[2026年8月5日号]個人的に気になったModern Data Stack情報まとめ
さがらです。
Modern Data Stack関連のコンサルタントをしている私ですが、Modern Data Stack界隈は日々多くの情報が発信されております。
そんな多くの情報が発信されている中、この2週間ほどの間で私が気になったModern Data Stack関連の情報を本記事でまとめてみます。
※注意事項:記述している製品のすべての最新情報を網羅しているわけではありません。私の独断と偏見で気になった情報のみ記載しております。
Data Extract/Load
Fivetran
Managed Data Lake向けの書き込み権限(DDL/DML)がGA
FivetranのManaged Data Lake Serviceに対してDDL/DML操作を実行できる機能がGAとなりました。AWS S3・Azure Data Lake・Google Cloud Storage上のApache Icebergテーブルを主な対象とし、GDPR対応のレコード削除や不要テーブルの削除といった用途に使えます。
なお、テーブル変更中はFivetran Connectorを一時停止する必要があり、停止せずに変更するとデータの永続的な消失につながるとの注意喚起がされています。
Agents Schemaを発表
6月末の発表なのですが、Fivetranとdbt Labsが共同で、AIエージェントが信頼できるビジネスコンテキストにアクセスするためのオープンスタンダード「Agents Schema」を発表しました。
- メトリクス定義・セマンティックモデル・dbtの系統情報・ドキュメントを、ウェアハウス内にプレーンSQLテーブル(
AGENTSスキーマ)として格納する仕組み - dbt・Looker・Omni・Sigma・OSIなど複数ソースからのメタデータ取り込みと、Snowflake・Databricks・BigQueryへの発行に対応
- GitHub Actionsによるメタデータの自動公開に加え、CodexやClaude Code向けのエージェントプラグインも提供(
dbt-labs/agents_schema、MITライセンス、現行v0.0.10)
Data Warehouse/Data Lakehouse
Snowflake
Cortex AI GatewayとAIセキュリティの強化(Black Hat 2026)
Snowflakeが、Black Hat 2026にて「Cortex AI Gateway」を発表しました。エンタープライズ全体のエージェント活動に対する統一的な接続レイヤーと位置付けられており、ユーザー独自のサーバーとのVPC接続を含む100以上のMCPサーバーに対応、非公式なエージェント接続(シャドウAI/シャドウMCP)の自動検出・監視も行います。
機能は大きく3領域に整理されています。
- Control(制御):単一エンドポイントからのツールアクセスの付与・制限・監査、ユーザー/エージェント/ワークロード単位の細粒度な権限管理。GPT・Gemini・Claude・Grok・Mistral・GLMなど複数モデルを地域内で運用できるモデルカタログ(プライベートプレビュー)も提供
- Visibility(可視性):どのツールが呼び出され、どのシステムにアクセスし、どの順序で実行されたかをエージェントごとに個別計装せずリアルタイムで追跡できる統一トレーシング
- コスト・パフォーマンス管理:チーム/エージェント/ワークロード単位でAI利用量を可視化し予算ガードレールを設定できるAI支出制御、コスト・レイテンシ・機能・データレジデンシ要件に応じてリクエストを自動ルーティングするインテリジェントルーティング(いずれもプライベートプレビュー)
Snowflake純正のCoCo・CoWorkだけでなく、Amazon Bedrock・Azure AI Foundry・ChatGPT・Claude Code・Cursor・カスタムLangChain/LlamaIndexアプリといった外部エコシステムのエージェントも対象としています。
SERVICE_AGENTユーザータイプがGA
AIエージェントが独自のIDと権限でSnowflakeと対話するための新ユーザータイプ「SERVICE_AGENT」がGAとなりました。SPIFFE/SPIRE認証によるワークロードアイデンティティフェデレーションにも対応しています。
BigQuery
マルチクラウドを跨ぐ「Borderless Lakehouse」を発表
AWS Glue、Databricks Unity、Snowflake Horizonとのカタログフェデレーション(プレビュー)により、BigQueryやApache Sparkからデータを移動させずにマルチクラウド上のデータへ統一アクセスできる「Borderless Lakehouse」が発表されました。
※本機能は、Cross-cloud Lakehouseが名称変更した機能となります。
スロットのFluid Scaling
BigQueryの自動スケーリング機能に「Fluid Scaling」が追加されました。従来のオートスケーリングに必須だった1分間の最小継続期間の制約が撤廃され、秒単位でスロット容量を調整できるようになります。短時間だけ発生するクエリバーストのコストを抑えたい場合に効いてきそうな改善だと感じます。
Databricks
Unity AI GatewayがGA
Unity CatalogとAIゲートウェイ機能を統合した「Unity AI Gateway」が一般提供となりました。エンタープライズ向けのAIガバナンス・コスト管理プラットフォームと位置付けられており、機能は大きく3つに整理されています。
- コスト管理:モデル・プロバイダー・チーム・アプリケーション単位での粒度の高いコスト帰属、Unity Catalog上での一元ダッシュボードとGenieによる分析、予算設定とハードスペンドキャップ、品質・コスト・パフォーマンス・可用性・予算に基づいてリクエストを最適なモデルへ振り分けるSmart Routing(ベータ版)
