橋渡し役としてのマネージャーの役割

橋渡し役としてのマネージャーの役割

この記事では、マネージャーの橋渡し役としての役割と、橋渡し役の具体的な方法を掘り下げていきます。
2025.09.29

こんにちは。組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。

マネージャーの重要な役割の一つとして橋渡し役があります。
この記事では、マネージャーの橋渡し役としての役割と、橋渡し役の具体的な方法を掘り下げていきます。

橋渡し役とは

橋渡し役Liaison )の役割は、組織の外部や自身の部署以外の内部の関係者とのネットワークを構築し、維持する役割を指します。

業務遂行には、人員、権限、予算、協力者、情報など多くのリソースが不可欠です。チーム内だけで解決できない課題に直面した際、橋渡し役として外部の協力を得ることで、課題解決の幅と速度が大きく向上します。

橋渡し役の種類と効果

組織内部の橋渡し役(インターナル・リエゾン)

これは、組織内の異なる部門やチーム間の連携を図る役割です。

種類 定義と役割 主な活動 効果
部門間調整役 組織図上の横のつながり(部門、機能、プロジェクトチームなど)を形成し、維持する。 相互のニーズや制約を共有し、資源の配分やスケジュールの調整を行う。 サイロ化の防止: 部門間の対立や無関心を解消する。
効率性の向上: 業務の重複を防ぎ、ワークフローをスムーズにする。
全体最適化: 特定部門だけでなく、組織全体の目標達成に焦点を当てる。
階層間連携役 組織図上の縦のつながり(上司と部下、経営層と現場など)を形成し、維持する。 現場の具体的な課題や情報を経営層に伝え、逆に戦略や方向性を現場に浸透させる。 情報格差の解消: 意思決定に必要な情報が適切に上下に流れる。
動機付け: 現場の意見が反映され、従業員のエンゲージメントが高まる。

組織外部の橋渡し役(エクスターナル・リエゾン)

これは、組織と外部環境との接点を担当し、情報や資源の交換を行う役割です。

種類 定義と役割 主な活動 効果
情報収集役 外部環境(市場、競合、技術)の動向を監視し、組織に重要な情報を持ち込む。 業界カンファレンスへの参加、市場調査、専門家との意見交換。 環境適応: 組織が変化をいち早く察知し、戦略を調整できる。
機会の発見: 新しい市場やビジネスチャンスを特定する。
交渉役 外部の関係者(顧客、サプライヤー、規制当局など)と直接交渉し、組織を代表する。 契約交渉、公式声明の発表。 資源の確保: 組織にとって有利な条件(価格、納期、契約内容)を引き出す。
組織イメージの向上: 外部に適切なメッセージを発信し、信頼性を築く。
コミュニティ・コネクター 業界内の人脈やコミュニティと繋がり、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)を構築する。 異業種交流会への参加、個人的な連絡網の維持。 知識の流入: 業界を超えた知見やベストプラクティスを取り込む。
早期警告システム: 非公式なネットワークを通じてリスク情報を得る。

私の実践例から学ぶ橋渡し役の具体例

ここからは、私が組織開発室の責任者として実際に実践してきた橋渡し役の例を紹介します。

組織内部の橋渡し役(インターナル・リエゾン)

社内における橋渡し役の例です。

種類 活動実績 補足
部門間調整役 組織課題に関する定例 ・組織課題について一緒に掘り下げる
・現場からの組織課題を共有してもらう
・人事から全社施策の浸透協力を依頼する
階層間連携役 組織マネジメント定例・人事マネジメント定例・部内定例 ・組織マネジメントの定例で組織開発の動きを共有する
・組織マネジメントの定例で話し合った情報を部内定例でチームに共有する
・人事マネジメント定例で組織開発の動きを共有する
・人事マネジメント定例で話し合った情報を部内定例でチームに共有する
階層間連携役 マネージャー階層をまたぐ組織課題への介入 ・複数の階層がある部門における組織課題について、それぞれの関係者の言い分を第三者として中立的に収集し、解決に向けて巻き込んでいく

なお、『橋渡し役』として優秀な人とのつながりが強いと、相乗効果が生まれます。特にインターナル・リエゾンについては、隣の部門のマネージャーである 豊崎さん が強力な『橋渡し役』であるため、私自身が頼ることも、誰かに頼られたが自分の人脈では取り次げない場合に豊崎さんを頼ることもあります。

組織外部の橋渡し役(エクスターナル・リエゾン)

組織外部の橋渡し役(エクスターナル・リエゾン)の例です。

種類 主な活動 補足
情報収集役 人事のノウハウ、知見、事例の収集 ・社外の人事関係者からの情報収集
交渉役 協力者の獲得 ・社外の人事コンサルタントに自社のコンサルを依頼する
・人事領域に関わる友人に登壇の依頼をする
・社外のハイレイヤー向けエージェントに採用の協力を依頼する
コミュニティ・コネクター コミュニティへの取り次ぎ ・自分が運営するコミュニティに同僚を招待する
・自社の活動に必要な社外コミュニティを立ち上げる

橋渡し役を担うために必要なこと

関わる人の範囲を広げ、関わるそれぞれとの人との信頼関係を深めることが必要です。
そのためにできることとして、以下のようなものがあります。

組織内部の橋渡し役

  • 社内の人との交流機会を増やす
    • 業務を通した交流
      • 部門横断タスクフォース
      • 個別業務での連携
    • 個別の業務以外の交流
      • 社内の交流イベントへの参加
      • 社内の専門領域コミュニティへの参加
      • 社内の趣味コミュニティへの参加
      • 個人的な交流
  • 社内の人からの信頼を高める
    • 社内の困りごとを解決する
    • 業務を通した交流
      • 困っている同僚を助ける
      • 他部門の活動に協力する
    • 個別の業務以外の交流
      • 相談に乗る
    • 業務内外問わず
      • 約束ごとを守る
      • 期待に応える
  • 社内で発信をする

マネージャーやリーダーは社内でつながりの薄い部門、チームがあれば積極的に接点を作り、交流するとよいでしょう。
また、自分が率先して声をかけに行くのが苦手な人は、自分の得意領域を磨き、得意領域での認知を高め、ほっておいても声をかけられる状態を作る方法もあります。私は比較的後者寄りの人です。

組織外部の橋渡し役

  • 社外コミュニティを運営する
  • 社外コミュニティの運営に協力する
  • 社外コミュニティに参加する
  • 社外の人と個別につながる
    • SNSでの交流
    • 友人からの紹介
  • 共通の友人を集めた雑談会を開く
  • 元同僚との関係を維持する
  • 社外に向けて発信をする
    • ブログ
    • 登壇
    • ポッドキャスト
    • 書籍

まとめ

マネジメントやリーダーの役割は大抵の場合、チーム内だけでは完結しません。
チームが困ったとき、周囲から助力を得るためにも、日頃から外部との接続を強化することが重要です。

また、部門間の連携に関わる課題はこぼれ球になりがちですが、部門Aと部門Bの連携に関わる課題なら部門Aと部門Bのマネージャーが推進するべきお題になるはずです。相互に協力して進めるためにも、受発注のような関係ではなく、同じゴールを目指す仲間として交流したいところです。

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