漫画から学ぶ「チーム&リーダー」~バクマン編~

こんにちは!おおはしりきたけです!

前回は、4月3日に30巻が発売されたばかりのHUNTER×HUNTERを参考に「チーム&リーダー」「ゲーミフィケーション」という記事を書かせていただきました。今回は、漫画連載について書かれた漫画「バクマン」と「サイクロン」を書かせていただきたいと思います。週刊少年ジャンプの発売日にあわせて月曜日に書いてみました!

バクマン。 1 (ジャンプコミックス)

■バクマンとは

原作・大場つぐみ、作画・小畑健のデスノートでも有名なコンビが書いています。2008年から現在も連載中の作品です。NHKの教育テレビでアニメもやっていました簡単な概要は以下

高い画力を持った真城最高と文才に長けた秀才である高木秋人の少年コンビが漫画家を目指していく道のりとその活動を描く。

Wikipediaから抜粋(http://ja.wikipedia.org/wiki/バクマン)

■バクマンとサイクロン

サイクロンとは、弊社が提唱しているユーザの満足とビジネスバリューをデザインするプロセスです。 弊社では、ユーザーインターフェースを含むデザインからプロジェクトを運営してきました。このプロセスはITの専門家ではないユーザーにとってもプロジェクトの進む先が理解しやすく、実際に出来上がったプロダクトについてもご好評をいただいております。 詳細は、弊社のサイクロンのページまたは弊社サイクロンエバンジェリストの@take3000が公開している下記スライドををご覧ください

○週刊連載とイテレーティブ開発

バクマンは、作画・真城最高、原作・高木秋人の二人が少年ジャンプで週刊連載をしています。週刊連載というのは毎週アウトプットを出すという意味では、アジャイル開発でのイテレーティブ開発に非常に似ていると思います。サイクロンでも「あるべき姿」に対し一定期間サイクルを繰り返す手法を取っています。

○サイクロンのチーム体制

サイクロンでは「3+1の視点」でチームを構成しています。まず3の視点ですが、「プロダクトオーナー」、「デザイナー」、「エンジニア」になります。+1は「コーディネーター」が役割を担います。バクマンでも細かい部分は違いますが、以下のようなチーム構成になると思います。作画の真城最高が「デザイナー」原作の高木秋人「エンジニア」この2名以外にサイクロンでいう「コーディネーター」が編集者(服部、港浦)になり、プロダクトオーナーは出版社になると思います。こちらも3+1の視点になりますね。体制の構成図は以下になります。

○+1が必要な理由

サイクロンで言えば、「コーディネーター」。バクマンだと「編集者」の方が+1の役割となります。本にしてもシステムにしてもアウトプットを出すまでの作業というのは沢山あります。短い期間の中で有効なアウトプットを出すために会議ひとつにしてもしっかりとアジェンダを決め、何をゴールにするのかもしっかり決めていく必要があります。デザイナーもエンジニアも短期間での作業に集中するためにコーディネーターの仕事は非常に重要です。実際に弊社でもサイクロンを使ってプロジェクトを何件か行いましたが、エンジニア、デザイナーが兼任でコーディネーターの役割をした場合と、コーディネーターを別に立てた場合とでは、各人が役割に集中できる後者の方が良い成果物が出ていたと思います。

○「プロダクトオーナー(出版社)」の役割

サイクロンでは、プロダクトオーナーのアクティビティは以下になります。

  • 問題の定期
  • 事業化への組織内調整
  • 事業領域における法令の確認

バクマンでは、出版社がこの位置にあたると思います。商業誌の場合何が一番大切かといえば、売り上げになりますよね。雑誌の売り上げだけではなく、コミック、アニメ、キャラクターグッズというところまで視野に入れています。また、アンケートなどデータに基づき、連載開始させる漫画、連載終了させる漫画を決めていくのも出版社の役割になります。プロダクトオーナーもプロダクトに対し責任を持つ必要があります。

○「デザイナー(作画)」の役割

サイクロンでは、デザイナーのアクティビティは以下になります。

  • デザインコンセプト提案
  • インフォメーションアーキテクチャ
  • インタラクションデザイン

バクマンでは、作画担当の真城最高がこの位置にあたると思います。デザイナーは見た目のビジュアルだけではなく、画面のどの位置、どの大きさで情報をのせるかというインフォメーションアーキテクチャ、インタラクションに関しては、オペレーションの一貫にもなっています。モバイル端末では画面が小さくなっている分画面にのせる情報の制限、ユーザーに迷わせないインタラクションといった部分まで考えなければなりません。漫画家も絵はもちろんのことセリフの大きさや、画面の構図なども考える必要があります。真城も持込み時はデッサン力は褒められましたが、漫画の絵としてはまだまだだという指摘を受けていましたが、2回目の連載の「走れ大発タント」の時には、ギャグ漫画という点から子供向けに主人公のキャラデザインを特徴的にしたり、絵をシンプルにするなど読者(ユーザー)が求めるものに合わせデザインも合わせていくなど成長を見せていました。デザイナーは対象のユーザーに合わせたデザインができてこそだと思います。