- ガバナンス・制御:Unity Catalogによる認証・権限管理・リネージ・監査の統合、ランタイムガードレールや文脈的ポリシーの適用、PII検出・レート制限などの保護機能
- マルチAIベンダー選択:Anthropic・OpenAI・Gemini・Kimi・GLMといった複数プロバイダーへシングルクエリAPIでアクセスでき、特定ベンダーへのロックインを避けられる
Databricksホスト型・外部モデルを問わず、コーディングエージェント・MCPサーバー・スキルまで単一のUnity Catalogに登録・発見できる点が特徴的です。
セキュリティレイクハウスベンダーPantherの買収完了
Databricksが、クラウドネイティブなSOC(Security Operations Center)向けプラットフォームを提供するPantherの買収完了を発表しました。
Databricksが先行して発表していたセキュリティレイクハウス/エージェンティックSIEM「Lakewatch」に対し、Pantherが持つ100以上の事前構築済みコネクタ、検知ルールをコードとしてテスト・バージョン管理・CI/CDデプロイするDetection-as-Code、AIによるアラートのトリアージ・調査ワークフローを組み合わせる構想です。ログを蓄積・分析するデータ基盤にとどまらず、脅威検知から調査、対応までのセキュリティ運用をレイクハウス上で完結させることを狙っています。
半構造化データ向けVariant型がGA
Databricksの半構造化データ型「Variant」と、その読み取り性能を最適化する「Variant Shredding」がGAとなりました。JSON・XML・CSVのほか、KinesisやEvent Hubsなどのストリーミングイベント、APIレスポンス、PostgreSQL/MongoDBなどのスキーマレスなデータを、事前に厳密なスキーマへ変換せずにDelta/Icebergテーブルへ取り込めます。
従来は、柔軟性を優先してJSONを文字列のまま保存するか、クエリ性能を得るためにETLで列へ展開するか、というトレードオフがありました。Variantはまず柔軟にデータを取り込みつつ、Predictive Optimizationが実際のクエリ傾向を学習し、頻繁に参照されるフィールドをParquet内部の列として自動的にシュレッディングします。これにより、必要な列・ファイルだけを読み込めるようになり、シュレッディングしていないVariantと比べて約4倍、JSONを文字列として保存する場合と比べて最大約30倍高速な読み取りを実現するとしています。
レガシーSQL方言をANSI SQLへ変換する「Genie Code」がベータ提供
レガシーDWHからの移行を支援するAIコーディングエージェント「Genie Code」の、独自SQL方言をANSI SQLへ変換する機能がベータ提供となりました。
T-SQL・Snowflake・Redshift・Oracle・BigQuery・Teradataの各方言に対応し、複数の並列エージェントが構文とセマンティックな意図の両面を検証しながら反復的に変換します。複雑度スコアリングによる優先順位付けや、オブジェクト間のリネージ生成も行えます。
DuckDB・MotherDuck
DuckDB v2.0に向けた非同期I/O
2026年秋予定のDuckDB v2.0でデフォルト有効化される、非同期ファイルI/O機能の仕組みとベンチマークが解説されました。
ベンチマークでは以下のような結果が示されています。
- S3上のParquet(22GB、4,880行グループ):同期I/O 8.230秒 → 非同期I/O 2.844秒(約3倍高速化)
- CSV(80.89GB):同期I/O 877.563秒 → 非同期I/O 45.264秒(約20倍高速化)
- ローカルSSD(冷読):約33%高速化
対応フォーマットは現時点でParquetと非圧縮UTF-8 CSVのみで、JSONやDuckDB native形式への対応は今後の予定とのことです。
リモートストレージほど効果が大きいという結果は、DuckDBをS3やGCS上のIcebergテーブルに対するクエリエンジンとして使う構成が増えている流れにも合致しており、DuckDBを「ローカルの分析ツール」に留めず、オブジェクトストレージ上のLakehouseクエリエンジンとして使う際の実用性を大きく底上げする改善だと感じます。
MotherDuckがAIエージェント向けコンテキストレイヤーの新機能「Guides」を発表
AIエージェント向けコンテキストレイヤーの新機能「Guides」が発表されました。ベンチマークでエージェントのクエリエラーを約99%削減、実行コストを約55%低減できたとしています。
Guidesは、テーブルやカラムの説明だけでは伝わりにくい、正しい結合方法・集計基準・利用上の注意点といった分析の暗黙知を、AIエージェントへ明示的に渡すための仕組みです。これらの情報をエージェント側のプロンプトや外部ドキュメントに個別管理するのではなく、MotherDuckのウェアハウス内にMarkdown形式のGuideとして保存し、必要に応じてエージェントが参照する設計となっています。
Business Intelligence
Looker
2026年7月30日ロールアウト分の機能更新とライセンス変更
Looker(オリジナル版)に7月27日〜30日にかけてリリース26.12が展開されました。ログイン時の多要素認証(MFA)がデフォルトで必須化されたほか、カスタムカレンダー・Expression Assistant・Enhanced Searchが正式版(GA)となりました。
あわせて、2026年8月1日以降に締結されたLooker契約に関連するLookerインスタンスには、Data Studio Proの無料ライセンスは提供されません。
これまで無料同梱だったライセンスが契約の締結タイミングで切り分けられる形となっており、契約更新や新規契約を控えている方は条件を事前に確認しておいた方がよさそうです。
Data Catalog
Alation
ブランドリフレッシュに伴うロゴ・ファビコン更新
2026年のブランドリフレッシュに伴い、ロゴ・ファビコンの更新が行われました。

