情報伝達者としてのマネージャーの役割

情報伝達者としてのマネージャーの役割

この記事では、マネージャーの情報伝達者としての役割と、情報伝達の具体的な方法を掘り下げていきます。
2025.09.25

こんにちは。組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。

マネージャーの重要な役割の一つとして情報伝達者があります。

この記事では、マネージャーの情報伝達者としての役割と、情報伝達の具体的な方法を掘り下げていきます。

情報伝達者とは

情報伝達者( Disseminator )の役割は、マネージャーが情報を整理し、部下が業務を遂行するために必要な形に加工して、円滑なコミュニケーションを通じてチーム全体に共有することです。この役割を効果的に果たすことで、チームは目標達成に向けてより迅速かつ正確に行動できるようになります。

マネージャーは通常、メンバーよりも多くの情報に接する立場にいます。そのため、必要な情報を適切にチームに共有することが重要です。特に、『自分が知っているが、相手が知らない情報はないか』という視点は意識的に持つ必要があります。

たとえば、上層部からの方針変更、他部署からのプロジェクト進捗、市場のトレンドといった情報を、マネージャーがチームにとって理解しやすい言葉で伝えることが、この役割の具体的な行動です。

伝達する情報の種類と効果

情報の種類 具体的な例 効果
組織全体の方向性 経営方針、全社目標、組織改編、人事異動 組織全体の方向性を共有し、チームの業務をより大きな目標と結びつけることで、従業員のモチベーション向上と戦略的な行動を促します。
他部署からの情報 別のチームの進捗状況、関連プロジェクトの動向、他部署の成功事例 部署間の連携を強化し、潜在的な課題を早期に発見するのに役立ちます。また、チームメンバーの視野を広げ、新たなアイデアや協業の機会を生み出します。
市場・顧客からの情報 競合の動向、業界トレンド、顧客からのフィードバック、市場調査データ チームが外部環境の変化に迅速に対応できるようになります。市場ニーズに基づいた製品開発やサービス改善を促進し、競争力を維持・向上させます。
部下からの情報 チームメンバーの意見、現場での課題、プロジェクトの進捗報告 チーム内の透明性を高め、信頼関係を築きます。マネージャーは現場のリアルタイムな状況を把握し、的確なサポートや意思決定を行うことができます。

組織開発室における情報伝達の例

ここからは、私が実際に実践してきた情報伝達の例を紹介します。

情報の種類 具体的な例 狙い
組織全体の方向性 新年度の部門の方針、既存の方針転換 組織の方針の理解・納得を生み出すこと。
他部署からの情報 各部門の組織課題 メンバー業務に対応する上での判断材料を増やす。
他部署からの情報 各部に実施した施策の効果 貢献実感を高める。自己効力感を高める。
他部署からの情報 各部に実施した施策の残課題 改善対象を把握する。
市場・顧客からの情報 採用市場の情報 採用活動の判断に役立てること。

伝達の工夫の例

工夫点 具体的なアクション 期待される効果
情報の選別と整理 チームの目標に関連する情報のみを抽出し、不要な情報を省く。情報を論理的な順序で整理する。 メンバーが混乱することなく、本当に必要な情報だけに集中できる。情報の理解度と効率が向上する。
文脈の付加 情報の背景や、それがなぜチームにとって重要なのかを説明する。全体像の中での位置付けを明確にする。 情報の重要性をメンバーが認識し、当事者意識を持って行動できるようになる。
適切なチャネルの選択 緊急度や重要度に応じて、口頭での会議、チャットツール、情報共有ツールなどを使い分ける。 情報が迅速かつ正確に、適切な相手に届く。伝達漏れや誤解を防ぐ。
双方向コミュニケーションの促進 情報を一方的に伝えるだけでなく、質問を受け付けたり、意見交換の時間を設けたりする。 メンバーの疑問や懸念を解消し、情報に対する理解を深める。チームの一体感を醸成する。
アクションアイテムの明確化 情報共有の後、誰が、何を、いつまでに行うべきかを具体的に指示する。 共有された情報が行動に結びつき、チームの生産性が向上する。責任の所在が明確になる。

組織開発室における伝達の工夫

実際に自分が伝達する際にやったことがある工夫をまとめます。

工夫点 具体的なアクション 狙い
広い範囲の情報提供 直接的に担当業務と関係なくても可能な限りで広い範囲の情報を提供する 視座を上げること。自発的な行動の材料を増やすこと。成長につなげること。
情報の制限 メンバーの 曖昧さ耐性 に合わせて共有する情報を調整する 不安を膨らませないようすること。
文脈の付加 背景や取り組む意義、目的を伝える 視座を高めてもらうこと。取り組みの意義を感じてもらうこと。
第三者の情報への補足 第三者が提供する情報に不足があれば補足をする 誤った認識で進まないようにすること。背景の理解を促すこと。
適切なチャネルの選択 伝達内容によって対面やMeetなどで顔を突き合わせて共有する 熱を伝えること。疑問にすぐ答えて不明点を解消すること。
アクションアイテムの明確化 依頼を伴う情報提供をする際は、目的・ゴールを明確にし、タスク管理ツールに課題登録した上で説明する 誤った理解で対応が進むリスクを回避すること。
永続化 チャットのテキストや資料など、後で確認可能な形で情報を提供する 正しく伝わる可能性を高めること。
映像の提供 理解のために画像や図が必要な場合、それらを添える 短時間でより適切に伝わるようにすること。
不明点を解消してから共有 情報伝達の中継役をする場合、もらった情報に不足があれば不明点を確認してから次の相手に渡す 正しく伝わる可能性を高めること。

基本的な考えとして、情報を正しく伝えるための手間は惜しまないようにしています。

たとえば、自分が楽をしようとした結果、最小限の言葉で伝え、相手次第に正しく伝わらなかったとします。結果として意図がズレ業務遂行が失敗したら、失敗のリカバリーが必要になります。結果的に雑に伝えることは一番コストが掛かる選択肢ということになります。それなら最初にしっかり伝達したほうが、トータルのコストは掛からないという認識をしています。

一方で、情報量が多すぎると相手を圧倒してしまいます。必要な情報を揃えつつ、情報量が最小に収まるように努力しています(ついつい多くなりがち)。

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