[レポート]マネーフォワードが実践する「SSOT」とデータの民主化に向けた取り組み #Looker #BEACONJapan

複数ドメインでサービスを展開するマネーフォワードにおいて、会計数字と現場のKPIを連動させながら管理することは簡単ではありません。その両方を単一のデータ基盤から安心して集計できるようにするという考え方 “Single Source Of Truth(通称SSOT)”を実現するにあたり、起こり得る課題とその解決に向けた取り組みをお話しします。
2021.06.28

この記事は、2021年6月22~23日開催の Looker BEACON 2021: Japan のオンラインセッション『マネーフォワードが実践する「SSOT」とデータの民主化に向けた取り組み』に関するセッションレポートです。

セッション概要

複数ドメインでサービスを展開するマネーフォワードにおいて、会計数字と現場のKPIを連動させながら管理することは簡単ではありません。その両方を単一のデータ基盤から安心して集計できるようにするという考え方 “Single Source Of Truth(通称SSOT)”を実現するにあたり、起こり得る課題とその解決に向けた取り組みをお話しします。

登壇者

株式会社マネーフォワード
分析推進室
佐々木 江亜 氏

Twitter(@0610Esa)でLookerの相談にも乗ってくださるそうです!

導入

会社概要

法人向け、個人向け、金融機関向けの多数の事業を展開しています。

分析推進室

ミッション

「データ分析を通じたコミュニケーションの円滑化」を目指し、ハードとソフトの両面からデータを民主化する。

データの民主化とは?
- 意思決定する人がハードルなくデータにアクセスできる状態を継続的に実現していること

ハードとは?
- 必要なデータを集めて溜めて集計する環境:データ分析基盤
- 集計結果にアクセスできる環境:分析環境

ソフトとは?
- 社員が意思決定の際にデータを利用する文化を作る

分析基盤

分析推進室が整備した、暗号化済の分析基盤:

マネーフォワード社が多数展開している事業のプロダクトから集められるデータや、Google Analytics、SalesforceからのデータをBigQueryに集約し、集約したデータをビジネスメンバーが利用しやすいように変換して提供しています。

課題

売り上げやKPIのの管理方法が乱立してしまう

複数の事業ドメインで複数のサービスを展開している社内では、サービスの提供方法が増えるにつれ、売り上げやKPIの管理方法も増えてしまいます。

売り上げ管理方法が増えることによるリスク

販売方法が異なると請求方法も異なり、そこに人的ミスが発生するリスクもあります。

意思決定主体(部署)が増えることによるリスク

部署ごとに異なる定義で売り上げを出しており、経営層がどの数字を信頼すればいいのかがわからなくなります。もしくは、異なる定義で出された売り上げをもとに下した判断が誤っている可能性もあり得ます。

会計数字と管理会計KPIを連動させる仕組みと組織を作る

管理会計とKPIマネジメントを連動している状態

経営KGIを分解すると現場のKPIになっている状態が理想です。

管理会計とKPIマネジメントにあった組織にする

加えて、各メンバーの目標達成の積み重ねが部署の目標達成になり、各部署の目標達成が経営レベルでの売り上げ目標の達成につながる状態が望ましいです。

以上のことを実現するために、会計数字とKPIが同じ場所から抽出できるデータ統合基盤(SSOT)が重要です。

マネーフォワード社が定義するSingle Source of Truth(SSOT)

Single Source
- 必要なデータが重複・散在せずに一箇所にまとまっている
- 会計数字の集計定義も、分析に使われるデータの定義も統一されている

上記により、データの保守と活用両面のコストが下がり、分析の質と量が改善します。

Truth
- データとその集計定義が正確に保管されている
- 生データに欠損や誤りがない
- 加工された分析用のデータテーブルもレビュー体制やロジックの透明性を上げることで品質が担保されている

一箇所にデータが集まっていても、データ自体やその集計結果が間違っていては意味がないため、Truthの状態を保持することが重要です。

マネーフォワード社が実践するSSOTにはLookerが最適である理由

(1) データ抽出は一切なし

Lookerはデータを保持せず(データベースからデータを抽出してLookerで可視化をするのではい)、Lookerをデータベースに直接接続をしてダッシュボードが開かれるたびにクエリがデータベースに投げられるため、常に最新のデータを見ることができます。

これにより、古いデータを見て意思決定をしてしまうことや、月末日の一日分が欠けていた数字を見ていたということが起こらなくなりました。

(2) LookMLでロジックの一元管理

LookMLというSQLを抽象化した言語でコードベースでデータを集計するため、厳密かつ高い再利用性を持って運用することができます。

これにより、「売り上げ」の定義をLookML側で一元管理できるため、ビジネス側では統一された「売り上げ」を扱うことができます。

(3) 様々な業務ツールと連携 組織横断でのコラボレーション

LookMLはGitHubと連携することが前提となっているため、バージョン管理を意識することなく運用ができます。

また、LookMLの開発者が増えてもレビューを必須にすることができるため、各部署で違った定義がなされている場合にも、SSOTを推進する分析推進室がレビューを行うことで、同じ指標に異なる定義がされてしまうことを防ぐことができます。

KPIマネジメント/管理会計事例紹介

その1

経営層、事業部、各施策の別にダッシュボードを作り、内容の粒度をだんだんと細かくしていくことで、例えば経営層から出てくる売り上げ未達の原因を事業部が明確に説明することができ、各施策でもどの施策を改善すればいいのかがわかるようにしています。

これにより、経営層−事業部、事業部−各施策のコミュニケーションコストが激減しました。

その2

MoneyForwardクラウド会計Plusを自社でも導入しており、その情報をBigQueryに入れてSQLで作業ができる環境を整えることで、今まで発生していた手作業による人的ミスを防げるようになりました。

さらに、頻繁に発生する集計をLookerでダッシュボード化しておくことで、毎回集計する手間を省けるようになりました。

また、各事業部で把握している費用と経理部で把握している費用に差異が生じた場合でも、ダッシュボードを確認したりSQLを書くことで簡単に確認ができるようになり、効率化につながりました。

その3

事業部別のダッシュボードで担当者別/顧客別の詳細を表示できるようにすることで、SQLには馴染みのないビジネスメンバーが自分で分析を進めることができるようにしました。

これにより、今までは経理部や分析推進室といった別部署に問い合わせていた課題を自分たちで原因を探れるようになりました。

まとめ

マネーフォワード社の考えるデータの民主化とそれを実現するための方法が、一貫してわかりやすくまとめられているセッションでした。

セッション中に数回出てきた、分析推進室がマネーフォワード社のデータの中央集権組織であるという表現もまさにその通りだと思いました。データの民主化をする上で大事なことは、民主化と同時にガバナンスを効かせることです。アクセスがしやすくても管理がされていないデータとても厄介なものです。そういった点で民主化とSSOT(ガバナンス)の両輪で進めているマネーフォワード社の事例はとても参考になるものでした。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。