apne1-az4 |
タイプ | vCPU | メモリ (GiB) | 東京リージョン Linux 料金 | 利用可能なAZ ID |
---|---|---|---|---|
g6.xlarge | 4 | 16 | 1.1672 USD 1 時間あたり | apne1-az1, apne1-az4 |
インスタンスタイプ、適切に選ぼう!
今回は、インスタンスサイズを固定して紹介しましたが、実際には多くの種類があります。
ここで紹介したインスタンスタイプはほんのごく一部です。
適切なインスタンスタイプを選択することは、無駄な料金の発生を抑え、コストパフォーマンスを高めることができます。
繰り返しですが、インスタンスタイプは起動後に変更することができます。
すでに起動しているインスタンスも、今一度タイプが適切か 確認すると良いかもしれません。
以上、Koty-Mousa 矢坂幸太郎 がお伝えしました!
参考:
インスタンスタイプ - Amazon EC2 | AWS
Amazon EC2 インスタンスタイプの命名規則 - Amazon EC2
Amazon EC2 T3 インスタンス | AWS
AWSコンソール EC2 インスタンスタイプ
バーストパフォーマンス(T系)インスタンスの特徴を理解して上手に利用しよう | AWS Startup ブログ
バーストインスタンスの無制限モードの概念 - Amazon Elastic Compute Cloud
オンデマンドインスタンスの料金 - Amazon EC2 (仮想サーバー) | AWS
バーストパフォーマンスインスタンスの Unlimited モード - Amazon Elastic Compute Cloud
バーストパフォーマンスインスタンスに関する主要な概念 - Amazon Elastic Compute Cloud
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