【入門】Slack のコマンドを作ってみよう!(同期実行版)
皆さん、Slack コマンドを作ったことはありますか?つい先日、Slack コマンドを作る機会があったのですが、Serverless Framework を利用することで、割と簡単に Slack コマンドを作成することが出来たので、備忘録として共有させていただきます。この冬休み(余暇)を利用して、Slack コマンドを作ってみてはいかがでしょうか?
その前に、「Slack コマンドってそもそも何なの?」という方に向けて簡単にご紹介しておきます。
Slack コマンドって何?
ビジネス向けのチャットツールとして知名度の高い Slack というチャットツールの中でメッセージ作成ボックスから文字列を入力することにより、アプリケーションを呼び出すことができる機能です。
アプリケーションを作成しなくとも、標準で Slack が用意しているコマンドが最初から利用できます。(ビルトインのスラッシュコマンドと呼ばれます)例えば、、、
- /mute チャンネルをミュートする
- /search [任意のテキスト] Slack のメッセージやファイルを検索する
- /status ステータスを削除、または新しく設定する
などのコマンドが用意されており、他にも公式ページで紹介されています。
それでは、実際に作っていきましょう。
Slack コマンド作ってみた
本記事のタイトルにもあるとおり、入門編として一番簡単なパターンで実装していきます。 なお、筆者の環境は以下のとおりです。
$ sw_vers ProductName: Mac OS X ProductVersion: 10.15.2 BuildVersion: 19C57 $ sls --version Framework Core: 1.58.0 Plugin: 3.2.5 SDK: 2.2.1 Components Core: 1.1.2 Components CLI: 1.4.0 $ pipenv --version pipenv, version 2018.11.26 $ aws --version aws-cli/1.16.263 Python/3.7.4 Darwin/19.2.0 botocore/1.12.253
まずは、下記のリンクから Slack アプリを作成します。
表示されたウィンドウ内の App Name にアプリケーション名を、Development Slack Workspace に、このアプリケーションを利用する Slack のワークスペースを選択します。
定番ネタではありますが、Hello World アプリを作成します。Create App ボタンをクリックしましょう。
アプリケーションが作成されたら、Basic Information 画面が表示されます。まずはじめに必要な情報として、App Credentials の Signing Secret を取得します。少し下にスクロールしてください。
Signing Secret の横に設置された Show ボタンをクリックして、シークレット情報をコピーしておいてください。取得したシークレットは、Lambda から利用するために AWS Secrets Manager に保存します。利用している PC のターミナルを開いて、AWS CLI でシークレットを作成します。(acbde... となってる部分を、取得したシークレット情報に置き換えてください)
$ cat <<EOF > secret.json { "key": "abcdefghijklmnopqrstu123456789" } EOF $ aws secretsmanager create-secret \ --region ap-northeast-1 \ --name slack/secret \ --secret-string file://secret.json { "ARN": "arn:aws:secretsmanager:ap-northeast-1:012345678901:secret:slack/secret-QF4hfm", "Name": "slack/secret", "VersionId": "8612e5ec-c620-4d4c-9249-xxxxxxxxxxxx" } $ rm -f secret.json
次に Slack コマンドからのリクエストを受け取る API Gateway と Lambda を作成していきます。必要なファイルは以下の2つだけです。GitHub に Push しておきましたので、clone してご利用ください。
$ git clone https://github.com/yuji-shimoda/hello-slack-command.git
- handler.py
import os import json import boto3 import hmac import hashlib import datetime from urllib import parse import logging logger = logging.getLogger(__name__) logger.setLevel(logging.INFO) TOKYO = 'ap-northeast-1' # Get credentials secret_name = os.environ['SLACK_API_SIGNING_SECRET'] secretsmanager = boto3.client('secretsmanager', region_name=TOKYO) resp = secretsmanager.get_secret_value(SecretId=secret_name) secret = json.loads(resp['SecretString']) def verify(headers, body): try: signature = headers["X-Slack-Signature"] request_ts = int(headers["X-Slack-Request-Timestamp"]) now_ts = int(datetime.datetime.now().timestamp()) message = "v0:{}:{}".format(headers["X-Slack-Request-Timestamp"], body) expected = "v0={}".format(hmac.new( bytes(secret['key'], 'UTF-8'), bytes(message, 'UTF-8'), hashlib.sha256).hexdigest()) except Exception: return False else: if (abs(request_ts - now_ts) > (60 * 5) or not hmac.compare_digest(expected, signature)): return False return True def request(event, context): if verify(event['headers'], event['body']): text = parse.parse_qs(event['body'])['text'][0] payload = { "text": 'Hello' + text, } response = { "statusCode": 200, "body": json.dumps(payload) } return response else: logger.info("Error: verify request") return {"statusCode": 400}
