【資料公開】アナログ計算機『計算尺』を愛でる #midosuji_tech

【資料公開】アナログ計算機『計算尺』を愛でる #midosuji_tech

Clock Icon2025.01.31

2025 年 1 月 31 日 にクラスメソッドの大阪オフィスで Midosuji Tech #4 という勉強会がありました。

__「アナログ計算機『計算尺』を愛でる」__というタイトルで登壇しましたので資料を公開します。

https://speakerdeck.com/quiver/analog-computing-device-slide-rule-now-and-then

計算尺って?

「計算尺」と言われてもなんのことやら、わからない人も多いと思います。

計算尺は定規のようなアナログの計算デバイスです。

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https://en.wikipedia.org/wiki/Slide_rule

計算尺は17世紀から存在し、1970年ごろまでは工学の現場や学校教育でも利用されていたようですが、電卓の普及とともに、一瞬で衰退しました。若い人でも、実家や学校の片隅で、ホコリを被っている計算尺を見かけたことがあるかもしれません。

チャールズ・ペゾルドが対数の本を執筆中

そんな計算尺をなぜ取り上げるのか?

『CODE コードから見たコンピュータのからくり』やWindowsに関するプログラミングの著者として著名なチャールズ・ペゾルドが2025年1月1日にあるブログを公開しました。

そのブログによると、対数(logarithm/log/ログ)に関するオンライン書籍をのんびりと執筆中というではありませんか。

「対数」は、指数関数・対数関数の「対数」です。

このオンラインブック "The Lost Art of Logarithms" の表紙では、チャールズ・ペゾルドと思しき人物がネイピア(Napier)の文字の入ったTシャツを着て、超大型の計算尺を抱えています。

対数とネピアと計算尺の世界

ネイピアは大きな数をカンタンに計算できる対数の概念を1614年に発表しました。

対数の具体的な値をアナログにカンタンに求めるのは2つのアプローチがあります。

一つは対数の底と値からなる数値の一覧表(対数表)を用いるアプローチです。

もう一つが、底を10に固定して(常用対数で)定規のような計算尺で値を用いるアプローチです。

後者の計算尺では、掛け算が足し算になり、割り算が引き算になる対数の性質が活用されています。

デジタルとアナログの世界

歴史的には、大きな数をうまく扱えるように人類が発明したのが対数です。
一方で、コンピュータの普及・発展により、誰もがカンタンに大きな数の計算をできるようになりました。

コンピュータの世界で著名なチャールズ・ペゾルドが、コンピュータの普及で意識する機会が減った、対数(計算尺)の世界を解説するのが、興味深く、今回発表に取り上げました。

The subject of this book is the history, use, meaning, and importance of logarithms, which are numbers that fell into obscurity with the increasing prevalence of electronic calculators in the 1970s. I hope to demonstrate in this book that logarithms are central to our perceptions and consequent understanding of the world, if only we knew how to see them.

https://www.lostartoflogarithms.com/preface/

計算尺の製造メーカーは今何してる?

計算尺は電卓の普及により、1970年ごろを境にマーケットがほぼなくなりました。

計算尺メーターとして名を馳せた日本の計算尺メーカー「ヘンミ計算尺株式会社」がどうなっているのか確認したところ、現在も半導体事業などを手掛けて、事業継続しており、今年の4月に130周年を迎えることを知りました。

発表の調べ物をしながら、時代とともに変化し続けている日本メーカーの姿に一番感銘を受けました。

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