○「エンジニア(原作)」の役割

サイクロンでは、エンジニアのアクティビティは以下になります。

  • 実装方式の提案
  • フィージビリティスタディ
  • プロジェクトマネジメント計画

バクマンでは、原作担当の高木秋人がこの位置にあたると思います。真城と高木の3回目の連載「PCP」は推理がテーマになっている漫画です。連載開始されてから着実に順位を上げてきていましたが25話目までにライバルである新妻エイジの作品に勝たないと連載終了という厳しい条件を付けられていました。高木は25話目に向けシナリオと推理を考え、25話目に新妻エイジの作品に勝ちました。ここ最近のプロジェクトは、短期開発が多く昔のように設計書にのっとてコードを書けばよいだけではありません。エンジニアも要件に対する実現性の調査や、期間、予算に適した実装方式の提案力というのが必要になってきています。

○「ファシリテーター(編集)」の役割

サイクロンでは、共通のアクティビティは以下になります。

  • ビジネスゴールの設定
  • ゴールの認識を共有する
  • ペルソナ作成
  • ストーリーマッピング
  • プロダクトバックログの作成
  • 妥当性の検証

ファシリテーターは、上記のアクティビティと「プロダクトオーナー」、「デザイナー」、「エンジニア」のアクティビティをファシリテートしていく必要があります。「期間」「予算」をしっかり見極め適切な品質のプロダクトを出すために、ファシリテーターは細かいコミュニケーションを取りながらサイクルを回していく必要があります。ユーザーの満足度を高めるために「エンジニア」「デザイナ」に高稼働の仕事を押し付けているようでファシリテーターといえません。

○意見を取り入れるだけはダメ

システム開発においてユーザーの要求というのは、様々な粒度、様々な要望が出てきます。バクマンでは、初めての連載作品「疑探偵TRAP」のアンケート順位が上がらずテコ入れしようとしたときに、読者の意見を取り入れてしまったことがありました。そのとき編集の港浦さんが言ったセリフがいかになります。

一番やっちゃいけない事だ
自分の作品感性ピッタリと合ったアイディアなら取り入れていい………
そういう姿勢はむしろ持つべきだ
しかしファンの意見を何でも間でも取り入れるとこういう支離滅裂なものになる

システム開発でもユーザーの要望を取り入れすぎて、結局使い勝手が悪くなってしまうこともあると思います。エンジニアは自分の経験、感性に自信を持ってあるべき姿のシステムを提供していくべきです。意見を取り入れるだけの御用聞きのエンジニアになってはダメです。

■どんなチームか

バクマンの代表的な登場人物と言えばこの方々

  • 真城最高:本作の主人公。漫画の絵を担当。通称サイコー
  • 高木秋人:もう1人の主人公。サイコーとは中学時代からの付き合いで漫画のストーリーを担当。
  • 新妻エイジ:10年に1人の逸材と言われている、新鋭の天才漫画家
  • 服部哲:亜城木夢叶の初代及び3代目担当

○相性の良さ

真城と高木は中学からの同級生ですが、連載の経験を重ねていくほど相性が良くなってきています。これまで原作の高木がネームまで書いていたんですが、長い経験から文章のほうが作画がしやすいといった時の真城のセリフです。

はい!文章だけのほうが想像できるんです!!
ネームになっているとどうしてもコマ割りも表現方法もそれに引っ張られてしまう
ならいっそ文章だけのほうが自由に描ける
!間もコマも自分で決められる高木だって1話分がどのくらいの量かはわかっている

やはりこれは長年一緒に仕事をやってきている分お互いが分かり合えているという部分が強いと思います。前回のHUNTER×HUNTER編でも書かせていただきましたが、短期開発ではチームの信頼感というのは必要になります。経験を重ねていくことでチームの信頼感は上がっていくと思いますので、チームメンバーの固定化というのは必要だと思います。

■どんなリーダーか?

サイクロンで言えば、リーダー的な役割をファシリテーターが担います。バクマンではこの役割は編集者になるため「服部さん」がファシリテーターとなりリーダー的役割を担います。

○立場をわきまえている

僕はあくまでも編集者でアドバイスできることは限られている
編集が言った以上の事をやってこれる人がマンガ家として大成する わかるか?

 服部さんは編集者です。グイグイリーディングしてくというよりは、真城と高木に対しアドバイスこそしますが、指示を出すわけではありません。ファシリテートとマネジメントは似ていますが、やることは全く違います。ファシリテーターはエンジニア、デザイナがどうすればパフォーマンスを最大限に発揮できるかを常に考えて行動していく必要があると思います。

■まとめ

バクマンを読んでいると週刊連載の大変さというのが、短期開発に重なります。数十年以上の実績を持つ週刊連載では、3+1の視点(原作と作画が分かれる場合)という体制がとられており実績を上げています。また、弊社内で実践しているサイクロンは数年ですが実績を上げてきております。サイクロンの価値にも書かれていますが、「本当に役立つ」プロダクトを素早く作る。そして「本当に役立つ」ことと「素早く作ること」により、プロダクトを利用する組織のビジネスにの成功に大きく寄与することが大切です。サイクロンに興味がある方は今後ワークショップなども企画しているのでぜひ楽しみにしていてください。

最後に新年会の時に取締役の鳥嶋さんが真城と高木に向かって言った名言でお別れしましょう。

可能性は0じゃないと考えるより
可能性は無限にあると考える
実現したらいいと考えているのではなく
行動し実現させる

不平不満を言うよりも進んで明かりをつけましょうってことですね!