- serverless.yml
service: hello provider: name: aws runtime: python3.7 stage: ${opt:stage, 'dev'} region: ${opt:region, 'ap-northeast-1'} timeout: 30 memorySize: 512 iamRoleStatements: - Effect: "Allow" Action: - "secretsmanager:GetSecretValue" Resource: - "*" plugins: - serverless-python-requirements functions: hello: handler: handler.request environment: SLACK_API_SIGNING_SECRET: slack/secret events: - http: path: '/' method: post custom: pythonRequirements: usePipenv: true
あとは、serverless-python-requirements プラグインや boto3 等の必要なライブラリをインストールしデプロイするだけです。
$ npm install -g serverless $ brew install pipenv $ sls plugin install -n serverless-python-requirements $ pipenv install boto3 $ sls deploy : Serverless: Stack update finished... Service Information service: hello stage: dev region: ap-northeast-1 stack: hello-dev resources: 10 api keys: None endpoints: POST - https://xxxxxxxxxx.execute-api.ap-northeast-1.amazonaws.com/dev/ functions: hello: hello-dev-hello
Serverless Framework により、API Gateway と Lambda が作成されました。POST - の後にある URL(https://xxxxxxxxxx.execute-api.ap-northeast-1.amazonaws.com/dev/)が API Gateway のエンドポイントになります。Slack アプリ側で設定を行うためメモしておきましょう。
再度、Slack アプリ側の設定ページに戻り Slack コマンドを作成していきます。
Slash Commands をクリックします。
Create New Command ボタンをクリックします。
必須項目を埋めていきましょう。
項目 | 入力値 |
---|---|
Command | コマンド名 |
Request URL | API Gateway のエンドポイント |
Short Description | コマンドの簡単な説明 |
パラメータ入力後は、実際の利用イメージとしてプレビュー画面が更新表示されます。
Save ボタンをクリックしたら Slack コマンドの準備は完了です。 最後に Slack アプリをワークスペース内で有効化することで、コマンドが使用可能になります。
左袖メニューの「Install App」から、「Install App to Workspace」ボタンをクリックして、権限のリクエストを許可してあげてください。
Slack のメッセージ作成ボックスから /hello と入力してみましょう。
Slack コマンドにテキストを入力してみます。
送信ボタンを押すと
"Hello" + 入力した文字列の応答が返ってきました。(半角スペースを入れるのを忘れてますが、、、(笑)
さいごに
こちらのソースコードをベースに Slack コマンドから何らかの入力値を受け取り、希望する処理を行うことも可能です。(先日、下記のようなコードを利用して雑に EC2 インスタンスを起動する Slack コマンドを試してみました。
if verify(event['headers'], event['body']): instance_id = parse.parse_qs(event['body'])['text'][0] try: ec2 = boto3.client('ec2', region_name=TOKYO) ec2.start_instances( InstanceIds=[instance_id] ) except Exception as e: logger.exception("ec2 start_instances {}".format(e)) else: payload = { "text": 'EC2 を起動しました、しばらくお待ち下さい', } response = { "statusCode": 200, "body": json.dumps(payload) } return response
Slack のスラッシュコマンドの仕様上、3秒 以内に処理を完了し Slack コマンドへレスポンスを返却する必要があります。ただし、外部の API を叩いたり、複雑な仕事をさせなければ 3秒以内に処理を終えレスポンスを返却することは可能かと思われます。標準のアプリアイコンでは素っ気ないので、 Slack アプリアイコンを設定したり、Python コードを修正して何らかの処理を追加する等、自分なりの Slack コマンドを育ててみてはいかがでしょうか? もし、3秒以上掛かる処理を実行したい!(非同期実行版のブログ期待している)という方がおられましたら、次回策をご期待いただけますと幸いです。ではでは