[2026年7月22日号]個人的に気になったModern Data Stack情報まとめ
さがらです。
Modern Data Stack関連のコンサルタントをしている私ですが、Modern Data Stack界隈は日々多くの情報が発信されております。
そんな多くの情報が発信されている中、この2週間ほどの間で私が気になったModern Data Stack関連の情報を本記事でまとめてみます。
※注意事項:記述している製品のすべての最新情報を網羅しているわけではありません。私の独断と偏見で気になった情報のみ記載しております。
Modern Data Stack全般
オントロジー・ナレッジグラフに関する記事
@gura105さんが、実際にPalantir Foundryを触り込んだ上で「オントロジーの正体」を分析する投稿をされていました。要旨は以下の通りです。
- Foundryは「データパイプライン機能」「オントロジー機能」「アプリケーション機能」の3つに分解できる
- 通常の業務アプリ開発は「要求→ドメインモデリング→物理データモデル→アプリ」という順序で、モデルが先・物理データは後になる
- 一方Foundryは「物理データ統合(パイプライン)→オントロジー(モデル)→アプリ」という逆順で組み立てる。散らばった基幹システムのデータを先にパイプラインで統合し、その上にオブジェクト・リンク・アクションという3要素でドメインモデルを組み立てる
- オントロジーのオブジェクト=エンティティ、リンク=エンティティ間の関連、アクション=業務ルール付きの操作(メソッド/コマンド)に対応しており、この「モデルより先に物理データがある」工程を、筆者はリバースドメインモデリングと呼んでいる
- DWH/BIのセマンティックレイヤーはオブジェクト・リンクに相当する「セマンティックな要素」だけを持つRead Onlyの世界に留まるのに対し、Foundryのオントロジーはアクション・ファンクションという「キネティックな要素」も併せ持ち、Read/Write両方を担う。これを筆者はOperational Ontologyと表現している
また、DysonでData Platform Architectを務めるYohei Onishiさんが、サプライチェーン影響分析を題材に、ナレッジグラフを実装するハンズオン記事を公開しています。PydanticとSHACL・Neo4j Neosemantics(n10s)を組み合わせたスキーマ検証層、複数ドメインをGraph Contractで安全に結合するフェデレーション層、LLMに直接Cypherを組ませずGrounding検証を挟むAI活用層など、具体的に記述されています。
Data Engineering Study #36が開催
私もアドバイザーを務めている、Data Engineering Studyの最新回「"良いデータモデル"は、どこから生まれるのか」が2026年7月22日に開催されました。
10X社のtenajima氏によるビジネスプロセス起点のデータモデリング、有限会社システム設計の増田亨氏によるドメイン駆動設計をデータモデリングに適用する技法、Vポイントマーケティング社の松井太郎氏による20年に渡るデータモデリングの実践事例と、豪華な内容かつ質疑応答も盛り上がりました!
アーカイブもありますので、ぜひご覧ください。
Data Warehouse/Data Lakehouse
Snowflake
CoCo Desktopが一般提供に
SnowflakeのAIコーディングアシスタント環境「CoCo Desktop」が一般提供(GA)となりました。同時期にv1.20.0もリリースされています。
dbt Projects on SnowflakeでSQL環境変数機能がGAに
「dbt Projects on Snowflake」にて、env.ymlという設定ファイルで複数の名前付き環境を定義できる環境変数機能が一般提供となりました。プレーンテキスト値だけでなく、SQL計算値やSnowflake管理のシークレットも埋め込め、CURRENT_USER()などのコンテキスト関数を使った"SQL in YAML"にも対応しています。プライベートGitリポジトリへの認証にもSnowflakeのシークレットを利用できます。
個人的にも、開発者ごとにスキーマを環境変数の値で分離させたい派のため、待望の機能です!
