従業員体験という砂の中にある砂金。MTM とは?

2021.12.07

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こんにちわ。てぃーびーです。

従業員体験( EX )  を向上をするにあたって、従業員ライフサイクル( EL )の各タッチポイントで発生する体験を改善していく必要があります。

しかし、そのタッチポイントにおける体験は数え切れないほどあり、「どこから手を付けていいものか、困るでござる」となりがちです。そこでキーとなるのが MTM なのです。

MoT とは?

MTM を知るには、その前に MoT を知る必要があります。 MoTMoments of Truth の略語です。CX においてユーザーがプロダクトの質を判断する瞬間を概念ですが、 EX においては、従業員体験が自身の期待に沿うのか、外れるのかが判明する瞬間です。期待に沿えば Moments of Engagement になり、はずれれば Moments of Disengagement になります。

なお、 MoT の語源 は闘牛士が闘牛にとどめを刺す瞬間とのことです。

MTM とは?

MTM とは、 Moments That Matter の略です。先に紹介した MoT には一つ問題があります。 その体験は数え切れないほどあり、何が重要で、どこから改善していけばいいのかがわかりにくいことです。

従業員の体験は、どれもが等しく印象に残り、定着・エンゲージの理由になったり、逆にディスエンゲージして退職につながるわけではありません。一部の非常に重要な体験がこれらに強く影響を与えます。こういった特性を持つ瞬間を MTM と呼びます。この MTM こそ、従業員が組織に定着するか、退職するかに強く影響してきます。

なお、特定の体験に関わらず直近最後にした体験が良好であるか、そうではないかも強く影響します。つまり、なにかネガティブな体験があった場合、それをケアするポジティブな体験で締めくくっているかどうかが大切になります。例えば、休職直前に嫌な体験をして、リカバーしないまま休職期間にはいったら、長い間従業員の中では組織に対するマイナスの印象が残ります。

従業員体験を高める組織施策の担当にとって、この MTM を見極め、理想と現実のギャップを確認し、問題のあるポイントの改善に注力していくことが重要になります。

MTM の分類

  • 可視性による分類
    • 重要であることが明らかなもの
    • 個々人の価値観に依存するような見えないもの
  • 対象範囲軸による分類
    • 大多数の社員が対象となるもの
    • 個々人で異なる1人〜少数のみに影響するもの
  • イベント特性による分類
    • 継続するもの
      • ex - 上司との関係性。組織文化が実現している or 形骸化している
    • 特定の瞬間
      • ex - 評価、入社オンボーディングの

どうやって MTM を判別するか?

MTM はどのように判別すればよいか? MTM は従業員の感情に関わるものなので、従業員とともに明確にするのが好ましいです。 部門、属性等多様性のある従業員たちに協力してもらい、内容を精査します。逆に人事目線のみでは推測に過ぎません。

このとき前述の分類を意識する必要があります。例えば、全社員に関わるものと個人の価値観に基づくものではその影響範囲や必要となる改善施策が変わります。順序付けへの影響としては

  • 影響度が大きい要素
    • 可視性 - 重要であることが明らか
    • 対象範囲 - 大多数の社員が対象
    • イベント特性 - 継続するもの
  • 影響度が小さい要素
    • 可視性 - 個々人の価値観に依存するような見えないもの
    • 対象範囲 - 個々人で異なる1人〜少数のみに影響するもの
    • イベント特性 - 特定の瞬間

でしょう。影響が大きい要素が未整備の場合は先にそこを整えること。とはいえ、個々人ごとの異なる需要を満たすことも重要になるため後者を満たしていくことが重要になります。

まとめ

MTM についてまとめました。組織に対して従業員が求める期待は組織が普段から公言している内容や、掲げている文化の影響を受けます。そのため、重要視されるポイントも組織によって異なるでしょう。

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