タグベースのデータ保護ポリシーがパブリックプレビュー
タグに基づいて行アクセスポリシーなどを適用できる、タグベースのデータ保護ポリシーがパブリックプレビューとなりました。個々のオブジェクトに直接ポリシーを割り当てるのではなく、タグ単位でガバナンスルールを一元管理できるようになる機能です。
これまではマスキングポリシーのみ対応していた認識ですが、行アクセスポリシー、集計ポリシーなど対応範囲が広がりました。
OIDCフェデレーション認証がパブリックプレビュー
OIDC(OpenID Connect)を用いたフェデレーション認証がパブリックプレビューとなりました。外部IdP経由でのトークンベース認証がSnowflakeでも可能になります。
BigQuery
Icebergマネージドテーブルが一般提供
Apache Iceberg形式のBigQueryマネージドテーブルについて、パーティショニング・マルチステートメントトランザクション・高度なランタイム機能を含めて一般提供(GA)となりました。
Databricks
Unity Catalog搭載の新機能「Discover and Domains」がパブリックプレビュー
Unity Catalogをベースに、データ資産をドメイン単位で発見・整理できる新機能「Discover and Domains」がパブリックプレビューとなりました。
Dremio
SAPによる買収が完了
Lakehouseクエリエンジンを手掛けるDremioについて、SAPによる買収完了が正式に発表されました(買収自体は2026年5月に合意、7月に完了)。競合にあたるStarburstも自社ブログでこのニュースを分析していることが印象的です。
MotherDuck
DuckLakeアーキテクチャの詳細解説記事を公開
MotherDuckが、テーブルフォーマット「DuckLake」のアーキテクチャを深掘りする記事を公開しました。IcebergやDeltaとの違いなど、わかりやすくまとめられています。
ClickHouse
言語横断で使えるADBCドライバーを発表
1つのドライバー・1つのフォーマットで複数言語からClickHouseにアクセスできる、ADBC(Arrow Database Connectivity)ドライバーが発表されました。
LanceDB
AWS(S3・Bedrock)上でLanceDBを動かす検証
弊社にて、組み込み型ベクトルデータベースであるLanceDBをAmazon S3バックエンドで動作させ、Amazon Bedrock(Titan Text Embeddings V2、Claude Haiku 4.5)と組み合わせて簡易的なRAGを構築する検証記事を公開しています。
S3バケットを作成して接続文字列を変えるだけで、ローカル開発と同じコードのままサーバーレスなベクトル検索基盤を実現できる手軽さが確認できたとのことです。
Data Transform
dbt
dbt-core v1.12.0がリリース
dbt-core v1.12.0がリリースされました。Semantic Layer YAML v2の解析対応、関数オーバーロード、vars.ymlでの変数定義サポートなどが含まれています。
Business Intelligence
Omni
バックグラウンドで動くAIアナリスト「Routines」を発表
Omniが、バックグラウンドで定期的にデータを分析し続けるAIアナリスト機能「Routines」を発表しました。ユーザーが都度質問するのではなく、あらかじめ定義したタスクを継続的に実行させる形の機能です。
Looker
Reports機能が廃止に
Lookerのリリースノートにて、データポータルを組み込んだReports機能が2026年7月13日付で廃止されたことが案内されました。
該当機能を利用していた場合、レポートの表示・編集ができなくなるため、ご注意ください。代替としては、LookML不要でCSV/XLS/XLSXを直接アップロードして分析できるセルフサービスExploreの利用や、データポータルからLookerへ接続する方法が案内されています。
Data Orchestration
Prefectが競合のDagster Labsを買収
今回一番驚いたニュースがこちらです。ワークフローオーケストレーションのPrefectが、同じくオーケストレーション製品を展開するDagster Labsを買収すると発表しました。
買収後もPrefectとDagsterはそれぞれ独立したプロダクトとして存続し、Dagsterはアセット/データアウトカムの定義、Prefectはワークフロー実行、FastMCPがガバナンスを担当する体制になるとのことです。統合会社は2026年8月よりPrefectの名義で運営される予定です。





